豊田合成、脱炭素と次世代安全を提案 モビリティ変革を支える技術を人テクで展示
豊田合成は、パシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に出展しました。モビリティの変化や脱炭素化をテーマに、水素コンセプトカーや新構造のエアバッグ、再生プラスチック技術などを公開。環境対応と安全性を両立する次世代の自動車部品技術を詳しく解説します。
豊田合成が「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に出展
豊田合成は、2026年5月27日から3日間にわたりパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」にてブースを出展。
本展では、同社が得意とするゴムやプラスチック技術を基盤とした新たなモビリティ向けの製品群が披露されています。
生産工程における環境負荷低減や、将来の自動運転を見据えた乗員保護技術など、多様なアプローチによる技術開発の現状とはどのようなものなのでしょうか。
豊田合成のブースは、大きく分けて3つのテーマで構成されています。
担当者はブースについて、「新たなモビリティへの対応として、当社の強みであるゴムやプラスチック分野の将来技術を搭載したコンセプトカーや、セーフティシステム製品の新たなラインナップである『新構造の前席センターエアバッグ』などを展示します。また、脱炭素化への対応として、生産工程のCO2削減に貢献する『インモールドコート技術』や廃車から回収した『プラスチックの再生技術』などを紹介しています」と解説。
このように、安全、快適、環境対応という自動車業界が直面する主要な課題に対する解決策が、順を追って見学できるレイアウトとなっています。
■豊田合成の提案する水素とモビリティとは
メイン展示は新たなモビリティへの対応として、ジャパンモビリティショー2025でも展示された「FLESBY HY-CONCEPT(フレスビーハイコンセプト)」と名付けられたコンセプトカーです。
これは、同社の将来技術を搭載し、水素を燃料として走行することを想定して開発されたモデルです。 モビリティと暮らしがシームレスに繋がる未来を提案しています。
このコンセプトカーには、車両と歩行者の関係性を構築する安全技術も組み込まれています。
フロントノーズやボンネット周りに搭載された「ポップアップフェンダー」は、自転車や歩行者などとの衝突時に、ボディの一部が張り出すシステムです。
張り出しによって衝撃を吸収し、衝突相手が投げ出される際の勢いの減衰および方向のコントロールを目指しています。
外装面には「サステナブル外板ボディ」を採用し、バンパーなどの外板部品にはプラスチックやゴムのリサイクル材が使用されています。 さらに、光や音で運転状況を知らせる「ボディサイネージ機能」も備えられています。
また車両を動かすエネルギー源として「ポータブル水素カートリッジ」を採用。燃料電池車「MIRAI」向けに開発した高圧水素タンクの貯蔵技術を応用しており、炭素繊維強化プラスチック層とガラス繊維強化プラスチック層を用いた構造から、持ち運びに適した樹脂ケースへと変更。担当者いわく「重量は8キロぐらい」だといいます。
ポータブル水素カートリッジについて担当者は「例えば家のキッチンやキャンプなどで水素で使うなど、今後色々なことが出来るのではないかなと、そういうのも提案していけたらいいなと思っています」と説明し、モビリティにとどまらない利用シーンを説明しています。
■新構造エアバッグの特徴は?
安心・安全の価値を提供する製品として展示されたのが「新構造の前席センターエアバッグ」です。車両の側面衝突時に乗員同士が激突する二次被害などを防ぐために開発されました。
自動運転技術の普及などに伴い、コンソールボックスでバッグを支えることができない車室内レイアウトへの変化が見据えられています。
従来の構造ではコンソールボックスを支えにしてエアバッグが倒れるのを防いでいましたが、新製品ではエアバッグ展開時に2本のストラップでバッグ下部を引き締める構造が採用されています。
これにより、支えがなくてもバッグ単体で自立可能となりました。汎用性が高く、あらゆる車種のシート骨格に搭載可能である点が特徴です。

