「愛車の整備」どこまで自分でやってOK? プロの整備士でも「外注」する場合とは

整備士が外注することはある?

――金銭を受け取って、誰かから整備を請け負う場合の制約はありますか。

「知り合いなどに作業を手伝ってもらい、その手間賃を払うという場合。これは分解整備(特定整備)に該当しないかの注意が必要です。

 クルマのエンジン、変速機、アクスルシャフト、サスペンション、ブレーキなど、重要保安部品の整備は分解整備と位置付けられており、この分解整備は認証工場もしくは指定工場でなければ、工賃を受け取ることができません。

 金銭を受け取って分解整備をおこなう=法的な責任が生じるという意味になるので、例え整備資格を持っていても認証・指定工場として、整備士資格を持つ人の中から整備主任者を任命した上で、整備を受け入れなければ違法行為となります。

 ただ分解整備も金銭の授受をすることなく、使用者の自己責任の下でやる分には制約はありません。技術的な問題はともかくとして、無資格でエンジン交換することも制度上は可能です。

 逆に制度上可能となっていなければ、レンタルピット事業は成立しませんし、次世代の整備士育成が難しくなってしまうのです」

クルマのメンテナンス、自分でどこまでできる?(画像はワイパーブレード交換のイメージ)
クルマのメンテナンス、自分でどこまでできる?(画像はワイパーブレード交換のイメージ)

――整備士さんが外注することはありますか。

「はい、あります。例えばオーディオやエアコン関連の場合、電装屋さんにお願いすることも多いです。これは整備からは少し外れた分野で、専門技術や道具が必要になるため、餅は餅屋ということで外注しています。

 自動車の整備にも難易度があり、設備や工具が不足すれば整備士であっても満足な整備は出来ません。そのため必要な工具やパーツ、作業工程などの下調べをしっかりとおこない、その上でDIYするか、専門スタッフに依頼するかを決めることが重要です」

※ ※ ※

 クルマの整備には知識と技術が必要ですが、法律上ではむしろ使用者は点検と整備をおこなうことを義務としています。自動車整備士はあくまで整備を代行業務としておこなう上で必要な資格であり、本来なら使用者になるドライバー自身が率先して整備をおこなうべきということでした。

 とはいえ実際には整備するのに必要な設備や環境、そして技術が必要。それがディーラーであったり、最寄りの整備工場になるので、これらを利用してクルマの性能を維持管理していくのが正解です。

 DIYすることが好きな人であれば、「保安基準に適合した範囲内で有る限り」クルマのカスタマイズをおこなうことは自由なので、理想とするクルマを作り上げてください。

【画像】愛車のメンテ、自分でやったことある? DIY可能な作業とは?(21枚)

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