クルマのお医者さん「自動車整備士の仕事」とは? 資格の種類はこんなにたくさんある! 自動車整備士について詳しく解説【PR】
子供の頃、自動車整備士のことを「クルマのお医者さん」と呼んでいた人もいるかもしれません。クルマを利用していれば、自動車整備士にお世話になる機会が(間接的かもしれませんが)必ずあります。その仕事は、ガソリンスタンドやカーショップ、ディーラーでの整備、車検、修理・点検など多岐にわたりますが、意外と知られていないことも多いのです。
【この記事のポイント】
・自動車整備士の資格と無資格での就業
・自動車整備士資格の種類について
・整備士資格の種類によって違う「できること」
・資格取得の方法(学校 or 独学)
・最短で資格取得を目指すなら専門学校
・整備士資格の合格率推移
・大きな制度変更が2027年に
・これからも求められる整備士の資格
目次
└自動車整備士の資格には種類がある
└資格によってできる作業内容が違ってくる
▶︎実は独学でも資格取得は可能!
└働きながら資格取得を目指すには認定工場で働く必要がある
▶︎最短で自動車整備士を目指すならズバリ専門学校! 修了で受験資格ゲット!
└自動車整備士の資格試験の合格率 級によるが80%前後で推移
▶︎2027年から自動車整備士の制度が大きく変わる?
▶︎これからの電動化時代にも整備士資格は求められる
国家資格の自動車整備士は誇れる仕事!
自動車整備士は受験資格を満たした上で試験に合格すると国家資格が得られます。意外かもしれませんが、整備士の資格がなくてもタイヤ交換やエンジンオイルの交換などの作業に限り、整備士の監督の下で働くことはでき、実際に見習いとして働きながら資格取得を目指している人もいます。

また、板金塗装関連の業務は自動車整備士の資格がなくてもできる作業が多いため、資格を取得していない人も数多くいます。
自動車整備士の資格には種類がある
一口に自動車整備士の資格と言っても、1級・2級・3級・特殊と分類され、さらに級の中で種類が分かれます。
【1級自動車整備士】
・1級大型自動車整備士
・1級小型自動車整備士
・1級二輪自動車整備士
自動車整備士の資格の中でも最上位のもので、2002(平成14)年度から実施された資格ですが、保持者は全体の10%にも満たないと言われています。
【2級自動車整備士】
・2級ガソリン自動車整備士
・2級ジーゼル自動車整備士
・2級自動車シャシ整備士
・2級二輪自動車整備士
自動車整備士の8割以上は2級資格所持者と言われており、整備士の中で最も層が厚いのがこの2級です。

自動車メーカーからの整備士の求人は2級資格所持が条件となっているところも多いです。
2級になるとほとんどの点検、整備、分解整備なども行うことができます。
【3級自動車整備士】
・3級自動車シャシ整備士
・3級自動車ガソリン・エンジン整備士
・3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
・3級二輪自動車整備士
無資格で働きながら資格取得を目指す場合、まずは3級を目指すことになります。
3級資格所持者はできる作業が限られており、エンジンオイルやギアオイルの交換、簡単な点検整備、上級資格所持者の補助などです。
【特殊整備士】
・自動車タイヤ整備士
・自動車電気装置整備士
・自動車車体整備士
3級から段階的にステップアップしていく資格ではなく、特定の技術に特化した専門性の高い資格です。
資格によってできる作業内容が違ってくる
自動車整備士の資格を持っていれば全ての作業ができるというわけではなく、級によってできる作業に制限があります。
例えば3級ではエンジンオイルやギアオイルの交換、簡単な点検整備など、国が定める保安基準による検査を、検査員がしなくても良いとしている仕事になりますが、2級になると分解整備やほとんどの点検・整備を行うことができるようになります。

また、級の中の分類によってもできることは限られており、取得した資格の対象内の作業しかすることはできません。
2級自動車シャシ整備士の資格を取った場合、2級ガソリン自動車整備士の仕事はできないということですね。
実は独学でも資格取得は可能!
「資格取得したいけど、学校に通うのは経済的にも時間的にも厳しい」という人もいるかもしれません。
現在、活躍している自動車整備士のほとんどが専門学校などの養成施設を卒業していますが、実は自動車整備士の資格は独学でも取得することは可能です。

無資格で整備工場に見習いとして働きつつ、3級試験の受験資格に必要な実務経験を積みながら勉強をする方法です。
ですが、3級資格を取得後、2級の受験資格である3年以上の実務経験を積みながら勉強をして…とステップアップしていくと、独学では1級取得まで最短でも7年ほどかかることになります。
メリットとデメリットを考えながら、さまざまな選択肢を検討するといいでしょう。
働きながら資格取得を目指すには認定工場で働く必要がある
前の項では、独学で資格取得を目指す場合の例として、働きながら勉強する例を挙げました。
そこで、実は「どこで働くか」が重要になってきます。

