クルマのタイヤは白かった? 当たり前に黒くなった理由とは
カーボンブラックに変わる素材は?
クルマのタイヤには、なぜカラフルなタイヤが出てこないのでしょうか。カーボンブラック以外にも、タイヤの性能を上昇させることが出来る素材があるといいます。世界三大タイヤメーカーである、ブリヂストンにタイヤの色について伺いました。
───フォークリフトなどには白や緑色のタイヤは存在しますが、クルマのタイヤはなぜ黒いままなのですか。
フォークリフトなどに使われる白や緑のタイヤは、カラータイヤと呼ばれ、床の汚れを目立たなくする事が優先されています。たとえば、食品工場などでは清潔感などを考えたとき、床にタイヤの汚れが付いてしまうと困るという理由から、カーボンブラックを使用していません。
クルマやトラックのタイヤであれば、カーボンブラックを使うことでタイヤの耐摩耗性や剛性を上げることができ、求められる性能を確保できることが大きな理由です。タイヤは、種類や用途に応じて求められる性能が異なります。ですので、クルマのタイヤとカラータイヤの性能を比較することはできません。
──カーボンブラックは、ほかの素材で代用はできないのでしょうか。
タイヤの性能を上げるためのものとして、カーボンブラックが一番優れているかといわれると、そういうわけではありません。タイヤに同じような性能をもたせるもののなかに、「シリカ」という素材があります。用途によっては、シリカが優れている部分もあります。
どちらもタイヤに求められている性能を高い次元でレベルアップさせていくために必要なもので、それぞれのタイヤに求められている性能を引き出すために、どう配合を組み立てていくべきか、ということを考えて材料は組み合わさっています。そのため、クルマやトラックに装着するタイヤを考えると、カーボンブラックは欠かせないということになります。
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タイヤは、求められる性能によって、色や形、大きさまでもが大きく変化します。また、素材の配合率も種類によっては、クルマのタイヤでも、ほとんどカーボンブラックを使用していないものも存在し、黒いからといって、カーボンブラックばかりが使用されているわけではありません。
しかし、現代のクルマやトラックのタイヤには、カーボンブラックが必要不可欠な素材であるため、今後も当分はタイヤの色は黒のままでしょう。
過去には、サイドウォールにカラーペイントがされたものや、トレッドの一部分に色の付いたラインが入っているタイヤなどが存在しました。そういった試みが今後あるか、ブリヂストンに伺うと「各社でもいろいろな研究開発を進めていると思います。いずれ多種多様なタイヤが出てくるのかもしれません。自動車業界がこの先どうなるのかというのは未知数かと思います」とのことです。
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