トヨタ「ランクル300」の実力は? 2023ダカールラリーを戦う! TLCがモロッコで本格始動【PR】
トーヨータイヤ「オープンカントリー M/T-R」の実力は?
そしてタイヤの進化も、このタイム短縮を大きくサポートすることとなります。タイヤ開発の方向性について、今回のモロッコテストにも帯同したTOYO TIRES技術開発本部OEタイヤ開発部の松原さんに伺いました。
「ダカールラリーで求められるタイヤは、まず耐久性など基本的な性能を確保することが大前提です。その上で、グリップなどほかの性能を底上げしていくというのが、開発の方向性になります。
じつは三浦選手もコメントされているように、いままでの200系ランクルはクルマが重く、耐久性を重視する上で、ほかの性能をやや抑えていた部分があります。
しかし300系では車重が軽量化されたこと、サスペンションの改良でハンドリング操作への応答性がリニアになったことなどから、よりパフォーマンスを高める方向でのチューニングが可能となりました」(松原さん)
オープンカントリーM/T-Rと300系ランドクルーザーを組み合わせての走行テストはすでにフランスでおこなわれ、2022ダカールラリーで使ったタイヤを用い、基本的なデータの収集をおこないました。
「このテストを受け、モロッコのテストには従来のものに加え、トレッドパターンなど見た目は同じながら、レスポンスを高めつつ、内部の構造などに手を加えた改良タイプを持ち込み、マッチングを確認しました」(松原さん)
こうしたタイヤの進化に、三浦選手も大きな手応えを感じたと言います。
「最初に従来のタイヤを装着しテストして感じたのは、クルマの軽量化でタイヤのポテンシャルがより引き出せるようになっているということでした。
そして改良タイプは、耐パンク性能を向上させつつ、軽量化したと説明を受け、テストに臨みました。走ってみると、明らかにタイヤの転がりはじめの“重さ”がなくなり、加速感もアップしていました。
そしてテスト期間中にパンクしたのはわずかに1本だけで、これも厳しいコンディションをあえて設定して『どこまでタイヤがもつか』を試したことによるものです。耐パンク性能と軽量化を両立させた技術力には本当に驚きました」(三浦選手)
この一見、矛盾する改良は、どのようにしておこなわれたのでしょうか。
「2022ダカールラリーの結果から、構造を強化すべきところ、もう少し削ってもいいところを検討し、具体的には“ぜい肉を落とす”、つまり余分な厚みを削る方法で、1本あたり200gから300gの軽量化を実現しました。いわゆる“バネ下”なので、運動性能には大きく貢献することになります」(松原さん)
ところで、ベース車が熟成を重ねてきた200系から300系に変わることで、不安材料はないのでしょうか。
「思った以上に気温が高かったこともあり、コックピットの熱対策には苦労しました。また200系から300系までは14年の時間があり、エンジンやトランスミッションの電子制御は大幅に進化しています。そうした部分のチューニング、メンテナンスについては、テスト後も現在進行形で取り組んでいます。
また平均的な速度が上がったことで、ショックアブソーバーをはじめとする足まわりのパーツの耐久性を高める必要にも迫られています。ただサスペンションそのものの構造は大幅にシンプルになっているため、メンテナンス性という意味では大きく向上していると考えています」(三浦選手)
TLCは今後、9月から10月にかけて再びモロッコでテストをおこなう予定です。
「今回のテスト結果をフランスに持ち帰り、明らかになった課題を9月までにクリアする予定です。次回のテストではラリー本番を見据えた競技車両のセッティングのほか、本番のアシスタンス体制をシミュレートするために、「モロッコラリー2022」に2台体制で参戦します。
300系になって戦闘力を増したランクルと、改良されたオープンカントリーM/T-Rで、本番につながる実のある結果を目指し、頑張っていきたいと思います」(三浦選手)
「次回のテストに向けては、今回得られた結果を確認し、若干のモディファイを施したタイヤを持ち込むことを予定しています。またダカールラリー2023に向けて開発を進めているタイヤとは別に、新たな軽量化技術のテストのためモロッコに持ち込んだものもあり、こちらのテストも並行しておこない、近い将来の実用化を目指しています」(松原さん)
次回のテスト、そしてモロッコラリーを経て、TLCとトーヨータイヤはさらに競技車両の熟成を進めていくはずです。本番となるダカールラリー2023での活躍の期待が高まります。