マイカーに燃費重視は過去の話? 今のトレンドは?
SUVが注目されるようになった今も5ナンバーサイズ以下が好調
2018年4月の販売ランキングを見ると、1位はホンダ「N-BOX」、2位はスズキ「スペーシア」、3位はダイハツ「ムーヴ」、4位はダイハツ「タント」と軽自動車が続きます。5位に普通小型車のトヨタ「アクア」が入りますが、6位は再び軽自動車のスズキ「ワゴンR」です。
ちなみに、これらの販売上位車種は、すべて歩行者を検知できる緊急自動ブレーキを装着しています。「アクア」の自動ブレーキは、2018年4月3日の改良で歩行者に対応が可能になりました。
そして自動ブレーキ装着車もさることながら、販売ランキングの上位車種からも分かるように「5ナンバーサイズ以内(軽自動車も含む)であること」がわかります。2018年4月に国内で販売されたクルマの38%が軽自動車で、コンパクトカーも約20%を占めます。ミニバンも5ナンバー車が売れ筋ですから、国内需要の約70%は軽自動車を含めた5ナンバーサイズ以内のクルマといえます。
5ナンバーサイズのクルマが好調なことは、今に始まったものではありませんが、SUVが注目されるようになった今も揺らぐことはありません。
結局のところ、クルマの売れ行きを決めるトレンドは「日本のユーザーと真剣に向き合った商品開発」に尽きるのでしょう。
以前の燃費に対する関心の高さも同様です。エコカー減税が誘導した面もありましたが(燃費数値が良ければ燃料代に加えて税金も安くなる)、日本では燃料に高額な税金が課せられています。ガソリン1リットルあたりに53.8円もの税金が含まれるのですから、燃費に対する関心が高まって当然です。
トレンドは常に積極的な消費行動の上に成り立つとは限りません。仕方のない、追いつめられた選択の結果として、トレンドが築かれることもあります。それがクルマという商品だと思います。だからこそ、日本で売るなら日本のユーザーのために、真剣に開発して欲しいです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。