AIテスト自動化から拡張型NOA、統合制御まで 最新SDV技術をアステモが展示
5月27日からパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2026」にて、メガサプライヤーであるアステモが最新技術を展示しました。SDV時代の到来を見据え、AIを活用したデジタル開発の効率化や、環境・安全領域の高度な統合制御技術など、次世代の事業戦略と具体例を解説します。
アステモが人テク2026出展 AI開発基盤や統合制御などSDV時代の技術を解説
パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」にて、アステモは次世代のモビリティ社会に向けた先進技術を展示しました。
SDVの実現に向けたデジタル開発の効率化から、環境・安全領域の統合制御まで、現地担当者の声を交えて各ブースの詳細な出展内容を解説します。

Astemo(アステモ)は、自動車部品を取り扱うグローバルメガサプライヤーです。
日立製作所、本田技研工業(ホンダ)、JICキャピタルによる持分法適用会社として運営されています。
世界中で約8万人の従業員を擁しており、日本国内にとどまらず、アメリカ、アジア、中国、ヨーロッパなど多岐にわたる地域で事業を展開しています。
主な事業部門は、電動ビジネス事業部、車両ビジネス事業部、モーターサイクル事業部などで構成されています。
四輪車や二輪車向けの自動車部品の開発・製造・販売・サービスを行うほか、輸送用ならびに産業用の機械器具やシステムの構築も手掛けています。
また、アステモの完全子会社としてAstemo Cypremos(アステモ・サイプレモス)株式会社も事業を展開しています。
同社はソフトウェアおよびクラウドサービス事業を推進する専門組織です。アステモは持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目標に掲げ、ハードウェアとソフトウェアの両面から次世代モビリティの開発基盤を提供しています。
今回、アステモおよびアステモ・サイプレモスは、SDV時代を牽引する高度化したソリューションとプロダクトについて、「環境」「安全」「デジタライゼーション」の各領域に関する技術を展示しました。
これらを組み合わせた統合制御技術や、クラウド連携技術などの開発状況が紹介されています。

■AIによるデジタル開発
デジタライゼーションの展示では、「モノづくりの常識を超え、価値創出を最速へ」というテーマのもと、ソフトウェアとクラウドサービス事業を担うアステモ・サイプレモスによる実演が行われました。
同社は車外のクラウド環境と車内システムを接続し、新たなサービスを提供する役割を担っています。
ブースでは、自動車開発における要件定義からテスト実行までのプロセスをAIで自動化するデモンストレーションが展示されました。担当者はその目的について次のように語ります。
「走行データを収集して新たな開発に活かし、シミュレーションを経た上で実装するというサイクルを回しています。この仕組みが、クルマの進化を早めるための基盤となります」
これまでは知見を持つエンジニアが仕様書を読み込み、テストケースを作成していましたが、AIを導入することで、自動車業界の標準規格に沿った要件の抜け漏れを自動で抽出できるようになります。テキストだけでなく、図表やフローチャートをAIが読み取って解析することも可能です。
さらに、複数の電子制御ユニット(ECU)を連携させるクロスドメイン検証における課題解決についても言及されました。
「単体のECUテストから複数のECU統合へと移行するにつれ、検証すべきパターンは膨大な数に上ります。このテストケースの作成からスクリプトの実行までをAIに任せることで、業務の最適化と効率化を図っています」
このシステムは現在社内でテスト運用中であり、将来的な量産化を見据えて開発が進められています。

■三段階で進む環境技術
環境領域では、「環境ストレスフリーで持続可能なモビリティ社会へ」を目標に掲げ、省資源と省エネルギーに貢献する製品群が並びました。
レアアースフリーモーターやインホイールモーター、統合型チャージャーなど、環境負荷低減を実現するための具体的な要素技術が紹介されています。
持続可能なモビリティ社会の実現に向けたプロセスについて、担当者は今後のロードマップを示しました。
「我々は短期、中期、長期の3つの軸で目標を定めています。短期的には各製品単体の電力効率を向上させること。
中期的には、我々の製品と車側のシステムを組み合わせ、車両全体での高効率化を探ることです。
そして長期的には、車両単体にとどまらず、家や外部のインフラストラクチャーと連携した効率化を目指しています」

■統合制御がもたらす安全性
安全領域のテーマは「すべての人に移動の自由と喜びを」です。
ここでは、自動運転の基盤となるNOA(Navigation on Autopilot)やMDS(Manual Driving Support)、さらにはステアバイワイヤシステム(Smart SBWS)といった技術が展示されました。
自動運転機能の拡張性について、担当者はシステム設計の柔軟性を次のように話しています。
「すべての基本となるルールベースのADAS(先進運転支援システム)を共通化した上で、高速道路用や一般道用といった個別のNOA機能をブロックとして追加できる、段階的なシステムアーキテクチャを構築しています」
また、サスペンションやブレーキ、ステアリングを連動させた車両運動制御の技術も解説されました。
「マルチカメラによる3Dセンシングを用いて、路面の凹凸を立体的に把握します。例えば前方に路面のへこみがある場合、そのまま通過すると車体が落ち込んで大きな振動が発生します。
そこで、事前にダンパーの硬さを調整したり、速度を制御したりすることで、衝撃を和らげて滑らかに乗り越えることが可能になります」
複数の部品を自社で手掛けるサプライヤーならではの、連携制御技術がうかがえます。

■二輪車への技術応用
四輪車向けの技術を応用し、モーターサイクル分野における展示も行われました。
環境対応として二輪車用のインホイールモーターが紹介されたほか、安全領域においては、カメラセンシングを活用して二輪走行の安全性と快適性を高めるADAS技術が公開されています。
※ ※ ※
アステモは、車両の智能化やフィジカルAIの活用を通じて、変化の激しい自動車産業において継続的な事業展開を図っています。
各領域の技術を融合させることで、次世代のモビリティ開発を推進していく姿勢が示された展示会となりました。
Writer: くるまのニュース編集部
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