高級車なのに走りヤバすぎ! 走りに全振りしたラグジュアリーセダン3選

高級車の代表といえばやはり大型のセダンが挙げられますが、高級セダンのなかには走行性能にこだわったモデルも存在。そこで、走りに全振りしたような高級セダンを、3車種ピックアップして紹介します。

走りに特化した高級セダンを振り返る

 近年、世界的にもSUVブームが続いており、さまざまなセグメントやジャンルのモデルが登場。そうしたSUVには、1000万円を超えるような高級車もあり、セレブたちから人気を集めています。

スポーツカーを凌駕するほど走りに全振りした高級セダンたち
スポーツカーを凌駕するほど走りに全振りした高級セダンたち

 しかし、高級車といえばセダンというイメージが根強く、現在も高級セダンは一定の需要があり、国内外のメーカーから数多くのモデルが展開されています。

 一般的に高級セダンは広い室内空間を確保するためにボディが大型で、装備は充実、さらに余裕ある走りのためにパワーが要求されるので、高出力なパワーユニットを搭載しています。

 一方で、高級セダンのなかにはさらに走りの性能に磨きをかけ、スポーツカー顔負けのパフォーマンスを誇るモデルも存在。

 そこで、走りに全振りしたハイスペックな国産高級セダンを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ4代目「レジェンド」

後の2代目「NSX」に通じる卓越したコーナリング性能を実現した4代目「レジェンド」

 ホンダは1985年に、同社初の高級セダンである初代「レジェンド」を発売。スポーティさを強調したデザインや、走りを重視したホンダイズムあふれるコンセプトの高級セダンとして、国内外で人気を獲得しました。

 その後レジェンドは常に時代の先端をいく高級車というスタンスのまま代を重ね、2004年に4代目が登場。

 1989年から続いた最高出力280馬力という自主規制値が国内モデルのなかで初めて解除され、最高出力300馬力を発揮する新開発の3.5リッターV型6気筒SOHC VTECエンジンを搭載した記念すべきモデルでした。

 また、もうひとつの大きなトピックスは、世界初となる4輪の駆動力を制御する「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」の採用です。

 SH-AWDはカーブの内側と外側それぞれのタイヤの駆動力だけでなく、前後の駆動力を最適に制御し、タイヤのグリップ力を最大限に保つシステムで、カーブの進入から脱出までスムーズかつ安全に高い速度を維持でき、ラグジュアリーセダンながらスポーツカーにも負けないコーナリング性能を発揮。

 外観も3代目の重厚なイメージから一新してスラントノーズのシャープなフロントフェイスで、全体のフォルムも初代に回帰したようなスポーティかつスタイリッシュなデザインが採用されました。

 先進的なモデルだった4代目レジェンドでしたが、かつてのような人気を得ることができず、2008年にはフロントフェイスの大幅な変更と、最高出力309馬力を発揮する3.7リッターエンジンに換装するマイナーチェンジがおこなわれましたが、販売は大きく盛り返すことなく2012年に生産を終了。

 一旦はレジェンドの系譜は途絶えてしまいましたが、2014年にはよりパワフルな5代目が登場して復活。2021年3月には自動運転レベル3を実現した「レジェンド ハイブリッドEX・Honda SENSING Elite」を発売(リース販売)して注目されましたが、同年12月をもって長い歴史に幕を下ろしました。

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●レクサス「GS F」

5リッターV型8気筒自然吸気エンジンを搭載したスーパーセダンの「GS F」

 トヨタの高級車ブランドであるレクサスは、セダンラインナップが比較的多いですが、2020年9月にハイパフォーマンスな高級セダン「GS」の生産が終了しました。

 この最終モデルとなった4代目GSには2015年に、特別に仕立てられた超高性能モデルの「GS F」が、センセーショナルなデビューを飾って大いに話題となりました。

 GS Fのコンセプトは他のレクサス「F」モデルと同じく、サーキット走行も可能なラグジュアリーカーであり、外装にはカーボンファイバー製のエアロパーツが装着されて空力性能の向上と軽量化が図られ、シャシ剛性のアップと強化されたサスペンション、ブレーキを装着。

 そして最大のハイライトであるエンジンは、現行モデルの「LC500」や「RC F」にも搭載されている、最高出力は477馬力を誇る5リッターV型8気筒自然吸気で、この大パワーを後輪のみで路面に伝えました。

 組み合わされるトランスミッションは8速ATで、トルクコンバーターを用いたステップATながら、2速以上をほぼロックアップする制御によって、DCTに匹敵する最短0.1秒の変速速度とダイレクトな応答性を実現。

 またGS Fはドライブモードを切り替えによって、一般道ではジェントルな走り、ワインディングロードやサーキットではアグレッシブな走りが可能なハイパフォーマンスセダンでした。

 しかし、前述のとおりGSの生産終了とともに、GS Fは消滅しました。

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●日産「フーガ 370GT Type S」

「Z34型 フェアレディZ」と同型のハイレスポンスエンジンを搭載した「フーガ 370GT Type S」

 日産は2004年に、「セドリック/グロリア」の後継車となるラージクラスセダン、初代「フーガ」を発売。

 滑らかなボディラインと上質なインテリア、優れたサスペンションセッティングによって、プレステージセダンとしてのポテンシャルが一気に向上しました。

 そして、2009年には現行モデルの2代目へとスイッチ。外観は抑揚があるグラマラスな造形に流麗なシルエットが特徴で、2015年のマイナーチェンジではフロントフェイスとリアまわりのデザインを一新すると同時に、安全運転支援システムが装備され、2019年には安全運転支援システムのさらなるアップデートが図られました。

 搭載されるパワーユニットは、最高出力225馬力の2.5リッターV型6気筒エンジン、システム最高出力364馬力を誇る3.5リッターV型6気筒エンジン+モーターのハイブリッド、そして3.7リッターV型6気筒自然吸気エンジンを設定。

 この3.7リッターエンジンは「Z34型 フェアレディZ」と同型の「VQ37VHR型」で、最高出力333馬力を7000rpmという高回転域で発揮し、さらに優れたアクセルレスポンスが特徴のスポーツユニットとして定評があります。

 さらに、VQ37VHR型エンジンを搭載する「370GT Type S」グレードは、スポーツチューンドサスペンションに4輪アクティブステアの採用、20インチタイヤと4輪にアルミ製対向ピストンブレーキキャリパーが装着されるなど、コーナリング性能が重視されたスポーツモデルというコンセプトで仕立てられています。

 なお、2022年夏に新型フェアレディZがデリバリーされる予定ですが、エンジンは3リッターV型6気筒ツインターボの「VR30DDTT型」を搭載することから、今や希少な大排気量自然吸気エンジンであるVQ37VHR型はフーガで最後となりそうです。

※ ※ ※

 今回紹介した3車種のうち、レジェンドとGSはすでに消滅しており、さらにフーガも2022年中に生産を終えると報じられています。

 前述のとおり高級SUVが増えてきてりう状況で、さらに今後のEV化に際しても大型のSUVはEVと親和性が高く、高級車の主流はセダンからSUVにシフトするかもしれません。

 輸入車を含めると今のところ高級セダンの選択肢はまだまだ豊富ですが、将来的にはあまり明るい未来ではなさそうです。

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