トヨタが凄い「新モデル」発表! なぜ「セダン」から派生した? 「センチュリー」という名の新モデルの立ち位置

ショーファーカーにおけるゲームチェンジャーは?

 ゲームチェンジャーは、ベントレーが2012年のスイス・ジュネーブショーでワールドプレミアしたコンセプトモデル「EXP 9F」です。

 ベントレーという、世界的なショーファーカーメーカーがドライバーズカーの領域に本格的に参入するのだと、筆者を含めたメディア関係者の捉え方でした。

 これがのちに「ベンテイガ」として成功します。

 前述のような、70~80年代のアメリカでのショーファーカーをドライバーズカーとして使うトレンドが、グローバルでSUV市場が成熟する中で、”SUVのさらにその先のカテゴリー”を創出したと言えるでしょう。

 その後、ロールスロイス「カリナン」が登場したことに対しても、市場変化の中で十分に理解できる流れだと解釈をしたメディアやユーザーが少なくなかったと思います。

 また”SUVのさらにその先のカテゴリー”は、スーパースポーツの領域にも及び、ランボルギーニ「ウルス」が成功し、さらにフェラーリ「プロサングエ」の誕生に至ります。

セダンではないショーファーカーの先駆けといえるベントレー「ベンテイガ」
セダンではないショーファーカーの先駆けといえるベントレー「ベンテイガ」

 このように、”SUVのさらにその先のカテゴリー”の市場がグローバルで形成されてきた中、日本らしいモデル、そしてトヨタらしいモデルとして、センチュリーに新たなるモデルが登場することに対して、違和感を持つメディアやユーザーはあまり多くないのではないでしょうか。

 トヨタは今回のセンチュリー新モデル発表の舞台に、燃料電池車の「クラウンセダン(FCEV)」や「ヴェルファイア(4座仕様)」を並べて、”ショーファーカー群”というブランド戦略を強調しました。

 こうした、トヨタのショーファーカーに対する見せ方を受けて、またセンチュリー新モデルの実車に触れてみて、メディア関係者の多くが、センチュリー新モデル登場の意義について腑に落ちたのではないでしょうか。

 中嶋副社長はセンチュリー新モデルの需要について「9割がショーファーカー、1割がドライバーズカー」と予測していました。

 しかし、実車を見た筆者の肌感覚としては「ショーファーカーとドライバーズカーが五分五分」でも不思議ではないと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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