トヨタ「C-HR」7月に生産終了 かつての人気モデルなぜ終焉?「コアなファン」から新型登場を待ち望む声も

トヨタ「C-HR」が2023年7月に生産終了となります。次期型のコンセプトカーが欧州で発表されていますが、日本導入は未定です。人気を誇ったSUVが失速した原因は何なのでしょうか。

尖ったSUVとして人気を博した「C-HR」

 トヨタのコンパクトSUV「C-HR」が2023年7月下旬に生産が終了されることが発表されました。
 
 C-HRは2016年末に発売され、登場するやいなやスマッシュヒットを記録。7年から8年というモデルライフを考えると、そろそろフルモデルチェンジがアナウンスされてもおかしくなかったのですが、日本市場における後継モデルについては発表されず、販売終了となります。
 
 当初人気だったC-HRは、なぜ生産終了となったのでしょうか。

2023年7月に惜しくも生産終了となる「C-HR」
2023年7月に惜しくも生産終了となる「C-HR」

 C-HRは、2015年に登場した4代目「プリウス」で初採用された新世代プラットフォーム「TNGA」を用いた第2弾のモデルとしてデビュー。

 運動性能はニュルブルクリンク24時間耐久レースなどに参戦することで鍛え上げられたうえ、低重心かつ低いプロポーションを持ち、SUVでありながら走りにこだわった点を特徴とするモデルでした。

 そんな走りの良さや、これまでのSUVにはなかった筋肉質で低重心なデザインが好評となり、C-HRはヒットモデルとなります。

 当初の月販目標台数は6000台だったところ、発売から1か月で受注した台数は4万8000台と好調な滑り出しとなり、2017年は11万7299台の販売台数を記録して登録車の販売ランキングで4位に付けました。

 しかし、2019年ごろからC-HRを取り巻く環境は変わってきます。

 それはトヨタのSUVラインナップの充実です。2019年に「RAV4」が復活したのを筆頭に、同年登場の「ライズ」や2020年には「ヤリスクロス」、2021年に「カローラクロス」と、海外市場向けとして展開されていたSUVが続々と投入されました。

 とくにC-HRの同門ライバルとなったのがヤリスクロスとカローラクロスです。ヤリスクロスはC-HRよりもひと回り小さなサイズながら、大きな荷室容量を実現し、価格設定も安価となっています。

 同じTNGA-Cプラットフォームを採用するカローラクロスは、C-HRよりも広々とした後部座席とトランクスペースを持ち、より万人受けするSUVです。

 後発のSUVたちがオールラウンダーなSUVだったこと、C-HRが走りとスタイリングを重視したことで、その立ち位置がある意味尖っていたこと、新型モデルが続々と登場して新鮮味が薄れてしまったことがC-HR失速の理由といえるでしょう。

 しかしながら、トヨタディーラーに聞くとC-HRから後発のSUVに乗り換えたユーザーも若干いるものの、「次のモデルは出るの?」などと聞かれるケースもあることから、現在C-HRを所有するユーザーは新型の登場を待っている感触があるとのこと。

 販売現場の声としては、「C-HRはほかのモデルよりコアなファンが多いので、新型モデルが登場すれば販売力があるはず」とのこと。ディーラーとしても顧客を離さないために後継モデルの登場が待ち遠しいようです。

 走りの軽快感と低く構えたシルエットを採用したデザイン、SUVらしからぬ特徴を持つのがC-HRらしさといえ、また全高が1550mm(2WD)に収まっていることから、機械式駐車場に対応しやすいのも都心部のユーザーにとってはありがたいポイント。そのような点を踏まえるとC-HRはほかに替えが効かないモデルなのです。

 そんなC-HRですが、2022年末にヨーロッパで2代目のコンセプトモデルである「C-HR プロローグ」が発表されました。

 トヨタの欧州デザイン開発センターで開発されたデザインは、まさにC-HRの後継モデルに相応しいSUVらしからぬ独創的でスポーティな尖ったデザインです。

 そしてパワートレインにはプラグインハイブリッドも用意されることが発表されており、初代の尖った点がさらに進化したモデルとして登場するのは間違いないでしょう。

 具体的な販売時期や日本市場への投入の有無は現在のところ分かりませんが、このコンセプトモデルが市販モデルへと進化し、日本へ投入されることを多くの既存のC-HRユーザーが望んでいるはずです。

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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