ジェイテクトが「シンカステア」発表 操舵技術で移動の未来を創る 人テクで展示も
ジェイテクトはステアバイワイヤの新ブランド「Syncusteer(シンカステア)」を発表し商標出願しました。人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMAでのプレスカンファレンスとリリース内容をもとに、同社が推進する事業変革と次世代ステアリング技術がもたらす体験価値の未来を解説します。
ジェイテクトの新ブランド「シンカステア」とは
ジェイテクトは、ステアバイワイヤシステムの新ブランド「シンカステア」に関する発表を2026年5月7日に行っています。
今回は、そのシンカステアなどに関して技術イベント「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」の自社ブースにおいて、改めて説明が行われました。
ブースでは、同社の自動車事業本部領域長 近藤美雄氏が登壇する。本記事では、部品供給から課題解決型ビジネスへの変革を目指す同社の戦略と新技術などを解説します。

ジェイテクトは光洋精工の創業(1921年)や豊田工機の設立(1941年)以来、祖業であるベアリングや工作機械を通じて多様な産業に貢献し、自動車の「走る」「曲がる」を支える領域で成長してきました。同社は2030年に向けたビジョンとして、モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創る「ソリューションプロバイダー」になることを掲げています。
これに伴い、従来の受動型ビジネス、すなわち顧客から要求仕様を受領してユニットを供給する体制からの脱却を進めています。今後は社会課題を理解し、ニーズを起点に適切なビジネスモデルでソリューションを提供する体制への転換を図ります。
そのなかで近藤氏は「我々ジェイテクトは単なる製品提供から、課題を解決する集団への転換を進めております。その実現に向けて『Yes for All, by All!』、みんなのためにみんなでやろうを合言葉に全員で取り組んでおります」と説明しました。
この変革は、既存製品を高付加価値化して投資効率を向上させ、生み出した原資を元手に課題起点で新領域へソリューション提案を行うという2つの軸で推進されます。近藤氏は「価値の起点を仕様から課題へと変え、お客様と共創することによって価値を提供していきます」と方針を語っています。
■シンカステアに込めた思い
同社は、自動操舵制御システム「Pairdriver」や高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy」などの新領域へ挑戦する中で、ステアバイワイヤの新ブランドとして「Syncusteer(シンカステア)」を立ち上げ、商標登録出願を行いました。
1988年に世界で初めて電動パワーステアリング(EPS)を開発・量産したパイオニアとしての誇りと責任がその背景にあります。
名称には3つのメッセージが組み込まれています。近藤氏は「1つ目がシンク。人と車、そして機械が自然に寄り添い、協調する姿を表現しております。2つ目がステア。操舵技術を進化させ、体験価値を拡張させていくという思いを込めています。そして3つ目がアスです。アスはシンクとステアをつなぐ位置づけとして、お客様とジェイテクトが一緒に価値を作り上げていくという思いを込めています。シンカステアは人と車の関係を進化させる取り組みそのものです」と詳述しました。
また日本語の「シンカ」には、技術の進化、関係性の深化、ジェイテクトが提供する真価という3つのコンセプトが含まれています。ロゴデザインは「J」と「S」に可能性の広がりを示す「無限」を重ねています。
近藤氏は「さらに、機械的なリンクに依存しないリンクレスな構造を形で表現しております。ステアバイワイヤによる新しい価値を象徴しています」と解説しました。
■自動運転がもたらす操舵の進化
自動運転技術の進展に伴い、先進運転支援システム(ADAS)はレベル2からレベル3、そしてレベル4へと高度化し、ドライバーの運転への関与は段階的に減少していきます。
近藤氏は「それに伴い、移動そのものの質や体験価値がより重視されるようになります。その変化に合わせ我々ジェイテクトは、ステアリングも従来のEPSからリンクレスなステアバイワイヤへと進化していきます」と説明。
シャフトに代わり電気信号が操舵を担うことで、制御がより自由かつ緻密になります。これにより、格納式ステアリングの導入や車室内空間の自由度拡大といったコクピット革新が可能に。さらに操作量の軽減、衝突回避性能の向上、自動運転とドライバーの協調制御などのメリットが生まれます。
ビジネスのスコープは、運転を楽にする「モビリティ1.0」から、移動を快適にする「2.0」、そして移動体験を拡張する「3.0」へと拡大します。
近藤氏は「ステアリングは単なる操作系から、体験のインターフェースへと変わり、シンカステアはその中核となるプラットフォームになります」と説明しました。

■技術から体験価値を提案する場
会場の展示ブースでは「共創で、課題は可能性に変わる」をコンセプトに、3つのコーナーでソリューションを紹介しています。
安全・安心・快適でつなぐモビリティ領域のほか、環境貢献でつなぐCNや水素ソリューション、モノづくりでつなぐノーコードAI画像認識プラットフォームなどが展示されています。
メインテーマであるシンカステアのコーナーについて、近藤氏は「レクサスRZの量産車に搭載された量産品展示をはじめ、コックピットのVR体験を通じて技術だけでなく体験価値をご理解いただけます」と説明しました。
最後に近藤氏は「ジェイテクトは新ブランドシンカステアを立ち上げました。これは単なる技術だけではなく、新しい価値を提供する取り組みです。ジェイテクトは人と車の関係を進化させるステアリング、シンカステアを提案していきます」と締めくくり、ソリューションプロバイダーとしての展望を示しました。
Writer: くるまのニュース編集部
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