トヨタの「凄いアルファード」東京に出現! 「見れたら超ラッキー!」な「日本1台のみ」の専用車があった! 夜な夜な走る「首都高の番人」どんなクルマ?
なぜ「アルファード」? 「高級ミニバン」が必要な意外な理由とは?
現在運用されているウェーブドクターは2代目。2024年9月から使われていますが、先代も現行もアルファードで共通しています。
しかし、こうしたメンテナンス作業や測定車両では、商用バンなどやトラックが用いられることが多いですが、なぜアルファードなのでしょう。そこには理由があるといいます。
「アルファードを選んだ理由は、測定機器を車両に搭載するための条件が標準装備で備わっていたことが挙げられます。
具体的には、多くの測定機器が搭載可能な車内空間があること、測定機器に必要なAC電源(1500W)が標準装備してあること、振動の低減対策が取られているので、測定機用の特別な振動対策が不要なことが理由です」(首都高技術担当者)
機器を搭載するために広い車内はもちろん必要ですが、その電源は一般的なコンセントからの電気と同じAC(交流)電源。しかし、商用車ではコンセントが備わっていないことが多く、あっても100W程度と電力が足りないこともしばしば。
その点、アルファード(グレードはハイブリッド車のZ)では1500Wのコンセントが標準で備わり、さらに高級ミニバンであることから乗り心地もよく、測定機器に与える振動も少ないのです。
気になる架装費用は「約600万円(測定機器と測定システム費は含まず)」。日本国内にこの1台しかなく、正真正銘激レア車両なのです。
そんな激レアなウェーブドクター、一般の人が見られるチャンスは限られています。とはいえ稼働している時間帯は決まっていて、運が良ければ見られるかもしれません。
「基本的には夜間(19時~26時頃)に稼働しています。年間約100日をかけて首都高速道路の全線・全車線を測定するため、(測定の様子は)非公開ではありませんが、決まった区間を毎日走行しているというわけではありません」(首都高技術担当者)
測定以外の場に現れることもあるようで、学生向けのインターンシップや年に1度開催される、首都高で実際に使われている車両や技術を紹介する、首都高速道路(株)主催の「点検・補修デモ」でも紹介しているといいます。
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普段、何気なく走っている首都高。日々、安全かつ快適に首都高を利用できているのは、ウェーブドクターとそれを運用する関係者の方たちの尽力があってこそ、なのです。
ウェーブドクターと似たような役割を担っている車両で有名なのが、“新幹線のお医者さん”ともいえる「ドクターイエロー」です。
JR東海が保有する車両は2025年1月に、そして2027年にはJR西日本が保有するドクターイエローが、老朽化のために引退するとアナウンスされています。
このドクターイエローは「見ると幸運が訪れる」と言われ、引退までのカウントダウンがはじまっているだけに、偶然見られたときの喜びは鉄道ファンでなくても格別のものがあります。
そのいっぽう、ウェーブドクターもまた1台しか存在しない「レア車」ですが、最新型のアルファードへと更新され、今後もナイトドライブのタイミングで運が良ければ首都高で会えるかもしれません。
もし偶然、ウェーブドクターを見掛けたら、その日はさらにラッキーなことがありそうです。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。
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