スバル新型「フォレスター」e-BOXER試乗 色々な意味でブレッド&バター! その意味とは
2018年6月20日に発売された新型「フォレスター」。メディア向け公道試乗記で感じたフィーリングを自動車ジャーナリストの国沢光宏氏が紹介します。
新型フォレスターはブレッド&バター
クローズドコースでの試乗レポートは、すでにお届けしている新型フォレスターですが、今回は「公道初試乗」ということになります。結論から書くと『良い意味でもそうでない意味でもブレッド&バターですね!』。その意味を以下、じっくり説明していきます。
スバル「フォレスター」というクルマは2018年6月に5代目モデルへと進化し、世界規模で人気を得ています。とくにアメリカで売れていることから、アメリカの市場を意識して開発されたと予想できます。
アメリカの物価というのは結構高く、当然ながらアメリカ人の平均年収も日本より多いです。例えとして、「ビッグマック指数」というその国の物価と貨幣価値を指標にしたものがあります。
2018年時点で、日本でのビッグマックは390円、これに対しアメリカでは585円です。これをスバル「フォレスター」で考えてみると、アメリカでの価格は2.5リッターエンジン車でおおよそ2万6千ドル(約286万円)。アメリカ人からすれば、日本人の190万円くらいの感覚になります。
アメリカ人はスバル「フォレスター」を、日本人がコンパクトカーSUVのホンダ「ヴェゼル」を買うような価格のクルマとして考えている感覚です。アメリカ人からすると「フォレスター」はいわゆる『ブレッド&バター(パンとバターの意味。毎日の暮らしを意味する)』だったのです。
そこで、2台を比べるのにこんな例があります。ホンダ「ヴェゼル」の場合、冷房をかけ信号待ちでアイドリングストップ状態だと、30秒ほどで生ぬるくて湿気た風になり、あまり気持ち良くなくなります。ガマン出来なくなるタイミングでエンジンが掛かり、冷風が出ますが、新型「フォレスター」も全く同じ。信号待ちすると生ぬるい風になり、やがて車体を揺らしてエンジンが始動します。
アメリカ人の感覚で190万円のクルマなら納得できます。しかし、日本だと「フォレスター」は300万円以上する高級車。いまや信号待ちでエアコンがぬるくなる高額車は少なくなってきました。とくにハイブリッド車なら電動エアコン・コンプレッサーを採用しているため信号待ちでも快適で、「フォレスター」が300万円以上のクルマだと思うと少し物足りない印象を受けます。