本当? トヨタ新「ランクル70」再々販は今夏か? 根強い人気誇る「ランドクルーザー70系」 いまでも注目されるワケとは

巷では2023年にトヨタ「ランドクルーザー70」が日本で再々販されるのではないかと言われています。かつて2024年に再販された際には大きな話題となりました。では、ランクル70とはどのようなモデルなのでしょうか。

いま再燃するランドクルーザー70の人気とは

 トヨタ「ランドクルーザー70系」が、再び激アツになっています。
 
 2014年に発売30周年をきっかけに1年間限定で販売された70系ですが、来年40周年を迎える前に日本で再々販されることが濃厚です。

トヨタ「ランドクルーザー70」が復活!? 再々販売はあるの? 海外では根強い人気を誇る70系とは(photo:REALZAUTO SL / Classic Trader)
トヨタ「ランドクルーザー70」が復活!? 再々販売はあるの? 海外では根強い人気を誇る70系とは(photo:REALZAUTO SL / Classic Trader)

 ランドクルーザーが誕生したのは1954年のこと。前身はトヨタ・ジープBJ型という警察予備隊(現自衛隊)の納入を狙って造られた四輪駆動車でしたが、三菱ジープに制式車両の座を奪われたため、民生用に戦略が変更されました。

 その際、“ジープ”というモデル名が商標に抵触するため、ランドクルーザーというモデル名に変更されます。

 これはライバルだった「ランドローバー・シリーズ I」を意識したネーミングで、海賊(ローバー)を撃退する巡洋艦(クルーザー)という想いで付けられたことはファンの間で有名です。

 1955年には20系にモデルチェンジを行い、このクルマでトヨタは北米市場に進出。トヨペット・クラウンRSが北米市場で成功しなかったのに対し、20系は安価で頑丈な実用車としてアメリカ人に好評を得ました。

 さらに1960年には40系にモデルチェンジ。このモデルは日本や北米のみならず、世界中で信頼を得て、ランドクルーザーのブランドを盤石なものにしました。40系は24年間というロングサイクルモデルでしたが、1984年に70系にスイッチします。

 70系はサスペンションこそ前後リーフスプリング+リジッドアクスル式という四輪駆動車では伝統的な構造を踏襲していましたが、前方に絞られたロングノーズのデザインは斬新なものでした。ボディバリエーションも40系同様に多様で、世界各国で様々なモデルが販売されます。

 しかし1980年代の四駆ブームの時には、快適性を求めるユーザーが大半を占めたため、商用車登録だった70系は一部のユーザーにだけ売れるという状況に。

 そのためトヨタは、70系のシャシを使ったワゴンモデル「ランドクルーザープラド」を発売し、一般的なユーザーはそちらを選ぶことがほとんどでした。

 さらに日本では、NOx法の影響や四駆ブームの終焉によって、ついに2004年に販売を終了。しかし販売終了後に人気が再燃するという皮肉な状況になり、安全性の問題から2014年から1年間限定で再販されました。

 この時の盛り上がりは大変なもので、世のランクリストたちはちょっとしたお祭り状態。30周年ということもあり、多くの人がディーラーに押し寄せます。その結果、8月25日に発売が発表されて1か月後、月販台数200台に対して、約3600台もの受注が入ったのです。

 1ナンバー登録という敷居の高さながらこれだけの受注を記録したのは、SUV主流の時代にヘビーデューティな本格4WDであるというキャラクターがユーザーを魅了したことに他なりません。

 また、古くなった行政用車両の買い替え需要もあったようです。しかし、わずか1年間の販売だったということもあり、その後は中古市場で高騰する一方。昨今のキャンプブームの効果もあり、質実剛健なキャラクターの70系は高嶺の花的な存在になっていました。

 そんな中、2023年に入ってから急激に70系再々販の噂が巷に広がります。

 要因のひとつとしては、70系を生産しているトヨタ車体が、東京オートサロン2023においてカスタムショップ「ランクルBASE」のオープンを発表したことです。

 このショップではランドクルーザーだけでなく、ジムニーなどのオフロード4WDのカスタムを全般的に行うとしていますが、ランドクルーザー300系や200系の高級モデルではカスタム需要が少なく、また150系プラドにおいてはいまさら感があることから「商材になる新基軸があるのでは?」という憶測が広がったことにより、70系再々販話が浮上したのではないかとも言われています。

 また関西方面を中心に、トヨタ系販売店が業界関係者に再々販の情報を積極的に流している例も見受けられ、市場の期待感も相まって、急速に全国に広がっていったという背景もあるようです。

 こうした期待が高まる背景には、70系の主要な輸出先であるオーストラリアにおいて、2022年に70系が大幅なマイナーチェンジを行ったことがあります。

 彼の地ではワークホースとしての需要が大半を占めていますが、世界的な自動車の安全性能や環境性能の向上促進の流れに則り、4.5リッターディーゼルターボエンジンをユーロ5適合に改善したり、フロント&サイドエアバッグの増加、側面衝突時の安全性向上を主目的としたフレーム強化などを実施。

 さらにボンネット形状が大幅に見直され、顔もは2014年再販モデルよりも丸目(実際は異形)が強調したデザインになっています。

 日本で再々販となった場合は、この70系がベースとなり、エンジンはすでに日本の排ガス検査をクリアしている現行型プラドの2.8リッターディーゼルターボエンジンに換装されるのではないかと見られています。

 また、前回不評だった1ナンバー登録をやめ、3ナンバーワゴン登録にすることでユーザーフレンドリー化するのではないかという話もあり、そのために後席リクライニング機能の追加や最大積載量の変更も行われるのではないでしょうか。

 ただ、相変わらずリアサスペンションはリーフスプリング+リジッドアクスル式のため、スプリングの設定こそ日本向けに考慮してくるとは言え、やはり万人受けのするハンドリングや乗り心地にならないかもしれません。

 また、熱狂的なファンはナローボディの発売を望むと思いますが、日本の市場動向を考えれば、2014年同様のワイドフェンダー装着車のみの販売になる可能性もあります。

 待ち遠しい70系再々販モデルの受注は、2023年の晩夏には開始されると見られており、発売当初の受注予想から抽選になるとも言われています。

 しかし、これが期間限定販売に終わることがなければ、慌てずともゆっくり検討して購入することができるかもしれません。いずれにせよ、「ランドクルーザープラド」改め「ランドクルーザー250系」になるというもうひとつの話も合わせて、ファンには待ち遠しい限りです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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