本当の意味を知ってる? クルマのリアに貼ってある「黄色いステッカー」 世間では2通りの意味に分かれるワケ
クルマのリアに貼られている「赤ちゃんが乗っています」というサイン(ステッカー)ですが、どのような意味があるのでしょうか。
「赤ちゃんが乗っています」の意味は?
子どもがいるドライバーにはお馴染みとも言える、「赤ちゃんが乗っています」というセーフティサイン。
乳幼児をクルマに乗せる場合は、このサインをリアウインドウに付けることが多いですが、このサインの意味とはどのようなものなのでしょうか。
大抵の場合はこのサインの効果を、「子どもが同乗しているので、ゆっくり走りますがよろしくお願いします」というアオリ運転防止の効果を狙ったものだと考えるドライバーが多いようです。
またSNSでは「赤ちゃんが乗ってますステッカー貼ってると周りが優しくなると聞くけど」、「赤ちゃんが乗ってますのステッカー、何の意味があるの?」など、ステッカーの意味について気になる人もいるようです。
その一方で一部のメディアでは、「事故発生時に親が意識不明の場合、乳幼児が乗っているので救助をお願いします」という、救助隊に対するアピールのためと説明しているものもあります。果たして、その真相はどちらなのでしょうか。
「BABY IN CAR」のセーフティサインを1991年に日本で発売した、カー用品メーカーのナポレックスに聞いてみました。
「そもそもの意味は、事故時に子どもの存在を救助隊に知らせるためと聞いています。
ですが、現在ではアオリ運転防止のための使っている人がほとんどじゃないでしょうか」
ちなみに、このセーフティサインが誕生したのはアメリカ。そこで、どのような経緯でセーフティサインが発案されたのか調べてみました。
マサチューセッツ州に住んでいたパトリシア&ヘレン・ブラッドリーさん姉妹は、日常的に子どもを乗せてドライブしていましたが、ゆっくり走ることでアオられるということに悩んでいたと言います。
そんな中、ドイツに「子どもを乗せています」というセーフティサインを発見。アメリカ国内でも販売することを思いつき、PHOBという会社を立ち上げます。
しかしビジネス的に厳しく、同じような経験をしていたセーフティファースト社のマイケル・ラナーさんに1984年にライセンスを売却。その後、このセーフティサインは瞬く間に全米で大ヒットとなるのです。
これを元にしたパロディ商品も多数市場に出回り、安全性の点から社会問題までに発展しますが、同時にその発祥についての都市伝説が広がったといいます。それが、死亡事故起源説。
カナダで母親が事故を起こした際、意識不明となったことが原因で、助手席の陰に隠れていた乳児を救助することができず、後に凍死状態で見つかったという噂です。
このことを教訓に、このセーフティサインが生まれたという誤った情報が流れてしまったと、アメリカの多くのメディアが検証しています。
これは、アメリカでは広く使われている「トットファインダー」というサインに由来しているのではないかとみる人もいます。トットファインダーとは、子ども部屋の扉に貼ることで、火災時に消防隊員にその位置を知らせるためのサインです。
確かに、交通事故時にこのような効果を狙うこともできなくはないのですが、危機管理の専門家はむしろ危険だと警鐘を鳴らします。
「こうしたセーフティサインが貼ってある場合、救助隊員はそれを当然意識して活動することになります。
もし子どもを乗せていないのにサインが貼ったままだと、それが大人の救助の遅らせることに繋がってしまうことがあります」
日本でも、大人しか乗っていないクルマであっても、外すのが面倒でそのまま走っている人が少なくないのではないでしょうか。
しかし、重大事故時のリスクを考えた場合、セーフティサインはその都度外すのが望ましいようです。
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ちなみに、このセーフティサインを付けていることに対して嫌悪感を抱く人が少ないようで、かえって嫌がらせを受けるという事例があるようです。
ただ、子どもはスピードに対して恐怖心を抱きやすい、すぐにクルマ酔いをする…など、ドライブ中に大人とは違う状態になることが多々あります。
現在、アオリ運転には厳しい罰則が適用されますが、子どもが乗っているクルマに対しては、やはり細やかな配慮が欲しいところです。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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