クルマのオイル、なぜ短命に 交換時期より早い劣化、原因は日本のクルマ事情?
オイルの劣化、乗っても乗らなくても止まらない?
「エンジンオイルは、人間でいう血液のようなものです」と、ガレーヂ伊太利屋(東京都港区)のメカニック、加藤さんはいいます。
「油路のつまりとは、血管が動脈硬化を起こしているようなものです。部品の故障も、内臓疾患みたいなもので、オイルの汚れによって機械が摩耗するのが原因です」
いずれにせよ、基本的にきれいなエンジンオイルを使用していないと、なんらかのトラブルに見舞われる可能性は避けられないようです。
とはいえ、クルマを使えば使うほどエンジンオイルは汚れていきます。では、めったに運転しなければ、オイル交換はしなくていいのでしょうか。
エンジンオイルなどを手掛け「WAKO’S」のブランド名で知られる和光ケミカル(神奈川県小田原市)の技術部課長、和田さんは「クルマを動かさないあいだも、空気中の湿気により、オイルは水分を含んでいってしまいます。エンジンの熱が入らなければ、その水分は蒸発することができません」といいます。クルマをまったく動かさないことも、実はクルマにとっては良くないことのようです。
さらに、「クルマにとって一番きついのは、『チョイ乗り』」とも。エンジンオイルなどクルマのエンジンやオイルが温まりきる前にほんのちょっと近場まで乗るだけ、といった乗り方が、実はクルマにとって大変な負担になるというのです。前述の加藤さんも、クルマの部品は金属類やゴムなどでできていることに改めて触れ、「それらが温まらないまま走行するのは、部品の亀裂や故障の原因になります。寝起きの体で全力疾走したらケガをするようなものですね。それを繰り返すと、エンジンにダメージを与えることになります」といいます。