国産車のメーター表示「180キロ」なぜ? 法定速度より出せる理由は? 海外では速度引き下げの動きも
なぜ日本では180km/hの表示なの? 海外では速度制限を下げる動きも…なぜ?
日本でスピードメーターの表示が180km/hとなっている理由にはどのようなものが考えられるのでしょうか。
主な理由として、スピードリミッター搭載当時の自動車技術が関係しているという説です。
当時は、高速道路の最高速度が100km/hとされており、上り坂の勾配は最高で6%となっていました。
100km/hの速度を維持して勾配が6%の坂道を登るには、平坦路で180km/hの速度を出せる性能が必要とされており、スピードメーターが180km/hになったというのです。
またドライバーに速度を知らせる装備として1974年から速度超過警告ブザーが装着されていました。
普通車では車速が約105km/h、軽自動車では約85km/hを超えた際にドライバーに警告するためのものです。
初期には、小型の鉄琴を鳴らす仕組みで「キンコン」と音を発するものでしたが、次第に電子音のブザーが鳴る車種も増えました。
しかし、1986年に装備の義務付けが廃止されたことを受けて終焉を迎えています。
このようなクルマのスピードメーターですが、日本国内を走るすべてのクルマのメーターが180km/hまで表示されているわけではありません。
国産車でもスポーツモデルやグローバルモデル、日本に輸入されている海外メーカーの車種では260km/hや320km/hまで表示されているものもあります。

一方でスウェーデンのボルボは、2020年5月にスピードリミッターの上限速度を、全モデル180km/hに引き下げることを発表しました。
欧州などでは、ドイツのアウトバーンといった速度無制限の道路もあり、日本に比べて平均速度が高い区間が存在し、前述のようにスピードメーターが200km/h以上で表示されることも珍しくありません。
しかしボルボは、ドライバーのより良い運転をサポートし、死亡事故や重傷事故をなくすことを目標として掲げており、その第一歩としてスピードリミッターの上限速度引き下げに踏み切ったとしています。
この際ボルボは「たとえ一部の顧客を失うとしても、最終的に人命を救うためには自動車メーカーの権利と義務をめぐる議論の先駆者であり続けるべきだと考えている」として、事故のリスク低減について強い姿勢を示しています。
さらに、ボルボはクルマの所有者が、周囲の人にクルマを貸す際などに、さらに低い上限速度を設定できる「Care Key」という機能も搭載しています。
国内外の自動車メーカーは、自社製品の性能を高め商品力を向上させていく一方で、「交通事故死傷者ゼロ」といったことにも真摯に取り組んでいます。
今後、スピードメーターの表示や、条件による速度制限といった機能に関しては、安全を意識した新たな動きが出てくる可能性も考えられます。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。


























