なぜ日産「ダットサン廃止」報道飛び交う? 100年以上の歴史持つ老舗ブランドの行方

ダットサンが廃止といわれる、やむを得ない事情とは

 ここまで述べたように、「ダットサン」には100年を超す歴史があり、国産車としてはもっとも古いブランドのひとつといえます。

 しかし、その歴史は決して順風満帆ではなく、良くも悪くもその時々の経営陣によって都合よく利用されてきたというのが実情です。

 たしかに、戦前の歴史を見れば、「ダットサン」は日本やアジアを中心に人気を博した小型車のブランドだったかもしれません。

 一方、戦後の北米市場では、「ダットサン」はスポーティなブランドの代名詞として高い評価を受けました。

 にもかかわらず、2012年にはふたたび新興国向けのブランドとしての役割が与えられることになったのはここまで説明したとおりです。

 もちろん、長い歴史のなかでブランドの立ち位置が変化することは珍しくありません。

 しかし、それは自動車メーカーとユーザーの双方によるゆるやかな押し引きの結果であり、ダットサンのように自動車メーカーの独断による一方的な変化が、ユーザーの混乱を招くことはいうまでもありません。

 加えて、2012年に誕生した現在のダットサンでは、製品そのものがユーザーに受け入れられなかったというのも、ブランド廃止の大きな要因となっていたようです。

 たしかに、新興国向けのクルマは、先進国向けのものと違って装備やデザインが簡素であることが少なくありません。

 しかし、中間層が急速に増えた新興国では、ダットサンブランドの各車のような「いかにも新興国向け」といったクルマよりも、日欧米で人気のクルマを好む傾向が強くなり、反対に低価格車を求める層は、よりコストパフォーマンスの良い韓国車や中国車を志向するようになりました。

 また、日産自体の戦略変更もダットサンブランドにとっては向かい風でした。

 来たるべき電動化の時代に向けて、日産はEVを中心とした電動車の開発へ経営資源を集中させることを表明しており、既存のガソリン車が中心となるダットサンは、そうした流れに逆行するものでした。

ダットサンブランドは本当にこのまま終わってしまうのか…
ダットサンブランドは本当にこのまま終わってしまうのか…

 一方、ルノー・日産・三菱アライアンスで見ると、東南アジア市場で絶大なブランド力のある三菱が、今後はより新興国市場へと注力することが予想されます。

 2012年当時は、三菱はアライアンスのメンバーではありませんでしたが、2016年にメンバーに加わったことも、戦略見直しに影響を与えたのかもしれません。

 このように、各要素を見ると、ダットサンの廃止は既定路線だったと見て間違いなさそうです。

 その一方で、やはり日産およびそのアライアンスメンバーによる「お家騒動」に巻き込まれたという感は拭えません。

 長い歴史を持つダットサンですが、そういう意味では非常に不遇のブランドであるといえます。
 
※ ※ ※

 歴史あるブランドがこのままひっそりと消えていくのか、それともなんらかの形で存続していくのか、世界中のファンからの注目を集めています。

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2件のコメント

  1. EV化って時代の流れなのは分かるけど、災害や戦争で大規模停電したらどうなるの?。やはり電気の地産地消をしないと、広範囲が停電することによって無能の象徴になるのでは?。完全なるEV化は、先に問題点を潰してからにして欲しい。

  2. 良くも悪くもゴーン氏がいた頃は色々とプランはあったが、今の日産では出たとこ勝負感はあるし、車種そのものも国内専売、欧州専売、北米専売とバラバラでラインの維持も難しいだろうな。
    もうダットサン廃止どころか日産倒産が日々近づいているのでは?

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