「車中泊トラブル」なぜ後を絶たない…!? 「ご遠慮ください」案内を無視する人も… 背景にはキャンプと「混同」も? 現状はどうなっている?
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、他人との接触を避けながら自由な旅を楽しめる手段として「車中泊」が一気に注目を集めました。一時期ほどのブームは去ったようにも思えますが、現在でも「車中泊トラブル」は後を絶たないようです。
公共スペースでの“キャンプ化”が招くトラブル
移動と宿泊をひとつにした、自由な旅の手段として注目されている「車中泊」。
コロナ禍をきっかけにその人気は急拡大しましたが、近年ではマナー違反や利用トラブルが各地で問題視されるようになっているようです。

移動手段と宿泊手段を兼ね備えたスタイルは利便性が高く、キャンピングカーを購入する人や、自家用車を車中泊仕様に改造するユーザーも珍しくありません。
しかし、ブームの拡大とともに、近年はマナー違反やトラブルに関する声も多く聞かれるようになってきているといいます。
SNS上では、「家の近くに海があるけど、車中泊をしてゴミを放置する人が増えたから海辺でのキャンプが禁止になった」、「近所の道の駅で車中泊をしている人が騒いでいて迷惑」、「道の駅の駐車場でバーベキューをしている人いたけど、さすがに非常識すぎない?」といった声があがっており、苦言を呈するコメントも少なくありません。
一部の利用者の行動が、車中泊全体の印象を損なう事態にもつながりかねませんが、いったいなぜ、このような問題が起きているのでしょうか。
車中泊のマナー問題が大きくなった背景の一つとして指摘されるのが、「車中泊」と「キャンプ」を混同するケースの増加です。
そもそも車中泊とは、移動中にクルマで一時的に休息・仮眠をとるための行為を指します。
それに対しキャンプは、炊事や屋外での飲食、レクリエーションなどを含むレジャーです。
たとえば、椅子やテーブルを広げて調理を始めるといった行為は、キャンプに該当するとされています。
問題なのは、こうした行為が本来キャンプ行為が想定されていない場所、つまり道の駅やサービスエリア/パーキングエリアといった公共のスペースでおこなわれている点のようです。
道の駅での車中泊に関して、国土交通省は「道の駅は休憩施設であるため、駐車場など公共空間で宿泊目的の利用はご遠慮いただいています。もちろん道の駅は、ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間無料で利用できる休憩施設であるので、施設で仮眠していただくことはかまいません」とアナウンスしています。
また過去の取材でNEXCO中日本の担当者は「弊社では仮眠と車中泊の違いを明確に定義していませんが、『宿泊を目的とした駐車』は『ご遠慮』いただいております」とコメントしていました。
そうしたなかでも一部の利用者が、これらの施設を「無料で使えるキャンプ場」のように捉え、ゴミを放置する、電源を無断で使用するなどの行動に出てしまうことで、管理側や他の利用者とのトラブルが発生しています。
近年のキャンプ場ではゴミ処理の体制も整えられており、ある程度の自由が許容される環境になっています。
しかし公共駐車場はそうした想定がないため、同様の使い方をされると、衛生面や安全面で大きな問題となってしまうようです。
では、実際に現場ではどのような問題が起きているのでしょうか。群馬県内にある道の駅の従業員は、以下のように話します。
「基本的に、道の駅は仮眠のための場所です。
長時間や長期の滞在を想定した場所ではありません。しかし、それにもかかわらず車中泊をする人たちは一定数います。
そういった人達は、洗面台で歯磨きどころか髪まで洗って床をびしょびしょにしたり、持ち込んだゴミを捨てていく人もいるので、困っています。
他にも、2ヶ月近く同じクルマが出入りを繰り返して長期滞在するケースもあり、実質的な拠点化が進んでしまっているような事例もあります」

このように、管理側の立場としても、こうした利用の広がりは対応が難しく、明確な禁止ができない分、利用者一人ひとりのモラルとマナーに委ねられているというのが実情のようです。
では、車中泊をする際に、ユーザーは何を意識すべきなのでしょうか。
JRVAでは、こうした問題を未然に防ぐため、「公共駐車場におけるマナー10か条」を提示し、キャンピングカーユーザーなどに向けて注意喚起をおこなっているといいます。
その内容には、「長期滞在はしない」「キャンプ行為は行わない」「ゴミを捨てない」「発電機の使用に注意する」など、基本的かつ常識的なものばかりが並びます。
しかしながら、こうしたマナーが守られていない現実があるからこそ、あえて明文化され、改めて周知が図られているとも言えるでしょう。
車中泊を楽しむ前に、こうしたルールをしっかり確認し、自身の行動が他人に迷惑をかけていないか、立ち止まって考える姿勢が求められています。
また、近年では、車中泊専用に整備された有料施設「RVパーク」も全国に展開されており、こうした場所を選択することで、トラブルの心配なく車中泊を楽しむことも可能なようです。
※ ※ ※
車中泊は、本来であれば自由で快適な旅のスタイルです。
しかし、自由の裏には責任も伴います。特に公共の施設を利用する際には、その場所の本来の用途を理解し、他の利用者や管理者への配慮を忘れてはなりません。
一部のマナー違反によって、車中泊自体が否定的に見られることのないよう、ひとりひとりが「作法」を身につけることが大切です。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。
























































