なぜ成人式の「族車」減った? 過去には「やり過ぎ改造」も!? 北九州のド派手衣装はNYで大絶賛!? 「成人式」の現状いかに

なぜ北九州市成人式から族車がいなくなった? 全国の傾向は?

 北九州市成人式から族車がいなくなった理由。これは北九州市だけではなく全国の成人式で同様の傾向だと考えられますが第一には暴走族そのものが激減していることが考えられます。

 そして、北九州市の場合は独自の理由もあります。

 暴走族が減り始めた2000年初頭に始まった北九州発祥の「ド派手衣装」です。火付け役となった北九市内の貸衣装店みやびの代表者、池田雅さんは以下のように話してくれました。

「以前、成人式を迎えるという男の子ふたりがお店にやってきました。

 彼らは1年も前に来店し『成人式に二人で金と銀の衣装を着たい』と。

 当時は金銀単色の既製品しかなかったのですが、『これじゃ嫌』といって毎月5000円、1万円を衣装代として持ってくるようになったのでこれは本気だなと。

 結局生地から金と銀のこれまでにない派手な袴を作ることになりました。

 これが金さん・銀さんと呼んでいるド派手衣装の始まりです。

 2003年に始まったド派手衣装はクチコミで広がり、『もっと派手な衣装で出たい!』という若者が増え始めました」

「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」で披露され、世界中のメディアから大絶賛となった「みやび」の衣装(撮影:筆者)
「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」で披露され、世界中のメディアから大絶賛となった「みやび」の衣装(撮影:筆者)

 その後、ド派手衣装は年々拡大し海外メディアも含めた多くのメディアが取材に訪れるようになります。

 2023年9月には池田雅さんが手がけるド派手衣装が世界4大コレクションの1つ「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」で披露され、世界中のメディアから大絶賛を集めました。

 こうして広まってきたド派手衣装によって、北九州市では「不正改造車にお金をかけて目立つより、親も喜んでくれるド派手衣装にお金をかける」傾向が強まったのでしょう。

 これまで取材してきた新成人たちは、ほとんどが衣装代は自力で支払っており、「高校生の時からバイトして衣装代をためてきた」という人もたくさんいました。

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2023年2月に警察庁が発表した「暴走毒等の勢力及び検挙人員の推移」(2018年-2022年)
2023年2月に警察庁が発表した「暴走毒等の勢力及び検挙人員の推移」(2018年-2022年)

 2023年2月に警察庁が発表した「暴走毒等の勢力及び検挙人員の推移」(2018年-2022年)によると「暴走族」「旧車會」ともにグループ数は年々減っており、ピークだった昭和50年代に比べるとケタ違いの減り方です。

 当時の資料によると全国に4万人以上の暴走族構成員が確認されており、全国で年間4000回以上の集団暴走行為が行われていました。

 一般人を巻き込む事故なども急増したため昭和53年に共同危険行為等禁止規定が道交法に新設され、暴走族に対する罰則が厳しくなったことも暴走族の減少に大きく貢献したといえます。

 また、暴走族=かっこ悪い、ダサい、古臭いというイメージが拡大してきたことも暴走族激減に大きく関わっています。

 SNSの普及も手伝って時代とともに暴走族、ヤンキー、DQNなどの言葉が「カッコ悪くて頭が悪い存在の象徴」として浸透してきました。

 暴走族グループの未加入者が増えていることにも注目です。

 昭和50年代にはほとんど存在していなかったグループ未加入者は近年8割を超えるまでになりました。

 現代の若者は上下関係や規律が厳しい50台-100台レベルの大所帯に参加することを嫌う傾向が強まり、気の合う仲間と数台規模でツーリング感覚で走る、このような傾向が拡大したことで、暴走族が激減。

 ひいては成人式に集まる族車も激減したと考えられます。

 この週末は、全国各地で成人式が行われますが、不正改造車によるトラブルがないことを願いたいものです。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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