新自動車メーカー「EMT」がブランド「EMTA」を発表! 奇瑞汽車やオートバックスなど5社が協業 27年の軽EV投入に向け本格始動 独自の販売網で日本市場へ挑む

2025年1月末に設立された新自動車メーカー「EMT」は、2026年5月末に新ブランド「EMTA(エムタ)」を発表。2027年の市場投入に向け本格始動しました。奇瑞汽車やオートバックスセブンなど5社が出資する同社は、評価の厳しい日本市場を最初のターゲットに定めます。果たしてどのような販売戦略をとっていくのでしょうか。

新ブランド「EMTA」が掲げる、新たなクルマ作りと販売戦略とは

 2025年1月末、日本で新たな自動車メーカーが設立されました。その名を「EMT」といいます。

 これは、Electro Mobility Technologyの頭文字を取ったもので、同社の電気技術モビリティの特徴と時代観、技術観、製品の特徴を表すものです。

(左から)EMTの山本浩二CTO、何 暁慶CEO、打越 晋CMO
(左から)EMTの山本浩二CTO、何 暁慶CEO、打越 晋CMO

 そして2026年5月27日、EMTより自動車ブランド「EMTA(エムタ)」が発表されました。

 2027年の市場投入に向け本格始動した同ブランド。第一弾モデルは軽EVを予定しており、その後生活シーンに合わせた複数のセグメントへ展開を広げ、2029年までに合計4車種の投入を計画しているといいます。設立の背景や今後の展望について解説します。

まずは評価の厳しい日本市場で

 EMTは奇瑞汽車(Chery、自動車製造業)やオートバックスセブン、アネスト岩田(コンプレッサーなどの製造業)、国軒高科(蓄電池メーカー)、江蘇悦達起亜汽車(自動車製造業)の5社が出資したメーカーで、ユーザーの評価が最も厳しい日本市場向けに、日本で企画開発を行い、まずは日本市場で、そして将来的にはグローバルで展開することを目標に設立されました。

 出資社は、EMTの事業推進・発展のフェーズに応じて、それぞれの強みを活かしたシナジー創出を重視。具体的には、株主の知見や既存のリソースを活かした助言や事業面での連携を通じて、双方の企業価値の向上につなげていく予定です。

 その一環として、現在第一弾モデルである軽EVの開発委託先はCheryですが、商品定義・設計構想はEMTが行い、Cheryへフィードバックする体制で推進しています。

 オートバックスについても同様に、店舗網を活用していくことを検討中とのこと。ただしEMTAの提携先は株主に限らず、複数の自動車関連業者と一緒に共創を進めていくそうです。

5社が出資して設立されたEMT

 出資社は、EMTの事業推進・発展のフェーズに応じて、それぞれの強みを活かしたシナジー創出を重視。具体的には、株主の知見や既存のリソースを活かした助言や事業面での連携を通じて、双方の企業価値の向上につなげていく予定です。

 その一環として、現在第一弾モデルである軽EVの開発委託先はCheryですが、商品定義・設計構想はEMTが行い、Cheryへフィードバックする体制で推進しています。

 オートバックスについても同様に、店舗網を活用していくことを検討中とのこと。ただしEMTAの提携先は株主に限らず、複数の自動車関連業者と一緒に共創を進めていくそうです。

“最大公約数”ではなく“一人一人”にとっての日常の幸せを

 さて、日本市場を見据えたクルマ作りをしていくことは前述の通りです。そこでのマーケティングは少々変わった方策だとEMTの打越晋 CMO(Chief Marketing Officer)はいいます。

「これまでは、最大公約数の人たちに向けたクルマ作りが主流でした。しかしEMTAは『なんだかこのクルマ、私にしっくりくるんだよな』と思っていただけるクルマを目指します」というのです。

 最大公約数のお客様ではなく、「世界に一人しかいないあなた。その一人一人にとっての日常の幸せを作っていくこと。これが私たちのブランドの基本にある考え方です」と述べます。

EMTのマーケティングについて語る打越CMO

 そこに込められた思いを打越氏は3つの言葉で表現します。それは、「ちょうどいい、楽、ワオ」です。

 ちょうどいいは、サイズが小さいとか、価格が手頃といった具体的なものではないと打越氏。「洋服を選ぶときに少しゆとりがあって、自分らしくリラックスできて、なんとなく着ていて気持ちがいい。そういう洋服がちょうどいいと感じるでしょう」と例を挙げ、EMTAが目指すちょうどいいは、「その感覚に似ています」と語ります。