認証工場や優良認定工場の認定を受けた整備工場、特定給油所、タイヤ整備工場、車体整備工場、JAFのロードサービス業務を行う工場などで、整備に関わるものであり、なおかつ基準に合った業務でなくては実務経験として認められない場合があるのです。
「働いていたけど実務経験として認められなかった!」とならないために、それらの点をきちんと確認しておくことをおすすめします。
最短で自動車整備士を目指すならズバリ専門学校! 修了で受験資格ゲット!
独学での資格取得のほかに、自動車整備士を目指すには「専門学校などの養成施設に通う」といったルートもあります。
今、現場で活躍している自動車整備士の多くが学校などの養成施設出身であるのは、自動車整備士を目指すにあたってそれが一番の近道だからではないでしょうか。

独学では1級整備士資格取得まで最短で7年かかるのに対して、専門学校では最短4年で資格取得が可能です。
さらに、資格取得に関してのノウハウや設備や環境が充実しているというメリットもあります。
また、専門学校で課程を修了した場合は資格試験の実技試験が免除されるのも大きな特色です。
一口に養成施設と言っても4年制、2年制、夜間コースなどさまざまなバリエーションがあります。
自分に合った通い方や学び方を探してみましょう。
自動車整備士の資格試験の合格率 級によるが80%前後で推移
国家試験というと難しいというイメージが先行してしまいますが、自動車整備士の資格試験の合格率はどうなっているのでしょうか。
合格率は年度や級によって異なりますが、学科試験は3級でおよそ60%台、2級で80%後半から90%前半、1級でおよそ60%となっています。
3月は専門学校などの養成施設で教育課程を修了した受験生が多く、受験者数は10月実施の試験と比べて約4倍近く差がある年もありました。
さらに級によっても受験者数は異なりますので、合格率はそれらによっても左右されます。
では、実技試験はどうでしょうか。

実は実技試験は免除となるケースがあり、それにより実技試験を受ける受験者は少ないのが現状です。
実技試験が免除になるのは、前の項でも挙げましたが
•専門学校、高等学校、職業能力開発校などで課程を修了して2年以内の場合
•自動車整備振興会主催の自動車整備技術講習を修了して2年以内の場合
となっています。
しかし、実技試験は行われており、合格率は2024(令和6)年1月に開催された試験では、2級ジーゼルは33.3%、3級ガソリンで57.3%と難易度は高めです。
(引用:令和5年度第1回自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について)
2027年から自動車整備士の制度が大きく変わる?
現在、国土交通省が自動車整備士の制度の見直しを行っていることはご存じですか?
自動車整備士の深刻な人手不足、日々進化する先進技術や電気自動車・燃料電池車などの普及に対応するために大きな変更を2027年1月1日に予定しています。

変更点は資格に関するものと試験に関連するもので、大きく分けて3つです。
•級の構成は変わらず「総合」「二輪」とシンプルに。電子制御装置に関する追加事項も
現行の制度では自動車整備士の資格は1級、2級、3級、特殊と分かれ、さらに級の中で3種類または4種類の分類となっています。
制度が改正されると級は変わりませんが、分類は「総合」と「二輪」となります。
そして、今までは1級自動車整備士にのみ要求されていた電子制御装置にかかわる知識・技能が2級整備士にも求められることになります。
また、特殊整備士の自動車電気装置整備士は「自動車電気・電子制御装置整備士」に、自動車車体整備士は「自動車車体・電子制御装置整備士」となります。
自動車タイヤ整備士に関しては電子制御装置に関する整備は伴わないことから、変更はないようです。
•受験資格で必要な実務経験に関する変更
現在施行されている制度では、機械系の教育課程を修了した人は自動車整備に関する知識・技術を持っていると見なして実務経験を短縮されています。
近年の自動車はカメラやセンサーなど電子制御装置の搭載がすすんでおり、電子制御装置に関する知識と技能が求められることから、見直しが決定している制度改正では、新たに電気・電子系の課程を修了した学生も機械系の学生と同様に実務経験の短縮が可能となります。
また、新たに特殊整備士に分類される自動車電気・電子制御装置整備士と自動車車体・電子制御装置整備士に電子制御装置の知識と技能を求めることから、各整備士の実務経験にて電子制御装置の整備作業が含まれることになります。
•試験関連の変更。1級整備士試験の口述試験を廃止
現在の1級整備士試験は、筆記試験と口述試験からなる学科試験と実技試験で構成されています。

現行制度では学科試験の範囲内で実施している口述試験ですが、制度改正後はユーザーとの対話スキルを確認する実技試験に含まれることになるようです。
また、特殊整備士である自動車電気・電子制御装置整備士と自動車車体・電子制御装置整備士の試験範囲には、自動車の装置の種類に電子制御装置を追加すると発表がありました。
これからの電動化時代にも整備士資格は求められる
身近な存在ながら、意外に知らないことも多い自動車整備士。
先進技術が普及して車が高性能になるにつれて整備にかかわる知識や技能も、より高度なものが要求されます。

自動車は社会を支えるインフラの一部であり、電気自動車(EV)や自動運転技術の普及など、大きな変革期を迎えています。これらの技術に対応できる自動車整備士の需要は、今後もますます高まる一方です。
車があるかぎり、整備士という職業はなくなることはないでしょう。
制度の見直しや改正、人手不足に対する対策が講じられている昨今、労働条件や待遇の改善に取り組む企業も増えてきました。興味を持たれた人は自動車整備士を選択肢の一つに加えてみるのはいかがでしょうか。