「もしかして盗難予告?」 愛車のワイパーにチラシや名刺を挟む行為… 「不法侵入」にならないの?
不法侵入になる場合、ならない場合の違いは?
ところで、「買取チラシをワイパーにはさむ」という行為はクルマが置いてある駐車場まで足を踏み入れていることになりますが、私有地である駐車場に入ることは不法侵入などの違法行為にならないのでしょうか。
この件について、警察関係者に聞いてみました。
――駐車場まで入ってきてワイパーにチラシを挟む行為は不法侵入などに該当しますか。
結論からいうと、『駐車場に入ってきてクルマのワイパーにチラシを挟んだ』というだけでは不法侵入(刑法第130条住居侵入罪)の罪に問われることはないでしょう。
駐車場がどのような場所に位置しているかにも関わってきますが、公道に面していてフェンスや柵などがないような場合は問題になりません。
基本はポストに投函される広告チラシなどと同じ扱いです。
――罪に問われるケースはどういうときでしょうか。
駐車場に行くまでに住民しか入れない入り口があったり、フェンスで囲われていたりした場合、また、マンションの玄関や駐車場の入り口などに「居住者以外立ち入り禁止」などの立て看板や掲示がある場合、無断ではいると住居侵入罪に問われる可能性が出てきます。
また、軽犯罪法第1条第32項(入ることを禁じた場所に正当な理由がなくて入った者)もかかわってきます。
住民やマンションの管理組合が明確に『入ることを禁じた場所』には入ってはいけません。
戸建てなら住まいの敷地内すべて、マンションなどの集合住宅ならエントランス周辺の共有スペース、敷地内にある駐車場など敷地すべてが対象となります。
とくに「立ち入り禁止』『チラシ配布禁止』といった張り紙がある場合は、罪に問われる可能性が高くなります。
それがないのであればマンションの管理組合などにお願いして掲示を設置してもらいましょう。
――クルマにチラシを挟む行為は自動車盗難にも関わりがあるといわれていますが、見かけたらどうしたらいいですか。
その場で110番してください。警察官を向かわせてチラシを挟んだ人に話を聞いたり、注意したりすることはできます。
※ ※ ※
盗難目的でチラシを挟む場合、対象となるのは『旧車』がほとんどです。
とくに同じ場所に駐車されているクルマのなかで旧車だけにチラシが挟まっている場合は盗難のための情報収集であるとみて間違いないでしょう。
なお、同じ地域でも挟まれやすい場所、ほとんどはさまれない場所もあります。
これは、盗んだあと、解体ヤードに持ち込むまでの距離や逃走経路が関係しています。
もし、自分のクルマにチラシが挟まれる機会が多ければ、可能な限り別の場所に駐車するなどして所在を消すことが一番です。
駐車場を変えずタイヤロックやハンドルロックなどの防犯グッズを追加したところで旧車窃盗団はあらゆる手段で盗んでいきます。
駐車場所の変更が難しければ防御度が高く、台風や地震などで誤作動がないカーセキュリティをつけるか、GPSを仕込む、駐車監視モードのドラレコをつけることも有効と考えられます。