「RXを壊す」ことはできた? レクサス新型SUV「RX」乗ったフィーリングは? 全グレード体感して分かったコトとは
期待の「RX500 Fスポーツパフォーマンス」はどんな感じ? 「RXを壊す」ことはできた?
そして、RXのフラッグシップとなる「RX500 Fスポーツパフォーマンス」は専用パワートレインとなる2.4リッターターボ+DIRECT4を搭載しています。
具体的にはフロント:2.4リッターターボ+1モーターパラレルハイブリッドシステム+6速AT(クラッチ機構付)/リア:モーター(eアクスル)を組み合わせた電動AWDです。
その印象はズバリ「気持ちいいハイブリッド」で、システム出力は371psで2100kgの車両重量を感じさせないパフォーマンスはもちろんですが、THSII(トヨタハイブリッドシステム)にはない「小気味よさ」、「伸びの良さ」、そして「ダイレクト感」が備えられています。
トルコンレスATがもっとも苦手とする微速のコントロールはアメリカで乗ったときは少々気になりましたが、改めて乗ったらほぼ問題ないレベルで一安心。
エンジンサウンドは人によって過剰という評価もあるようですが、筆者は逆にこれまでのハイブリッドにはなかったエモーショナルなサウンドでアリかなと感じました。
フットワークはRXの他グレードとはちょっと別格な印象で、「これはあの大きなRXなのか?」というくらい、クルマが小さく・軽く感じました。
コーナリング時の姿勢変化も最小限でコーナーの曲率に合わせて4つのタイヤのグリップ力が最適になるようにコントロールして旋回するので、とにかくアンダーステア知らずのオンザレール。
恐らくDIRECT4による駆動力制御とDRSの相乗効果だと思いますが、制御モノにありがちな「機械に曲げられている」感覚はなく、まるで「運転が上手くなった?」と錯覚するようなコントロール性と自在性があります。
実はサーキットでハイスピード領域でも試乗しましたが、そんな状態でもシッカリ走れるレベルに仕上がっています。
乗り心地は常用域では他グレードよりも僅かに引き締められた印象ですが、バネ上のフラット感は一番高くスポーティグレードとして考えれば快適性は十分以上です。
このように各モデルを詳細に見ていくとさまざまな特徴がありますが、実はRXの本当の良さはそれらを声高らかに主張していない所にあります。
要するに「走りは良くて当たり前、その先は?」というところです。
それは何なのか。筆者はどのRXに乗っても「ゆとり」、「重厚」、「優しさ」を感じました。
かつてのレクサスは「味の前にやることあるでしょ」でしたが、NX/RXをはじめとする次世代レクサスはTNGAによる基本性能の底上げ(課題はまだまだありますが)で、走りの「味」がより明確に表現できるようになったのでしょう。
レクサスのブランドホルダーでもある豊田社長は、レクサスを「素のままの自分に戻れる、本物を知る人が最後にたどり着くブランド」と語っていますが、その本質を筆者なりに解釈すると、「おいしい白飯とお味噌汁」なのかなと。
シンプルなのに味わい深く、飽きがこない、そしてどこかホッとする「ニッポンの味」。
それこそがレクサスが目指すべき道だと考えていますが、RXはそのような領域に一歩進み始めたのではないでしょうか。
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新型RXの開発時に豊田章男社長は「RXを壊せ!!」と語ったそうですが、その結果「RXらしさ」は増していると感じました。
その結果、NXとは単なるサイズの大小ではなく、兄貴分としてのプレステージ性を備えた1台にと成長できたと思っています。
そしていいクルマだからこそ、多くの人が普通に買えるような環境をできる限り早く作ってほしいと願っています。また、もっとも売れ線となるであろうRX350h(ハイブリッド車)の登場も待っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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