日本車最多の8冠達成! 過酷なニュル24時間でSUBARUはなぜ優勝出来た? 50台が消えたサバイバルを制した勝利の裏側【PR】
世界一過酷なサーキットで開催される「ニュルブルクリンク24時間レース」。2026年は悪天候により、161台中50台がリタイアする壮絶なサバイバル戦となりました。この「緑の地獄」で、SUBARU「WRX S4」が見事クラス優勝を飾り、日本車最多となる8冠の偉業を達成! 大荒れのレースで、なぜスバルは勝ち切ることができたのか? 緻密な燃費戦略やマシンの進化、精鋭メカニックたちの絆など、勝利の裏側に迫ります。
そもそもニュル24時間レースとは?
ニュルブルクリンク24時間レースをご存じだろうか。
ドイツ西部のアイフェル地方の低山地帯にあるサーキットで、毎年行われているツーリングカーによる24時間耐久レースだ。
モータースポーツに詳しい人の中には「偉大なる草レース」と呼ぶ人もいるだろう。また、スポーツ車両開発には欠くことのできない場所だと言う人もいるだろう。
2026年5月16日(土)、17日(日)に今年も開催された。集まった観客はなんと35万人以上!それほど有名であり、注目度の高いモータースポーツだ。
そのニュル24時間レースにSUBARUからWRX S4をベースにしたレース車両で参戦し、クラス優勝を成し遂げているのだ。
しかも8回目の偉業であり、日本車ではこの記録が最高記録だ。

今年のニュルには現役F1ドライバーのマックス・フェルスタッペンが参戦し、世界中から注目を浴びた。そのフェルスタッペンと一緒にアマチュアのトップドライバー(ジェントルマンドライバー)も一緒にレースをする。
だから偉大なる草レースとも言われるのだが、今年は161台もの参戦があった。通常のサーキットでは30台〜40台が最大の台数。F1でさえ20台でレースをしている。そのサーキットレースに161台がヨーイドンで競走を始めるのだ。
一周25.378kmもあるサーキット。これも世界で唯一だ。富士スピードウェイは1周4.563km、、鈴鹿サーキットは5.807kmと見比べれば、その圧倒的な長さがわかる。
この長いサーキットを24時間走り続け、最も多く周回したチームが総合優勝になるレースだ。
このコースの特徴はノルドシュライフェという北コースだ。その北コースはまるで一般道のワインディングロードのように、曲がりくねり、長いストレートがあり、しかもエスケープゾーンはなく、コース脇はすぐにガードレールになっている。
スピンでもしようものならガードレールにぶつかり大破してしまう。だからニュルをよく知る人は北コースをグリーンヘル(緑の地獄)と表現している。
過酷な24時間レース、結果を振り返る
そうした厳しいコースで戦うニュル24時間レースに、SUBARUのモータースポーツ関連子会社のスバル テクニカインターナショナル(STI)が挑戦をし続けている。
SUBARU/STIは2008年から参戦を開始し、コロナ禍を除き、毎年参戦している。そして2026年の挑戦でもクラス優勝を果たし、総合でも31位でフィニッシュしている。
今年のニュル24時間レースは天気に翻弄されたレースと言ってもいい。地元では「ニュルウェザー」と言われ、天候が目まぐるしく変わる。雨、風、雷、ひょうまで降る。しかも短時間に変わる。
ピット付近は晴れているが、10kmポスト付近は豪雨、15km付近はひょうが降っているといったことが起こるのだ。25kmも距離があると、どこかで雨が降っている。それがニュルウェザーなのだ。
この天候がレース期間中の毎日のように続き、予選で早くもクラッシュするマシンもいた。だから161台が出走し、50台がクラッシュしてリタイアするサバイバルレースだったのだ。
そうした中、SUBARU WRX S4は終始安定して走行し、大きなトラブルを出すこともなく24時間を走り切りクラス優勝を遂げている。

