今回試乗する「キックス AUTECH」は、日産自動車の競技車両やカスタムカーをプロデュースする「日産モータースポーツ＆カスタマイズ（NMC）」がカスタマイズした特別仕様車です。

　内外装のカスタムをはじめ、ベース車である「X」グレードではメーカーオプションの「インテリジェント アラウンドビューモニター」や「インテリジェント ルームミラー」、そして寒冷地仕様の「前席ヒーター付シート」と「ステアリングヒーター」などを標準で装備しているのが大きな魅力です。

「ボディの深いブルーと、黒い屋根のツートンカラーがおしゃれです！」と「キックス AUTECH」の第一印象について話してくれたのは、テストドライブ兼モデルを担当してくれるレーシングドライバーの兼松由奈さん。全日本ラリー選手権で数度にわたってクラス優勝を果たすにとどまらず、近年では女子ドライバー限定のプロレースシリーズである「KYOJO CUP」にも挑戦する実力派です。

「日産のSUVにはこのキックスのほか、『アリア』や『エクストレイル』がラインナップされますが、このキックスは1番コンパクトなモデル。コンパクトSUVではありますが、先進運転支援システムの『プロパイロット』や『インテリジェント FCW（前方衝突予測警報)』などの装備も充実。それでいて手の届きやすい価格設定というのも魅力ですね」と興味津々の様子。

　グレードは前輪駆動モデル（340万7800円、消費税込み）と、4WDモデル（367万0700円、消費税込み）の2つが用意されますが、今回は4WDモデルをチョイスしました。

　今回兼松さんには、「キックス AUTECH」でショッピングモールまでの湾岸エリアのドライブを楽しんでもらう予定。出発前にまずはエクステリアをチェックしてもらいました。

　シャープなデザインが特徴のLEDリヤコンビネーションランプと、一体型デザインとしたバックドアフィニッシャー。

「メタル調に統一された、グリルやフォグランプのフィニッシャー、フロントプロテクターなどの差し色に加え、AUTECHブランド発祥の地である茅ヶ崎の海や空の青さからインスパイアされた、AUTECH専用のブルーのシグネチャーLEDが特別感を盛り上げています。17インチのアルミホイールはキックス AUTECH専用で、純正パーツとは思えないほどスタイリッシュ。205/55R17サイズのタイヤの組み合わせが足元を引き締めています」（兼松さん）

　ドライバーズシートに座った兼松さんが最初に感じたのは、高めの着座位置によるアイポイントの快適さです。「たとえば高速道路の合流や渋滞時でも見通しが良いのでより運転がしやすそうです」とのこと。

　ベース車両と同様に、パワートレインにエンジンを発電のみに使用して100％モーターだけで駆動する「e-POWER」の第2世代システムを搭載しているのも大きなポイントです。

「アクセルワークに対して瞬時にモーターが反応するので、軽く踏み込むだけでスムーズに気持ちよく発進しますね。トルク感も太く、東京ゲートブリッジの急勾配もコンパクトSUVとは思えない豊かなパワー感でグイグイ上ってくれますが、走行音はあくまでも静か。市街地から高速までノンストレスでドライブを楽しめました」（兼松さん）

　兼松さんがとくに好印象だと話すのがブレーキング性能。

「回生ブレーキの効き具合がとにかく自然なんです。アクセルペダルを踏めばスムーズに加速し、ゆっくり戻すとスーッと減速する。ブレーキペダルを踏まなくてもアクセルを戻すだけでブレーキランプを点灯させながら減速してくれるので、アクセルのみのワンペダル感覚で安全で快適な運転が楽しめました。友達とのロングドライブにもおすすめです」（兼松さん）

　また、ショッピングモールの駐車場は死角が多く運転により一層の注意が必要ですが、バーチャル映像で上から自分の車を見下ろせる「インテリジェント アラウンドビューモニター」のおかげで、駐車時で切り返す時も安心することができたのだそうです。