スズキ、「アルト」2.6万台で不正行為 先代型モデルの「ブレーキ試験」でデータの虚偽記載 ほか4社でも発覚

スズキは、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無に関する実態調査結果を発表しました。2014年に1件の不正があったと言います。

「先代アルト」一部モデルでブレーキ試験結果を虚偽記載

 スズキは2024年6月3日、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無に係る実態調査指示を受け、調査結果を同省に報告したと発表しました。
 
 報告では、2014年に1件の不正事案があったとしています。

スズキ「アルト」(本画像と不正対象モデルには関連はありません)
スズキ「アルト」(本画像と不正対象モデルには関連はありません)

 国土交通省ではダイハツなどの認証不正問題があったことから、型式指定を取得している自動車メーカー85社に対し、その申請に係る不正行為の有無について調査・報告を指示しています。

 今回の発表によると、スズキでは2014年9月に、「アルト」(貨物仕様・ABS無)の型式申請の際に提出した「トラック及びバスの制動装置の試験記録及び成績(TRIAS 12-J010-01-付表)」において、フェード試験の停止距離を、実際の試験で測定した停止距離より短く記載したとしています。

 対象となったアルトは、先代型のうち、型式HBD-HA36V・型式指定番号17956のモデルで、2014年12月~2017年12月までに販売された2万5999台(生産台数2万6023台)です。

 この不正行為があった原因として、スズキでは以下のように分析しています。

「社内認証試験において、ブレーキの踏力が規定値を大きく下回る弱い力だったことで、停止距離が法規要件に対して余裕が無い結果でした。

 しかし、試験成績書の提出期限に対し再試験を行う時間がありませんでした。その為、試験に関与した者がブレーキを規定値近くまで踏み込んだ場合を想定した停止距離に書き換えても問題ないと考え、意図的に書き換えたものと推測しています」

 現在では、社内認証試験に設計開発部門から独立した組織である法規認証部門が立ち合った上で、試験結果と成績書の確認を行うプロセスとしたことで、不正を発生させない仕組みになっていると言います。

 なお、対象のアルトについては、2024年5月18日に法規認証部門の立ち合いの下、当該試験をやり直した結果、フェード試験の法規要件を十分に満たすことが確認できたとし、2014年以降のすべての開発機種の試験結果と成績書を照合し確認した結果、同様な不正があったのは当該仕様のみであることを確認したと発表しています。

 スズキは今回の不正行為発覚について、以下のようにコメントしています。

「当社は、2016年の燃費・排出ガス試験にかかる不正行為の発覚以降、不正を発生させない社内の仕組みを作り実行するとともに、社長による職場対話を含む様々な対策や、品質優先、風通しの良い組織の醸成、法令順守に対する意識を高く保ち続ける活動『リメンバー5.18活動』を継続しており、現在ではこのような不正は起きないと考えております。

 引き続きコンプライアンス強化に全社で努めてまいります」

※ ※ ※

 なお、国土交通省によると、2024年5月末現在までに調査が終わっている68社のうち、スズキに加え、マツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業の3社でも不正行為があったとしており、現在調査を行っている17社についても、うちトヨタ自動車においてすでに不正行為が発覚しています。

 これら不正行為があった5社に対しては、当該の車種の出荷停止および最終的な調査結果の速やかな提出、ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めることが指示されています。

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