マツダ新型「タフ感“SUV”」発表へ! エンジンは”トヨタ”製!?な「CX-50 HV」! めちゃカッコイイ「ワイドボディモデル」米に登場へ
先日おこなわれたマツダの2024年3月期決算発表の説明において、北米で新型「CX-50ハイブリッド」が展開されることが明らかになりました。どのようなモデルなのでしょうか。
新型「CX-50 ハイブリッド」の中身はトヨタ製?
「マツダ『CX-5』は次期型を開発中で、自社製ハイブリッドを組み合わせたモデルも用意される」…先日おこなわれたマツダの2024年3月期決算発表の説明において、そんな情報が明らかになりました。
ハイブリッドといってもマイルドハイブリッドはすでに多くのマツダ車に搭載されているので、仮に次期CX-5に組み合わせるのがマイルドハイブリッドであれば今さらその存在を声高に説明するほど大きなトピックとは思えません。
そう考えると、次期CX-5に搭載されるのはストロングハイブリッドの可能性が高そうです。
現時点でマツダが国内で新車販売しているラインナップに(プラグインではない)ストロングハイブリッドは存在せず、強力なモーターを積むハイブリッドといえば「CX-60」や「MX-30」に組み合わせるPHEV(プラグインハイブリッド)のみ。
しかし実は、海外に目を向けるとPHEVではないストロングハイブリッドも存在します。
それが「CX-50」のハイブリッドモデル。CX-50とは国内展開していない北米&中国向け車種で、「マツダ3」や「CX-30」と同じスモールアーキテクチャーを活用したSUVモデルです。
デザインは無骨な力強いテイストで、全幅1920mm(CX-5は1845mm)とワイド&ローのフォルムによるカッコいいスタイリングも大きな魅力。そんなCX-50の中国仕様には現行車種として唯一のストロングハイブリッドが用意されているのです。
興味深いのは、組み合わせるハイブリッドシステム。なんとトヨタの「シリーズパラレル式」なのです。同システムはかつて「THS」と呼ばれていたタイプであり、現在でもトヨタの主力となっているハイブリッドシステム。マツダ車ながら、それが組み込まれているというのは興味深い状況と言えるでしょう。
とはいえ、なかにはこう言う人もいるでしょう。「かつて『アクセラ』にはTHSを組み込んだストロングハイブリッドモデルがあった。だから特段新しいことではない」と。
しかし、かつてのアクセラ・ハイブリッドとCX-50のハイブリッドでは決定的に異なる事実があります。
それはエンジン。アクセラのハイブリッドはトヨタのハイブリッドシステムにマツダのエンジンを組み合わせていましたが、CX-50ではハイブリッドシステムだけでなくエンジンもトヨタ製を搭載しているのです。
OEMでもないマツダ車にトヨタ製エンジンというのは大きなトピックといえるでしょう。
中国仕様のCX-50ハイブリッドに積むエンジンは、2.5リッター自然吸気の「A25A-FXS」。そのエンジンとシリーズパラレルハイブリッドの組み合わせは「カムリ」や「アルファード/ヴェルファイア」そして「RAV4」など多くのモデルに展開されています。
つまりCX-50ハイブリッドにはRAV4ハイブリッドと同等のパワートレインが搭載されているとイメージすればわかりやすいでしょう。
ついでにいえばCX-50ハイブリッドの4WDは後輪の駆動力をモーターが担う電気式なので、それもトヨタの「e-4WD」から移植されていると考えるのが自然です。
ちなみにトヨタはマツダと資本も含めて提携しています。
現時点でCX-50ハイブリッドのパワートレインが明らかになっているのは現地生産する中国仕様だけで、「2024年後半に発売」とされている北米仕様に関しては公表されていません。
しかし、中国と北米で異なるシステムを採用するとは考えにくく、すなわち北米仕様もトヨタ製の2.5リッターエンジンを組み合わせたトヨタ製ハイブリッドになる可能性が高いでしょう。
北米向けのCX-50は日本からの輸出ではなく、アメリカ合衆国のアラバマ州にある工場で生産されています。
その工場はトヨタとマツダのジョイントプロジェクトで開設されたもので、トヨタの工場とマツダの工場が隣接。スケールメリットを求めて部品は可能な限り共同購入し、塗装工程などは同じ施設を使いつつ、組み立てラインはトヨタとマツダで別ながらほぼ同じ設計&同じシステムで稼働しお互いの改善をフォローしあえる「兄弟レーン」とも呼ばれる設備なのが特徴です。
トヨタとマツダの結びつきは、日本のユーザーとしてはあまり実感がないかもしれません。しかし、実際にはここ数年で大きく動いています。
一方、そんな状況の中で「次期CX-5にはマツダ独自のハイブリッド」とアナウンスされたのは、実に興味深いところです。
最後に余談ですが、かつてアメリカ・カリフォルニアで販売していたスバル「クロストレック」のプラグインハイブリッドモデルは、スバルのエンジンにプリウス用に近いTHSを組み込んでいました。スバルのエンジンは縦置き搭載でかつ独自の水平対向式であり、そこに本来は横置きエンジン用として開発されたTHSをドッキングしたことに筆者は驚いたのを覚えています。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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