クルマのシートが6つに分割!? レクサス「新型ES」に採用のトヨタ紡織「TBlocks」 乗り心地とカスタマイズ性を両立し環境性能もアップした画期的構造とは

トヨタ紡織は「人とくるまのテクノロジー展2026」において、「Integration for Future Vehicle」をコンセプトに多彩な先進技術を披露しました。なかでも注目なのが、シートをブロック化して環境性能とカスタマイズ性を両立させた「多機能ブロックシート『TBlocks』」です。

ブーステーマは「未来の移動空間の拡張」

 パシフィコ横浜(神奈川県)にて2026年5月27日から5月29日にかけて開催された「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」。

 トヨタ紡織は、「Integration for Future Vehicle 安全・快適・環境の価値を統合し、未来の移動空間を拡張する」というコンセプトを掲げ、次世代の車内空間を提案する多彩な製品や技術を紹介しました。

 コンセプトモデル「I.C.30-Integrated Cabin 2030-」では、乗員の身体機能の向上をサポートし、運転中の重要な警告を音と振動で伝える機能を持たせたシートや、車両の走行位置に合わせて映像や音を流すコンテンツ体験システムなどが展示されており、人に寄り添う未来の移動空間が体験可能に。

 また、環境負荷低減に寄与する、廃棄対象の内装材料や部品を循環させるリサイクル技術および製品「PETサーキュラーエコノミー」や、周囲の音に紛れずに注意喚起を行うインフォテインメントシートといった安全面と快適面での付加価値向上への取り組みが幅広く紹介されました。

トヨタ紡織の「多機能ブロックシート『TBlocks』」
トヨタ紡織の「多機能ブロックシート『TBlocks』」

 そのようななかで今回注目したいのが、新しい構造を採用した「多機能ブロックシート『TBlocks』」です。

 同製品はレクサス新型「ES」(海外仕様)に採用されており、最大の特徴は従来のシートの概念を覆す分割構造にあります。

 担当者は「従来のシートは、バック1つ、クッション1つで構成されていました。こちらは、バック3つ、クッション3つで、このシートも実は3つに分かれるんです。私たちはその単位をブロックと呼んでいます」と、そのユニークな構造について語ります。

 サイドのブロックやメインのブロックといった具合に、機能ごとに分かれたパーツを組み合わせて一脚のシートを作り上げました。

独自のブロック構造
様々なニーズに応える

 このブロック構造は、現在市場に流通している既存のシートフレームにそのまま取り付けることができるため、現在製造されているものからの置き換えもスムーズに行えるという高い互換性を持っています。

 使用している部品自体はすべて共通で、現在トヨタ車などで採用されている一体型のシートフレームに対しても、このブロックパーツをそのまま取り付けることが可能です。

 そのような構造の刷新は、環境性能の向上に大きく貢献しているといいます。それぞれのブロックは、カバー、パッド、そして新たに採用された基材樹脂という要素で構成されています。

 これらの構成を最適化することで、カバー、パッド、基材樹脂を一気にモノマテリアルまで分解することが可能になりました。

 結果として、従来のシートと比較して解体にかかる時間を約20%も短縮することに成功し、易解体性が大きく向上しています。

 さらに、元々ウレタンが詰まっていた部分に機材樹脂を配置したことで、シート全体で使用されるウレタンの量を約20%削減することにも成功。

 ウレタンの使用量を減らすことは、製造過程および廃棄時のCO2排出量削減に直結し、環境課題に対する有効なアプローチとなります。

 なお、ウレタンを基材樹脂で代替していますが、重さは同等を維持しているとのことです。

TBlocks」はレクサス新型「ES」(海外仕様)に採用されている
TBlocks」はレクサス新型「ES」(海外仕様)に採用されている

妥協のない乗り心地と安全性の追求

 TBlocksは環境性能やリサイクル性に優れているだけでなく、シート本来の役割である「乗り心地」と「安全性」においても確かな進化を遂げています。

 複数のブロックに分割された機材樹脂がフレームに乗る構造となったことで、着座した際の人体の圧力が適切に分散される仕組みになっています。

 中央のメインブロックは、座面のクッション部分であれば上下に、背もたれのバック部分であれば前後にたわむ特性を持たせています。

 これにより、車両がカーブを曲がったり走行したりする際の動きに合わせて、シートが乗員を包み込むようにフィットし、従来よりもさらに高い乗り心地性能を実現しています。

 実際に座ってみると、各ピースがバラバラになっているような違和感は全くなく、身体の横のサポートがしっかりと機能し、高い一体感とホールド感があるのがわかります。

 この分割構造を実現するまでには、さまざまな苦労があったといいます。担当者は「世に出す以上は法規で定められた厳しい性能基準をクリアしなければなりません。なかでもサイドエアバッグへの対応には苦戦しました」と話します。

 サイドエアバッグはシートのドア側に搭載されていますが、エアバッグが展開する際の爆発的な力によって、シート内部の機材樹脂が飛散してしまうと、乗員に危害を及ぼす危険性があります。

 そのような事態を防ぐため、材料開発のチームは特殊な形状の樹脂を考案し、エアバッグが前方に開く際の挙動を計算して、力が逃げるようにさまざまな工夫を凝らしました。

 その結果、エアバッグ展開時にも樹脂が割れないという安全な構造を実現することに成功したといいます。

広がるカスタマイズの可能性

 TBlocksが持つもう一つの魅力が、ブロック単位でシートを入れ替えられるという高いカスタマイズ性です。

 例えば、最初は白い内装のシートを購入したとしても、後から気分を変えて赤いブロックや緑のブロックに変更するといった、ユーザーの好みに合わせたパーソナライズが可能になります。また体格に合わせて形状を調整すれば、快適性・安定性の向上もはかることができます。

 特筆すべきは、クルマにシートを装着した状態のまま、特別な工具を使用せずに手作業でブロックを取り外せるように設計されている点です。

 担当者は「易解体性を重視しているものなので、取扱説明書などは必要になってくると思いますが、比較的簡単に交換ができるようになっています」と話していました。

 現在トヨタ紡織では、このカスタマイズの仕組みをどのようなビジネスモデルとして展開するか、前向きに検討を進めている段階とのこと。

 担当者は「本日ここで紹介しているなかでも、カスタマイズについて好意的な声が多いので、速やかに進めたいと思っています」と、事業化に向けた熱意を語りました。

【画像】トヨタ紡織「多機能ブロックシート『TBlocks』」の詳細を画像で見る

【複数社比較】愛車の最高額を見る(PR・外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: くるまのニュース編集部

【クルマをもっと身近にするWEB情報メディア】
知的好奇心を満たすクルマの気になる様々な情報を紹介。新車情報・試乗記・交通マナーやトラブル・道路事情まで魅力的なカーライフを発信していきます。クルマについて「知らなかったことを知る喜び」をくるまのニュースを通じて体験してください。

【2026年最新】自動車保険満足度ランキング

【頭金0円】毎月1万7千円代でフォレスターに乗れる!?(PR・外部リンク)

最新記事

全国のガソリン平均価格
2026/05/31時点最新
直近の平均価格
レギュラー
165.5 +0.1
ハイオク
176.7 +0.2
軽油
154.9 -0.3
情報提供元:株式会社ゴーゴーラボ
gogogsで詳細をみる

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー