実質178万円! 日産新型軽EV「サクラ」は最安グレードだけ特別!? 別カタログが用意される訳
日産が新型軽EV「サクラ」を発表しました。補助金を受けると実質178万円で購入できますが、この最廉価モデルは通常カタログには載っておらず、別の特別なカタログが用意されています。一体なぜなのでしょうか。
日産新型「サクラ」のカタログはふたつある!? 一体なぜ?
2022年5月20日に発表された日産の新型軽BEV「サクラ」は、軽自動車でありながら、同社のクロスオーバーSUVタイプの電気自動車である新型「アリア」と共通のデザインモチーフを持ったエクステリアや、プレミアム感あふれる内装などが早くも話題となっています。
しかし、新型サクラのカタログをディーラーなどで入手した人のなかには、そのカタログを見て違和感を覚えた人もいるのではないでしょうか。
その違和感とは、掲載されているグレードにあります。
日産が同日に発表したプレスリリースには、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金を活用した場合の実質購入価格は、約178万円(消費税込)からとなる予定」と記載されています。
このリリースは、もっとも安価なグレードとして233万3100円の「S」グレードを記載していますが、一方のカタログは中間グレードの「X」と上級グレードの「G」の2グレードしか掲載していないのです。
では、実質178万円で購入できる「S」グレードはどこにいってしまったのかというと、実は「S」グレードだけ別のカタログが用意されていたのです。
「S」グレード専用のカタログは冊子ではなく、2つ折りのリーフレットのようなもので非常にシンプル。
簡素化されたリーフレットであれば、本カタログに「S」グレードを組み込んでも良いのではないかと思いますが、なぜわざわざ別のカタログとしたのでしょうか。
その答えは「S」グレード専用カタログのなかに記載されていました。
2つ折りのカタログを開くと左上に「ビジネスに。電気自動車になった日産の軽。」と大きく書かれています。このように、「S」グレードは主にビジネスユースで使用を検討しているユーザー向けの仕様となっているのです。
そのため「S」グレードのホイールは、「X」グレード以上に標準で備わるアルミホイールではなく、スチールホイール+ホイールカバーとなりますが、それでも水引を採り入れた専用デザインを採用しています。
内装は、ファブリック調インストパネルやドアトリムクロスも省かれて、ステアリングもアリア譲りの2本スポークから一般的な3本スポークになるなど、加飾が大きく省略されました。
また、先進運転支援システムである「プロパイロット」や「プロパイロットパーキング」「Nissan Connectナビゲーションシステム」などはオプション設定すらされておらず、さらにはツートンカラーなども選択できずにベーシックカラーの6色のみとなっています。
ちなみに、日産の公式サイトでも通常のサクラのページから「S」グレードのページにたどり着くことはできません。
「S」グレードの情報を見たい人は、ビジネスカー選びに特化した「Biz Nissan」というページの車種一覧から進む必要があるという徹底ぶりです。
なお「X」グレードと「S」グレードの価格差は、わずか6万6000円。1円でもコストを削りたいというビジネスユーザーでなければ、「X」グレードを選んだほうが圧倒的に満足感は高いということもあって、あえて別のカタログにしているということなのでしょう。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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