21世紀の三菱「ランエボ」は走りだけじゃない! ワゴンモデルやEVも登場
21世紀となり、ランエボはランサーセディアがベースの第3世代へと変化し、「VII」「VIII」「IX」が登場。大きくなった車体ながらエンジンを強化し、旋回性能を高めるメカニズムも新たに加え、走りはますます進化していきました。
エボVIIは大きくなっても驚きの旋回性能
21世紀となり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが大阪市に開園した2001年、三菱は前年に発売した「ランサーセディア」をベースにした「ランサーエボリューションVII」を2月に発売しました。
ベースとなったランサーセディアが大きくなったことや、「ランサーエボリューションVI」の1360kg(GSR)に比べ1400kgに増えた車重を補うべく、2リッター4気筒4G63型ターボエンジンをチューニングし、最高出力こそ自動車メーカー馬力自主規制いっぱいの280PSでしたが、最大トルクを39.0kg-mまでアップさせ、加速性能を向上させました。
先代比で1.5倍の曲げ剛性を持つ新開発ボディと、路面状況に合わせてセンターデフをコントロールする機能を投入し、大きく重くなりながらも旋回性能は高められていました。
また旧モデルまでは「ランサー GSR エボリューション」(またはRS エボリューション)と言う車種名でしたが、このモデルからは「ランサーエボリューション GSR」(またはRS)に変更されています。
2002年2月には、シリーズ初となる5速オートマチックトランスミッションと、ボンネットのエアアウトレットなどを持たない大人しい外観を採用した「ランサーエボリューションVII GT-A」も発売されています。
6速MT化とカーボン製リアウイングで装備のエボVIII
2003年の1月には、6速マニュアルトランスミッションを搭載した「ランサーエボリューションVIII」がデビューしました。2リッター4気筒4G63型ターボエンジンはさらにチューニングされ、最高出力280PS/6500rpmと変わらないが、最大トルク40.0kg-m/3500rpmまで高められ、クロスしたギア比を持つ6速MTと合わせられたことで驚異的な加速性能を誇りました。量産セダン世界初のカーボン製リアウイングも装着されたこのモデルからです。また、海外への輸出も開始されました。
さらに2004年2月、往年の名車「ギャランGTO MR」をインスパイアした「ランサーエボリューションVIII MR」が発売されています。ルーフパネルやドアのサイドインパクトバーのアルミ化などにより約10kg軽量化されたボディと、大径ターボが装着されたことで、最大トルクが40.8kg-m/3500rpmまで向上しています。
ワゴンも登場、可変バルタイを採用したエボIX
2005年3月、ターボのコンプレッサー変更や可変バルブタイミング機構を採用した「ランサーエボリューションIX」が発売されました。最高出力は280PS/6500rpmで旧モデルと同様ですが最大トルクは41.5kg-m/3000rpm(RS/GT)と、より低回転からトルクを発生するエンジン特性となりました。幅広くなったトルクバンドと高回転域のレスポンス改善により、コーナーの立ち上がりの加速はさらに向上しました。
また9月には、このエボIXをベースとした「ランサーエボリューションワゴン」も登場。ワゴンボディをベースにしたレースマシンでスーパー耐久に参戦するなど、車好きたちを驚かせたものです。
2006年8月にはエボVIIIシリーズ同様に、「ランサーエボリューションIX MR」と「ランサーエボリューションワゴン MR」が発売されています。ターボのコンプレッサー変更などでレスポンスの向上を図り、GSRではアイバッハ社製コイルスプリングの標準採用で重心を下げるなどのチューニングが施されていました。これが4G63型エンジンを搭載した最後のモデルになりました。
電気自動車のランエボ「ランサーエボリューションMIEV」
エボIXには、市販はされていませんが、電気自動車の実験車「ランサーエボリューションMIEV」が作られました。2005年8月27日と28日に徳島県で開催された電気自動車のイベント「四国EVラリー2005」に出場しています。
実験車ではありましたがナンバープレートを取得し、ラリーに参戦。駆動のメカニズムではホイール内部にモーターを内蔵した「インホイールモーター」を採用し、4輪それぞれに配置しているため4WDとして走行しました。
【了】