「寝ながら移動出来るの?」 「寝台タクシー」って知ってる? 保険適用もある特殊なタクシー事情とは
稀に「寝台タクシー」というものを見かけることがあります。言葉通りなら「寝ながら移動出来る」イメージがありますが、寝台タクシーとはどのような人が利用するのでしょうか。
寝台タクシーってなに?もしかして寝台列車と同類?
日々、多くの人の交通手段として利用されているタクシー。
終電を逃して立ち往生してしまったときや時間がなくて急いでいるとき、荷物が多くて移動しづらいときなど、タクシーを利用したことがある人は多いでしょう。
そんなタクシーのなかに「寝台タクシー」という車両がありますが、どんな人が利用するのでしょうか。
言葉の通り受け取れば、寝台列車のような夜間を通して長距離移動できるタクシーなどをイメージするかもしれませんが、用途は異なるようです。
寝て移動ができるタクシーという部分は間違いではないですが。この場合の「寝る」は「就寝」という意味ではなく「横になる」という意味で、寝台タクシーではストレッチャーに乗って移動ができるようになっています。
寝台タクシーを実際に運行している東京都内のタクシー会社「ファイン介護タクシー」の担当者は、「寝台タクシーの主な目的は『医療』や『福祉』です」として、実際に利用するユーザーについて以下のように話します。
「寝台タクシーを利用するのは、病人や怪我人など、横になって移動する必要のある人達です。
そうした人達が病院から別の医療機関へ移動される際や、自宅から病院への搬送などをおこなっています。
また、寝たきりになってしまっている高齢者などを施設へ運ぶこともあります」
このように、寝台タクシーとはあくまでも医療や福祉を現場としているタクシーで、一般の人を乗せる通常のタクシーとは立ち位置が異なります。
そんな寝台タクシーですが、ファイン介護タクシーでは基本的に予約制で運行しているといいます。とくに、以前から付き合いのある医療施設や福祉施設から予約を受けることが多いそうです。
一方で、突発的な電話予約に対応しているタクシー会社も多く見られますが、前出の担当者は寝台タクシー予約の際の注意について以下のように話します。
「同じ寝台タクシーであっても、タクシー会社や車両によって設備が異なるため、対応できる患者も異なる場合があります。
そのため、予約時には乗車する患者の状態をできるだけ詳しく伝えて、対応してもらえるか確認しておくことが重要です」
実は、タクシー会社によっては、寝台タクシーを「介護タクシー」と呼称しているケースもあります。
しかし、介護タクシーには、ストレッチャー搭載車両に加えて、車椅子の人専用の車もあるため、誤って車椅子用を予約してしまった場合、横になって移動したい人には、対応することができません。
こうした事態を避けるために、寝台タクシーの予約時には丁寧に患者の状態を伝えることが求められます。
ちなみに、寝台タクシーの運行料金には保険が適用されるケースもあります。
適用されるのは介護保険で、「介護保険の指定事業者」かつ、タクシーの運行が認められた「一般乗用旅客自動車運送事業者」に認定された会社のみ適用されることになります。
ただ、前出の担当者によると、双方の事業はかなり複雑でこれらを両立するのは容易ではないそうです。そのため、保険適用の寝台タクシーはあまり多くはないといいます。
予約する際にはそうした情報もあわせて確認することで、保険適用料金で寝台タクシーを利用できるかもしれません。
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