アルファードやキャストのパクリは健在!? でも全体レベル高くなった? チャイナデザインのイマ
それでもアルファード顔は多い!? 未だに「コピー車(パクリ)」は蔓延っている?
飛躍的にデザインセンスが向上した中国の自動車産業ですが、一方で末端ではいまだコピー車が蔓延る現実もあります。
業界全体があまりにも広いため、自動車先進国のメーカーにも引けを取らないトップランナーだけでなく、最下層には自社での開発・デザイン能力がないために容易にコピーに手を出す弱小泡沫メーカーも抱えているのです。
例えば、上海汽車が展開するブランド「ロエウェ」の高級EVミニバン「iMAX8 EV」のフロントマスクはアルファードを意識した印象でした。
最近では「アルファードの顔を持つ超小型BEV」として鴻日汽車の新ブランド「未奥」が2023年にリリースした「BOMA」が話題となりました。
このクルマはフロントマスクをトヨタ「アルファード」からコピーしただけでなく、ボディ自体も日産「デイズ」からコピーしており、リアクオーターやフロントフェンダーなどの形状がデイズそのままであるのが確認できます。
また2018年にリリースした「U8」のデザインはダイハツ「キャスト(キャスト アクティバ)」と瓜二つでした。

鴻日汽車は元々、ナンバープレートを必要としない低速走行車「老年代歩車」を手がけていたメーカーです。
これら「老年代歩車」はメーカー問わずデザインのコピーや、おどろおどろしい魑魅魍魎のようなデザインを持つものが多く、また車両自体のクオリティも「自動車」とはほど遠い低質なものとなります。
なので、「中国のコピー車」としてたびたび話題になるクルマたちの正体はこういった部類のものであり、大抵はその販売・生産規模も非常に限られているため、中国国内でも滅多に目にしないような存在となります。
事実、先述のBOMAもほとんど売れておらず、会社自体が存続できるか怪しいレベルにあると予測できます。
目先の利益だけを考え、平気でデザインを盗用する中国の弱小メーカーは中国自動車産業の恥と言えます。
一方で、市場は優れたデザインの選択肢で溢れており、「コピーだけど安いから選ばれる」という時代は終わりに近づいています。
今後、中国の消費者の目はますます肥えていき、デザインやインフォテインメント機能だけでなく、乗り味でもクルマを選ぶようになっていくでしょう。
コピー能力しか取り柄のないメーカーは必ずや淘汰される運命にあり、業界全体のデザインにおける躍進には期待が寄せられます。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。





























































