まさかの日産「オープンカーミニバン」がスゴい! 6人乗りなのに「屋根開き」で開放感抜群! 実際に走行した「激レアモデル」とは

かつての東京モーターショーで、日産はオープンカースタイルのワンボックスミニバンを披露していました。どのようなモデルなのでしょうか。

まさかの「屋根開きミニバン」 実用はならずとも技術は進化

 日産の欧州法人は2023年9月25日、2030年までに欧州に投入する新型車をすべて電気自動車(EV)とするという目標を発表しました。
 
 今後欧州に投入される新型車は、ICE(内燃機関)を搭載しない純粋なEVになるようですが、実は今からおよそ40年前の「東京モーターショー」で、日産が6人乗りのミニバンタイプのEVを初公開していたことはあまり知られていません。

市販化はならずも日産工場で晩年まで活躍
市販化はならずも日産工場で晩年まで活躍

 1985年10月31日から11月11日まで、東京都中央区晴海で第26回東京モーターショーが開催されました。

 ガソリンエンジンの実用車が作られて100年目にあたる年とされた第26回では、「走る文化。くるま新世代。」をショーテーマに、1032台と歴代最多(当時)の展示車両が公開されました。

 日産は、参考出品車15台に加え、市販車35台を出展。そのうちの1台が「EVガイド-II」です。

 EVガイド-IIはワンボックスタイプの6人乗り電気自動車で、7.5kw(1馬力)の直流直巻モーターをパワートレインに採用。最高速度は16km/h、1回の充電で約60kmの航続が可能だったといいます。

 エクステリアはブルーとホワイトのカラーをまとったキャブオーバータイプのワンボックスカーですが、ルーフのすべては取り払われたデザインです。

 Aピラーやフロントガラスはごく一部残っていますが、シートの高さほどしかないことや、ボディ周辺には手すりが設置されるなど、イベント用車両であることが伺えます。

 シートは3列で、ヘッドレストのないブルーとグレーのコンビシートが設けられ、2・3列目に乗り込みやすいように左中央にドアを装備しています。

 主な用途としては工場視察に訪れる皇族や国賓などのVIPの送迎を想定しており、実際にショー展示後に屋根付きに改造され、日産の工場施設内で長年使用されていたといいます。

 なお、この第26回ではさらに9人乗りの別バージョンも展示。こちらは「EVリゾート」という名称でした。

 このEVリゾートは当時「開放感あふれる1BOX電気自動車」と説明されており、高原のリゾートホテルにおけるホテルとコテージ間の移動車などを想定して開発したといいます。

 ボディ自体は一部共通しているものの屋根がついていることや、後席は4人がけロングシートが2つ備えられていることが異なっています。

 1985年当時はバブル景気で、ゴルフ場などリゾート施設が活況を見せていたということから、こうしたニーズに対応するべく登場したとみられます。

 なお、2車種ともに市販化は叶わなかったものの、EV実用化に向けて日産の進化は進んでいきます。

 1997年には世界初となるリチウムイオンバッテリーが搭載されたミニバンタイプのEV「プレーリージョイEV」が登場。

 その後のいくつかの開発車両・試作車を経て、2009年には世界初の量産電気自動車として「リーフ」の登場へと繋がっています。

 現在は、SUVタイプの「アリア」や軽乗用車「サクラ」など、EVラインナップを拡充しており、今後、さらに多くの新型EVが登場することが予想できます。

 また、今回の発表に加えて2023年10月には東京モーターショーの名称が59年ぶりに変更され、「ジャパンモビリティショー」として開催予定です。

 現時点で、日産ブースの出展内容の詳細は明かされていませんが、新時代のクルマへ大きな変化をもたらすコンセプトカーの登場に、ますます期待が膨らむばかりです。

※ ※ ※

 なお日産は、現在公式サイト上で「日産の電気自動車の歴史」として、1947年の「たま電気自動車」から今日に至るまでのEV開発や商品化の変遷を公開しています。

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