その大きな勝因について監督の沢田拓也氏は「持ってきたスリックタイヤがいい仕事をして、他のチームがレインタイヤに変えているところを、われわれはカットスリックで対応できたし、少しの雨ならスリックのソフトタイプでも走れました。AWDの性能とタイヤのマッチングが良かったとドライバーからコメントもらっているので、そうした性能も勝利につながったと思います」という。
また高津益夫総監督は「モータースポーツも自然との戦いだったと肌で感じるレースでした。これだけ自然環境が変わる中で、トラブルを起こさずトップスピードで走り切ることの難しさを実感しています。SUBARUが進める『Adventureシーン』と『Performanceシーン』の両立でSUBARUブランドを際立たせることが証明できたと思います」と語った。
もちろん、ドライバーのカルロ・ヴァン・ダム、佐々木孝太、井口卓人、久保凜太郎4名のドライバーの技量が確かであることは言うまでもないが、そのドライバーたちが口を揃えてマシンのバランスがよく、安定しているので、安心してアクセルが踏めたというのだから、WRX S4の完成度の高さを証明していたと言えるだろう。
■前回のレースからの修復点、マシンの進化/開発過程における創意工夫のポイントとは
そのWRX S4は2024年からのキャリーオーバーで毎年アップデートをしているマシンだ。とくに前年は大きなクラッシュを喫しており、車体全体のズレや歪みを修復して今季参戦している。
また今季は吸気リストリクター径を拡大し吸気量を増やしている。その分ターボの過給圧をあげることができ、出力をアップさせて挑戦していたのだ。
もっとも、リストリクター径を大きくすると車両の最低重量を増やす規則があるので、重量増になった分を出力で取り戻せるのか、また燃費が悪くなる分、レースにどんな影響がでるのかなどを織り込んで再投入したマシンだ。

結果的には4月の予選レースで井口卓人が8分43秒021を記録している。これはWRX史上最速であり、従来マシンより8秒もタイムを縮めているのだ。
決勝レースではブースト圧を少し落としてリスクを避け、混戦になって揉まれる状況になった場合には、ブーストアップスイッチを押すことで、パワーアップするという遊び心を持つ仕様に変更した。
そのおかげで通常は燃費もよく、ライバルが7周でピットインするところ8周回れるアドバンテージが作れ、なおかつコード60(60km/h規制)のイエローフラッグゾーンが長ければ9周できるまで燃費がよくなっているのだ。
■24時間レースに参戦したメカニックの熱い想い
こうしたマシンに余裕があることで、レース運営にも余裕が生まれタイムアタックでもリスクを背負うことなく勝負できる体制になっていたのだ。
したがって、今季のSUBARU/STIチームはトラブルを出さずに完走することを第一目標に掲げ、完走すれば自ずとクラス優勝の結果がついてくるという狙いで参戦していた。
もうひとつSUBARU/STIではユニークな取り組みを行っている。それはSUBARUがサファリラリーの参戦当時からやっている取り組みなのだが、全国のスバルディーラーのメカニックから選抜された8名のメカニックが参加していることだ。
彼らは通常、ユーザーの車両メンテナンスを行う業務の中で、レースメカニックの勉強をし試験を受け難関を勝ち抜いた精鋭たちだ。彼らもまたトラブルなくレースで勝ち切るために必要な重要なピースになっているのだ。
つまり、トラブルは決してマシンだけに限った話ではなく、ピット作業にも言えることで、ルーティンの作業では、ブレーキパッドの交換だけでなくブレーキローターも交換するわけで、耐久レースにはさまざまなリスクが潜んでいるわけだ。
そうした作業ひとつひとつでミスを犯さずに24時間走り切るには、チームは一丸となって「こころをひとつにして」挑む必要があり、常に緊張の連続になる。
レースメカニックは限られたピットストップの時間内で、作業をする必要があり、そのスピードと正確性が求められている。
彼らは24時間緊張し続けることで、ミスを起こさずマシンにトラブルも発生せず、見事クラストップでチェッカーフラッグを受けることに成功したのだ。
Writer: 高橋アキラ
東京都出身。大学卒業後、自動車雑誌編集部で編集記者として活動し、主に改造車を得意とする分野で執筆。自らRE、L型エンジンのチューニング、組み立て、テストまで行なった経験を持つ。その後編集プロダクションを設立し、輸入車、国産車の自動車専門誌制作、執筆活動。ラジオ番組制作会社と合併し、クルマのラジオ番組制作、自動車専門Webの編集、執筆を経て、現在、ラジオ番組パーソナリティ、専門誌への執筆、Webへの投稿をしている。技術に裏付けられた個体評価や、次世代に向けた新技術解説、近年では変化する自動車産業について執筆、トークをする機会が増えている。






















