クルマ乗車時「シートベルト・チャイルドシート」着用は義務! なのになぜ「着用率100%」にならない? 義務化が定着しない意外な理由とは?
チャイドシート未使用が原因で、幼い命が失われる事故が相次いでいます。シートベルトやチャイルドシートは正しい使用法でないと、その効果が得られません。なぜ着用率が低いのでしょうか。
シートベルト・チャイルドシート非着用で死亡事故も…
2024年8月、福岡の一般道で対抗車線からはみ出した軽乗用車が路線バスと正面衝突し、同乗していた子どもがシートベルト着用にも関わらず死亡するという事故が報道されたことを記憶している人も多いでしょう。
このとき問題視されたのは、後部座席でシートベルトを着用していたにも関わらず幼児2名が命を落としたということ。その後の調べで、チャイルドシートやジュニアシートが取り付けられていなかったことが判明しました。

また、2025年2月17日に、埼玉県川口市でトラックとワンボックスカーが正面衝突する事故が発生し、ワンボックスカーに乗っていた生後6カ月の乳児が死亡。クルマにチャイルドシートは搭載されていなかったといいます。
今や全席でのシートベルト着用が義務化されていますが、正しく着用していなかったり、そもそも非着用では効果が得られません。
警察庁とJAFが合同で2023年におこなった「シートベルト着用状況全国調査」によると、後部座席でのシートベルト着用率は一般道で43.7%、高速道路でも78.7%でした。
2008年に道路交通法が改正され後部座席のシートベルト着用が義務化されたのにも関わらず、とくに一般道では半分以上が未使用という実態が浮き彫りになっています。
なぜここまで義務化が定着しないのか、教習所の元指導員 I氏の見解を聞いてみました。
「2008年の動向法改正で義務化されたのに、一般道での着用率が著しく低いのは、同じ『座席ベルト装着義務違反』でも、高速道路上では違反点数1点に対して一般道では違反点数が加算されないことが影響しているのでしょう」
ではチャイルドシートの着用率はどうなのでしょうか。同調査では「チャイルドシート(6歳未満)使用」は76.0%。ただし、「シートにそのまま着座」が10.6%、「大人用シートベルト着用」が5.4%、「チャイルドシートにそのまま着座」は5.3%、「保護者の抱っこ」も2.7%という結果でした。
「幼児の4人に1人は、シートベルトの安全効果を得られない状態で同乗していることになります。
仮に100万人の子どもの4分の1となれば25万人ですから、かなり多い数字です。まだまだチャイルドシートの完全普及とは言い難いようです」(教習所元教官 I氏)
ちなみに同調査では、チャイルドシート不使用者の致死率が、「適正使用者の約4.2倍」とも報告されており、子どもの命を守るために、チャイルドシートは必要不可欠だといえるでしょう。
道路交通法によるとチャイルドシートの着用(幼児用補助装置の着用義務)は「0~6歳」となっており、小学生などは対象外。ここが盲点だと元教習指導員のI氏は言います。
「JAFは子どもが身長140cmに達するまでは『ジュニアシート』の利用を推奨しています。というのも、一般的なシートベルトは身長140cm以上を対象として設計されているからです。
正しくないポジションでの着用は、逆にシートベルトが凶器になってしまうこともあると指摘されています」
JAFのダミー人形使用による衝突実験では、子どもを模したダミー人形で「ジュニアシート」の有無による違いを公表していますが、正しくないポジションでは首や内臓に大きな損傷が見られる結果となっています。
後部座席のシートベルト着用は、今や常識になりつつあります。最初は抵抗を感じるかもしれませんが、慣れれば体が固定される安心感を得られるようになります。ジュニアシートなども「安全をお金で買う」と考え、もっと利用すべきでしょう。
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ちなみに、キャンピングカーでももちろん全座席のシートベルト着用が義務付けられています。
また、ベッドが備えられたキャンピングカーは、走行中のベッド使用も違反。横向きのシートも2012年以降はシートベルト着用が義務化されていますが、レンタカーを借りた人などは、このことを知らないケースも多いようです。
車体上部が重くバランスが悪いキャンピングカーは風などの影響も受けやすく、ちょっとしたブレーキで横転することもあり得ます。
子どもが装着を嫌がっても、走行中は後部座席もシートベルト着用しなくてはならないことを同乗する大人たちが積極的に指導しましょう。
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