ダイハツ新型「ムーヴ」発表! 初搭載のスライドドアを採用した理由とは? キーマンが語る”変化”と”戦略”

発表会場では、開発のキーマンたちが語る“変化”と“戦略”の声が聞かれました。一体どのような狙いがあるのでしょうか。

市場ニーズとスライドドアの必然性

 ダイハツは2025年6月5日、軽乗用車「ムーヴ」のフルモデルチェンジを発表し、発売しました。

 1995年に初代が誕生してから30年、今回で7代目となる新型ムーヴでは、シリーズ初となるスライドドアが採用されたことが大きな話題を呼んでいます。

 この大きな変更の背景には、軽自動車市場のニーズの変化と、それに対応する明確な商品戦略があったといいます。

7代目新型「ムーヴ」(右:代表取締役社長 井上雅宏氏/左:商品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏)
7代目新型「ムーヴ」(右:代表取締役社長 井上雅宏氏/左:商品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏)

 開発を担当したダイハツ工業 商品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏は、「スライドドア採用には2つの理由があります」と説明します。

 まず1つは、軽自動車市場におけるスーパーハイトワゴンの隆盛です。たとえばダイハツ「タント」のようなモデルが主流となっているなかで、スライドドアの利便性を求める声が非常に多く寄せられていたといいます。

 もう1つは、現在も約1000万台が保有されている“ハイト系”軽自動車ユーザーへのアプローチです。新車市場ではスーパーハイト系が主力になりつつありますが、ハイト系の保有台数は依然として大きく、多くの人に長く使われ続けているのが現実です。

 そこに新たな選択肢としてスライドドアを導入することで、再び市場に動きを起こすきっかけになると判断したと語りました。

 すでにスライドドアを採用している「ムーヴ キャンバス」とのすみ分けについては、「キャンバスは“かわいらしいデザイン”を好まれる層に強く支持されていますが、新型ムーヴはよりベーシックなデザインで、幅広い層を対象としています」と説明。

 スライドドアという共通装備を持ちながらも、デザインの方向性で両者の個性を明確に分け、併存可能な関係として位置づけているといいます。

 また、かつての人気モデル「ムーヴカスタム」が今回設定されなかった点についても、「現在のダイハツの軽自動車ラインナップは非常に多様化しており、各モデルの役割が明確になっているためです」と語ります。

 かつては標準モデルとカスタムモデルでユーザー層が分かれていましたが、現在はその境界が曖昧になってきており、1台で幅広いニーズに応えるべきという考え方に変化してきたとのことです。

 こうした背景を踏まえ、カスタムモデルの代わりに「アナザースタイル」と呼ばれるアクセサリー装着仕様を用意。「ダンディスポーツスタイル」と「ノーブルシックスタイル」の2タイプが展開され、ユーザーの好みに応じたカスタマイズが可能となっています。

7代目新型「ムーヴ」グレード一覧と強化されたスマートアシスト
7代目新型「ムーヴ」グレード一覧と強化されたスマートアシスト

 新型ムーヴでは、基本性能の向上にも注力されています。プラットフォームにはDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用し、全高は1655mmと旧型よりやや高く設定されました。

 戸倉氏によれば、「開発当初からスライドドア仕様を含めた重量レンジを想定してプラットフォームを設計しており、スライドドアによって車重は約40kg増加していますが、これはあらかじめ織り込み済みです」とのこと。走行性能や燃費性能にも十分に対応できる設計となっているといいます。

 燃費性能については、2WD/NAエンジン搭載車でWLTCモード22.6km/Lを実現し、従来比で約10%向上。2030年度燃費基準の80%達成車に認定されています。

 安全面では最新のステレオカメラを搭載した「スマートアシスト」を採用。衝突警報機能や衝突回避支援ブレーキ機能は、夜間の歩行者検知や二輪車の追従検知にも対応し、検知距離や作動速度の向上が図られています。

 価格は消費税込で135万8500円から202万4000円に設定。

商品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏(7代目新型「ムーヴ」発表会)
商品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏(7代目新型「ムーヴ」発表会)

 最後に戸倉氏は、「我々が“競合”を決めるのではなく、お客様が最終的に選ぶものだと考えています。

スーパーハイト系を検討しても、価格の壁で購入をあきらめる方は約4割に上ると見ています。

新型ムーヴは、そうした潜在的ニーズにしっかり応えられると確信しています」と自信をのぞかせました。

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