売れ過ぎても困る? スズキ 新型「ジムニー」の納期が長引く理由とは
ジムニーの需要を見誤って準備も不足
スズキは日本国内では軽自動車が中心のメーカーですから、短期の納車を希望する顧客も多く、納期遅延を嫌う傾向が強いです。そのために他メーカーと違って、ジムニーについても「発売後1ヶ月の受注台数が、1年分に相当する1万5000台を突破!」といった報道発表は行っていません。
顧客を待たせることを誇る真似をしないのは良いことですが、それにしてもジムニーの納期遅延は問題です。早期解決が求められます。
現行ジムニーは、1970年に発売された初代モデルを連想させる直線基調の外観が特徴です。1998年に発売された先代型は、都会的なSUVの流行に沿って丸みのある形状にしましたが、現行ジムニーは対称的です。その結果、ジムニーの個性が際立って人気を高めました。
こうしたジムニーのクルマ造りが、顧客からどのように受け止められるのか。スズキにはそこまで見通した上で、当面の国内販売目標台数を決めて生産の準備をしておく必要がありました。予想以上の人気ともとれますが、国内におけるジムニーの需要を見誤って準備も不足した結果、納期が伸びてしまったのです。
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Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。