電動バイクレース『MotoE』開幕直前 2022年型『エゴ・コルサ』に新モーターが投入

2022年で『FIMエネルMotoEワールドカップ』は4年目のシーズンを迎えます。使用される電動バイクの進化とレース数の増加、そして予選方式の変更など、2022年シーズンのMotoEについてポイントを見ていきましょう。

エネルジカは今季限り、2023年シーズンからドゥカティへ

『FIMエネルMotoEワールドカップ』(以下、MotoE)は、電動バイクで争われるチャンピオンシップです。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリの数戦に併催され、マシンはイタリアの電動バイクメーカー、エネルジカ・モーターカンパニーが供給する『エゴ・コルサ』のワンメイクで、タイヤサプライヤーはミシュランです。

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2022年、MotoEは4年目のシーズンを迎える
2022年、MotoEは4年目のシーズンを迎える

 ひとつのニュースとしては、MotoE開催初年度の2019年からマシンサプライヤーを務めていたエネルジカが、今季を限りにその役割を終えること。そして2023年からはドゥカティがワンメイクマシンサプライヤーとなります。

2022年型エゴ・コルサは大きく進化。新モーター&インバーターが導入、軽量化される

 MotoEのマシンサプライヤー最終年を迎えるエネルジカですが、今季のMotoEマシン『エゴ・コルサ』は大きく進化しています。新しいモーターとインバーターが搭載されたのです。新モーターはEMCEモーターと呼ばれ、新インバーターとともにエネルジカとマーヴェル社によって共同開発されたもの。2021年6月末に発表され、すでにエネルジカの市販車に搭載されています。

 車両重量に関しては2021年よりも15kg軽量化され、最低重量が262kgだったところ、247kgとなりました。3月上旬に行なわれたMotoEのヘレスでのテスト中にMotoGPドットコムで公開されたインタビュー動画の中で、エネルジカのCTOジャンピエトロ・テストーニ氏は、とくにモーターとインバーターの変更が「バイクに全く異なるフィーリングをもたらす」とコメントしています。

開催数は7戦14レースで過去最多。予選方式も変更に

 2022年シーズンのMotoEは7戦が予定され、その全てが2レース制、土曜日にレース1、日曜日にレース2が行なわれる予定です。今季、初開催となるのはイタリアのアウトードロモ・インテルナツィオナーレ・デル・ムジェロ(第3戦)、そしてフィンランドのキュミリング(第5戦)です。キュミリングに関しては、MotoGP自体が初開催となります。

2020年、2021年MotoEチャンピオンのジョルディ・トーレス選手
2020年、2021年MotoEチャンピオンのジョルディ・トーレス選手

 そして、予選方式も変更されました。これまでの予選は「Eポール」と呼ばれ、各ライダーが1人ずつ1周のみタイムアタックを行ない、そのタイムによってグリッドが決定するという、非常にエキサイティングながらライダーにとってはミスの許されないものでした。

 今季の変更により、予選方式はMotoGPと同様、Q1とQ2で争われるものとなりました。2回のフリープラクティスの総合順位トップ8のライダーはQ2に進出が決定し、総合9番手以下のライダーはQ1から予選に臨みます。

 Q1は10分間で争われ、この中でトップ2のライダーがQ2へと進出。10分間のインターバルを経て、再び10分間のQ2でグリッド順を争います。つまり、Q2に進出した時点で、10番手以内のグリッドが確定することになるのです。

 なお、Q1からQ2へと進むライダーは、10分間のインターバルでバッテリーの急速充電が可能です。とはいえ、10分で充電できるエネルギーは限られるでしょうから、Q1から予選に挑むライダーにはエネルギーマネジメント、タイムアタックのタイミングが重要になるでしょう。そうした駆け引きは新しい見どころとなりそうです。

唯一の日本人ライダー、大久保光選手が継続参戦

 2022年シーズンのMotoEに参戦するのは、11チーム18名のライダーです。日本人ライダーの大久保光選手も継続参戦となります。

MotoE参戦2年目の大久保光選手。今季は鈴鹿8耐にも参戦する
MotoE参戦2年目の大久保光選手。今季は鈴鹿8耐にも参戦する

 大久保選手は2021年にMotoEに初参戦し、今季もまた唯一の日本人ライダーとしてこの電動バイクによるチャンピオンシップに挑みます。昨年のベストリザルトはオーストリアでの5位。今季は表彰台、優勝にも期待がかかります。

 また、2020年と2021年MotoEチャンピオンのジョルディ・トーレス選手をはじめ、昨年トーレス選手と最後までチャンピオンを争ったドミニケ・エガーター選手や、2019年MotoE王者マッテオ・フェラーリ選手、そして2019年からMotoEに参戦し続け、常に上位に食い込んできた実力者エリック・グラナド選手も引き続き参戦します。

 MotoGPクラスで活躍してきたブラッドリー・スミス選手が2019年ぶりにMotoEにカムバックしました。2022年MotoEのエントリーリストには実力者が名を連ね、レース数も増えることから、昨年以上に熱戦のチャンピオンシップが予想されます。

MotoE参戦4年目のエリック・グラナド選手。初年度から『エゴ・コルサ』を速く走らせていた
MotoE参戦4年目のエリック・グラナド選手。初年度から『エゴ・コルサ』を速く走らせていた

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