トラック荷台に人を乗せて走行しても問題ない? “特殊な状況”なら違反じゃないってホント!? どんな条件?
トラックの荷台は荷物を載せるためのものですが、人が乗っている場面に出くわすことがあります。荷台に人を乗せて走行するのは違反にならないのでしょうか。
トラックの荷台に人が乗ってもいい?
「働くクルマ」の代表といえば「トラック」でしょう。乗員が乗るキャビン部と荷台部が分かれており、荷台にたくさんの荷物を載せられることができます。
建築業界や物流業界はもちろんのこと、小回りが利く「軽トラック(軽トラ)」は農業などにも活用されています。
また、トヨタ「ハイラックス」や三菱が再導入を決めた「トライトン」といったピックアップトラックも、一般ユーザーをメインターゲットとする数少ないトラックとして知られています。
一方で、そんな荷台に人が乗っていることを見かけることがあり、2023年8月14日には群馬県で、軽トラの荷台に乗っていた男性が転落し、その後死亡するという痛ましい事故も発生しています。
トラックなどの荷台部分に人が乗車するのは問題ないのでしょうか。
日本でトラックは「貨物自動車」に分類されます。普通車でいうシャシだけでなく、エンジンやトランスミッション、タイヤなどを含めた部分がシャシまたは車台と呼ばれ、乗員が乗る部分をキャブまたはキャビン、シャシの上に乗る荷台や荷室など貨物専用部分をボディと呼んでいます。
トラックは、一般ドライバーが荷物を運ぶときに使用する「自家用貨物自動車」と、物流事業や運送用にだけ使用できる「事業用貨物自動車」に分けられており、これに加えてサイズや排気量、重量や積載量などでより細かく分類されています。
そしてトラックのボディ部分は貨物専用スペースであり、原則として走行するときに荷台へ人が乗車することは違反です。これは、荷台が幌やコンテナなどのカーゴで囲ってあっても同じです。
しかし、特殊な状況において、走行中に荷台へ乗車することが認められているといいます。
道路交通法第55条では、「車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。ただし、もつぱら貨物を運搬する構造の自動車で貨物を積載しているものにあっては、当該貨物を看守するため必要な最小限度の人員をその荷台に乗車させて運転することができる」と記載されています。
荷物の見張り役が必要な特殊な状況で、荷物が落下しないように見張りをする必要がある場合に、必要最低限の人数なら荷台への乗車も可能ということです。
あくまでも荷物の見張りをするという条件なので、空荷の状態で荷台に人が乗車するのは違反です。この場合は「乗車積載方法違反」となり、違反点数1点、普通車で6000円の反則金が科されることがあります。
また、荷台には当然シートベルトはなく、ドライバーも荷台に乗車している人も細心の注意を払う必要があります。
さらにもうひとつ条件があります。それは、クルマが出発する地点を管轄している警察署に事前に届けを提出して許可された場合です。許可を得れば荷台へ乗車することが可能です。
たとえばパレードやイベントなどをおこなう際が該当します。走行ルートや目的、乗員数などを事前申告しておけば、特別に許可を取ることができるのです。
乗車予定の出発地点を管轄する警察署に、事前に「荷台乗車許可申請書」を提出して許可を取るのですが、申請用紙には「運転者名(名前と免許証番号)」「車両の種類」「車両の諸元(長さ・幅・高さ・最大積載量)」「運搬品名」「制限を超える場合の大きさや重量」などのほかに、「荷台に乗せる人員」や「期間」「運転経路(出発地~経由地~目的地)」を記載する必要があります。
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自衛隊のトラックの荷台に隊員が乗っていることがありますが、これは違法ではありません。というのも、「自衛隊法」という自衛隊に関しての特例法があるからです。
自衛隊法第114条に「道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない」と明記されており、自衛隊の長官である防衛大臣が定めた保安基準や整備・検査をクリアしていれば、普通のクルマと違う構造であっても良いということです。
自衛隊のトラックは荷台にシートを設置し、多人数乗車が可能な仕様に改造。有事や災害時に迅速に隊員を派遣する体制を整えています。
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