スズキに「超大型車」あった! 全長5.6m×4000ccエンジン搭載の「巨大モデル」! “スズキ史上最大”のクルマ「イクエーター」のアメリカンな魅力とは

スズキといえば、日本においては比較的小さなサイズのクルマを製造・販売しているイメージの強いブランドですが、過去には全長約5.6mという巨大なクルマを販売していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。

全長5.6m! デカすぎる「スズキ車」あった!

 スズキといえば、日本においては比較的小さなサイズのクルマを製造・販売しているイメージの強いブランドです。
 
 その理由としては、長年軽自動車販売台数ナンバーワンを誇っていた歴史とともに、バイクや原動機付き自転車も販売するなど、多くの人にとって生活に身近な存在であるためかもしれません。
 
 しかしそんなスズキも海外では、全長なんと約5.6mという堂々たるボディサイズを誇る巨大なクルマを販売していました。

スズキ「イクエイター」のカスタムモデル
スズキ「イクエイター」のカスタムモデル

 そのクルマとは、スズキの米国法人が2008年から販売していたピックアップトラックの「Equator(イクエーター)」です。

 イクエーターは、スズキが初めて北米市場に投入したピックアップトラックで、同地域における巨大マーケットであるピックアップトラック市場への参入によって販売促進を図るとともに、ブランドイメージ自体の向上も目的としていました。

 また、1983年に日本で発売した軽ピックアップトラック「マイティボーイ」以来となる、スズキが25年ぶりに取り扱う“ボンネットトラック”でもありました。

 くわえて、車名に採用された“Equator”とは「赤道」を意味する英語で、赤道直下の厳しい気候とともに地球の広大さを想起することから、「タフ」で「ダイナミック」なこのモデルに最適として名付けられたとスズキは説明します。

 そんなイクエーターは2008年2月に米国のシカゴ・オートショーで発表され、同年末からアメリカとカナダで順次販売を開始。

 基本的には、日産の米国法人が販売するピックアップトラック「Frontier(フロンティア)」をベースとしたOEMモデルであり、搭載するエンジンや車体など構造もフロンティアに準じるものとなっていますが、フロントフェイスをはじめとしたデザインはスズキ独特のもの。

 これらは日本でデザインされたといいますが、大らかでありつつも無骨さのあるイクエーターの表情は、当時のアメリカ市場の嗜好をスズキが独自の解釈によって再構成した見事な仕上がりです。

 ショートボディの2ドアタイプとロングボディの4ドアタイプがラインナップされており、ボディサイズは全長5250-5590mm×全幅1850mm×全高1745-1780mm、ホイールベースは3200-3535mmと非常に大きな車体を持ちます。

 また、約5.6mにもなるロングボディの全長は、過去から現在までスズキがあらゆる国で販売していたすべての市販車の中でも最大のものです。

 これに搭載されるパワーユニットは、最大出力261馬力を発揮する4.0リッターV型6気筒エンジンか、最大出力152馬力を発揮する2.5リッター直列4気筒エンジンで、5MTか5ATのトランスミッションが選択できました。

 さらに駆動方式も四輪駆動(4WD)と後輪駆動(FR)から選ぶことができたため、選択の幅が広く様々なユーザー層に対応できるモデルでもありました。

 そんな北米市場におけるスズキの未来を感じさせてくれるイクエーターでしたが、2012年11月にスズキは「四輪事業」において北米市場を撤退することを発表。為替による問題など、様々な理由が伝えられましたが、この決定に伴いイクエーターも2012年12月に販売を終了しました。

※ ※ ※

 撤退に伴う販売終了という残念な結果となったイクエーターですが、当時の北米でのモーターショーでは同車をベースにしたカスタムカーなども発表されており、期待の高かったモデルだったことが伝わります。

 そんな、今や「知る人ぞ知る存在」となったイクエイターは並行輸入によって日本にもごく僅かに存在し、中古車市場では極稀に見つかることがあります。

 もし見かけた際には相当のレアモデルとなりますので、5.6メートルもの巨体の運行が苦にならない環境であれば、一度購入を検討してみても面白いかもしれません。

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