「日々の暮らしやいつもの習慣、その日の気分までもちゃんと理解した上で、その人にとっての等身大の一台、しっくりした一台を作っていく。

 そのためにはハードウェアだけではなくソフトウェアも使いながら、乗る人に合わせて少しずつ表情や振る舞いが変わっていく、クルマが少しずつ人に寄り添っていく。そんなクルマを目指しています」

 次の“楽”は、やはり足が伸ばせて楽だとか、空間的な楽の話ではなく、スマホを例に挙げ、決済などができて便利な一方、使えない場所だと、「楽じゃないと感じる瞬間があります。私たちはその小さな違和感をなくしていきたい」し、下記のように説明しました。

「それをクルマに置き換えると、購入時だけでなく、修理・点検などどんな場面でも、お客様が面倒くさいなどと感じることをひとつひとつ丁寧に取り除きたい。どこに行っても誰が対応しても同じようにシームレスにお客様のことが分かっている。これが楽に近いんです」

 最後はワオです。こんなシーンを経験したことはないでしょうか。雨の日、スーパーで買い物が終わり両手に荷物を持っている。そのときに一緒にいる子共がぐずっています。しかも隣のクルマとの間隔が狭い。

 そんなシーンで、「スマートフォンを操作するだけで、クルマが適切な位置に動き、乗降りや荷物の積み下ろしをしやすくしてくれる。EMTAのワオはこういうところに宿っているんです」と打越氏はいい、EMTAのクルマ作りについてアピールしました。

販売は? 店舗形態も様々に

 こうして作ったクルマを、一体どのように販売していくのでしょうか。

 打越氏は、現在の状態を、大きな可能性と捉えているそうです。なぜなら、「最初から決まっていることがないからこそ、お客様にとって本当に心地がいい、本当にお客様が来やすい場所はどんなところかと最初から考えることができるからです」とコメントします。

 そこで、「様々な経験を持つ自動車事業者数十社と、これからの時代、本当に必要とされる店舗とはどんなものかという論議しながら、 “協創”という精神を大切にしています」と打越氏。つまり一緒に作り上げようということです。

 特にオートバックスセブンは、「とても大切なパートナーの一社です」といいます。オートバックスはタイヤを変えたりカーアクセサリーを選んだり、ちょっとした相談をする場所として利用されています。

 つまり、「生活動線のすぐ近くでクルマとの関係を支えている存在」がオートバックスの店舗だとすると、「EMTAが向かう方向と大きな親和性があるのです。お客様に来ていただくのを待つのではなく、毎日の暮らしの中で、お客様が自然とEMTAと出会い、相談し、我々とつながっていく関係性を作りたいと考えています」と語ります。

 従って、店舗そのものも変化させるそうです。これまでの自動車ディーラーのような大型店舗だけでなく、「ショッピングモールの中の小さなお店やクルマに自然に触れられる体験型のスペース。あるいは移動型の出張店舗もあるかもしれません。お客様の生活シーンに合わせて形態そのものを変えていきます」とのことでした。

ユーザーにとって“執事”のような存在に

 また、ユーザーとのつながりをどの店舗でもわかるような仕組み作りもするそうです。

 EMTが「マジックコネクト」と呼ぶこの取り組みは、「お客様自身とひも付き、EMTAと直接つながる」ものだといいます。

 ユーザーがどの店舗でも、担当以外でもこれまでの情報、例えばメンテナンスだけでなく、相談した内容等が把握できます。

「お客様と自然に会話がスタートし、自然につながっていく。あるいは旅行先で急にクルマについて相談したくなった時でも、何度も同じ話を繰り返す必要がないのです。

 店舗もコールセンターもアプリも全てつながっているからできることで、その裏側ではAIやDXも活用します」

 その結果として、「お客様がこの会社、気が利くなと思っていただける体験を少しずつ増やしていきたいのです」と述べました。

 最後に打越氏は、下記のように語りました。

「お客様ひとりひとりにとっての執事のような存在になりたいのです。そのためにも販売パートナーの方々とも、お客様にとって本当に心地いい体験は何だろうと議論を始めています。

 なぜ私たちがここまで協創、つまり市場の皆様と一緒に考え作り上げることにこだわるのか。それは本当に価値のあるブランドは市場に育てられるものだと強く思っているからです」

 まだどのように販売されるのか、価格を含めて公開されていないところは多くありますが、かなりのチャレンジが見込まれます。

 どんなクルマが登場するのかと同時に、どういった販売網が組まれ、ユーザーにとってそれはどのようなメリットがあるのか。新しい試みに期待したいところです。

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