でかいアメ車続々登場のB級映画? 「デス・プルーフ in グラインドハウス」
クエンティン・タランティーノ監督のオタクっぶり炸裂映画「デス・プルーフ in グラインドハウス」は、監督のB級映画愛がビリビリと伝わってきます。
ガチンコのカースタントに低予算低俗映画へのオマージュ?
クエンティン・タランティーノ監督がロバート・ロドリゲス監督と共に、古き良き低予算B級映画への愛をぶちまけた2本立て作品の一編「デス・プルーフ in グラインドハウス」。1970~80年代テイストに加えフィルムに付いたキズやノイズまで再現した、タランティーノのオタクっぷりが随所で炸裂する映画です。
序盤のストーリーは、変態殺人鬼スタントマン・マイク(カート・ラッセル)が愛車のシボレー・ノバ(1970年型)を駆り、セクシーな女性たちを次々と殺害していく……というもの。
しかしマイクは、女性を乗せてワザと乱暴な運転をしたり、相手の車と事故ったりするだけ。つまり”デス・プルーフ(死を防止する)”の名のとおり、どんな状態になっても運転手だけは死ぬことがないのです。
とはいえタランティーノが好き放題やっているだけあって、物語の半分はギャルたちのムダ話。中盤、マイクが本性を現してから急展開を見せますが、次なるターゲットとなったギャル軍団もダラダラと話し始めるのでテキトーに見ていても問題ありません。
なお、マイクは殺人に使用して廃車にするたび別の車に乗り換えているようで、後半に登場するのはダッジ・チャージャー(1969年型)。女性陣がフォード・マスタング(1972年型)から乗りかえたダッジ・チャレンジャー(1970年型)とのダッジ対決になるわけですが、それとは関係なく今回は相手が悪かった。スタントウーマンのゾーイ・ベルらタフな美女たちに、しっかりと逆襲されてしまいます。
ちなみに、ほとんどのシーンがガチンコのカースタントで撮影されたそうで、低俗映画へのオマージュとはいえ気合は十分。殺害シーンはグロいですが、タランティーノの「美女にボコられたい」という歪んだ願望も炸裂しているので、結末は意外とスッキリ爽快です。