■生産工程のCO2削減に貢献するインモールドコート技術
脱炭素化への対応として初展示されたのが、「大型製品に適用可能なインモールドコート技術」です。
この技術は、プラスチック部品の「成形」と「塗装」を同一工程の金型内で同時に行う生産技術です。
従来の製造工程では成形後に別工程で塗装を行っていましたが、この技術により塗装ブースや乾燥炉が不要となります。 結果として、生産時に排出されるCO2を約6割削減することに貢献しています。
環境負荷の低減だけでなく、品質向上も実現しています。豊田合成独自の「大型製品向けの金型技術」と、関西ペイントとの協業による「塗料の材料設計技術」を組み合わせて開発されました。さらにウレタン塗料の採用により耐久性が向上し、洗車時などの擦り傷が目立ちにくくなるという利点も持っています。
意匠性の面では、塗装面の高い平滑性により、ガラス面と一体感のあるシームレスな外観を実現。リアガラスからラゲージパネルにかけて、つなぎ目が目立ちにくく景色が鏡のように鮮明に映り込みます。
このような難易度の高い大型外装部品の量産への適用は国内初の取り組みであり、すでに関西ペイントとの協業によりレクサス「ES」のラゲージパネルに採用されています。
■ゴムの再生技術とは
脱炭素化と資源循環に向けた展示として、ウェザストリップ製品の生産時に発生する廃棄ゴムのリサイクル技術が紹介されました。
ゴムのリサイクルに関して、担当者は「ゴムのリサイクルは非常に難しいと言われています。これはゴムを作る時に、このゴムの弾性を作るために硫黄を入れているんですが、リサイクルするにはその硫黄を1回取り除いてもう1回入れないといけません」と、その技術的難易度を説明します。
同社は独自の「脱硫再生技術」を用いてこの課題に対応しています。再生工程は4つのステップに分かれています。まず「破砕」工程で廃棄するウェザストリップ製品を10から15センチメートルの大きさに砕きます。次に「金属分離」工程で、製品にインサートされた金属を磁石を用いて取り除き、ゴムだけを抽出します。
3つ目の「脱硫再生」工程について、担当者は「弊社の技術で、2軸のスクリューで硫黄結合の部分だけブチブチ切っています。切って、熱や圧力を加えることで、1回普通の再生ゴム、リサイクルしたゴムに戻して、そこからまた硫黄を混ぜたり、あと新材のものを混ぜて普通のゴムにするっていうのをやってます」と解説しました。
工程内のスクリューを高速回転させながらエネルギーを加え、温度と圧力を制御して水を用いて臭気成分を蒸気と共に排出します。最後に「再生ゴムの生成」工程を経て、配合率20%以上の再生ゴムが作られます。
この技術を用いた部品はすでに量産車に採用されています。担当者は「新型RAV4のドア部分のシールラバーに再生ゴムを使っています」と実績を明かしました。

■プラスチックの再生とは
続いて、廃車由来プラスチックの水平リサイクル技術についての解説が行われました。
自動車における素材別の使用重量において、プラスチックは16%を占めています。 担当者は「あの比重で言うと鉄の半分以下になっていますので、ボリュームで言うと半分近くプラスチックになってます」と、体積比での影響の大きさを説明しました。
欧州での規制強化の動向も背景にあります。 ELV規則案の議論状況について、パネルでは2025年12月12日の暫定合意案が示されました。
担当者は「最新の情報では例えば32年は15%リサイクル材を使っていないとクルマの販売ができないというところの規制を作っていこうとなってますし、36年ではそれが25%まで高まります」と解説。
パネル資料によると、このうち自動車由来の再生プラスチック含有率は2032年で3%、2036年で5%と定められています。
廃車から回収したプラスチック部品を新車部品に蘇らせる水平リサイクル技術は、いその株式会社との協業により実現しました。工程は5つの段階で構成されます。1つ目は廃車からの「回収」、2つ目は回収した部品を細かくする「粉砕」です。
3つ目の「塗膜剥離」について、担当者は「バンパーそのものだと、塗料がまだついているので、そのままリサイクルできません。この塗料を取る必要があります」と説明。 塗料を剥がす技術について担当者は「塗膜剥離っと言うのですが。精米機の原理で塗膜を剥がしています」と明かしました。
4つ目の「コンパウンド」工程では、独自の配合設計技術と混練技術を用い、リサイクル原料50%、新材50%の割合で配合し、新材と同等の再生プラスチックを生成します。
最後の「成形」工程を経て自動車部品として活用されます。 担当者は他社との連携の重要性について、「弊社一社だけでは難しいですが、例えば解体業者や回収業者など、色々な会社との組み合わせでやっと成り立つもの」と述べています。

■環境対応の未来へ
部品の材料調達からリサイクル・廃棄におけるCO2削減に向けた取り組みは、独自の改質技術により新素材同等レベルの耐衝撃性や強度などを実現しています。
豊田合成の展示は、コンセプトモデルによる未来の提案と、量産部品を通じた現実の課題解決の両輪で構成されていました。
モビリティ産業が変革期を迎える中、部品メーカーの技術開発が自動車の進化を支えていることが示される展示内容となっています。
Writer: くるまのニュース編集部
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