トヨタ最強マシン「高機動車」って知ってる? 自衛隊版「メガクルーザー」は何がスゴいのか
自衛隊にはさまざまな車両が採用されています。そのなかでも比較的に見かける機会があるのが「高機動車」です。実はトヨタ「メガクルーザー」をベースにしていますが、どのような特徴があるのでしょうか。
トヨタ製自衛隊車両「高機動車」って知ってる?
今や世界でも、押しも押されぬ大メーカーであるトヨタですが、長年思うように進出できなかった“市場”があります。
それは、陸上自衛隊です。自衛隊にトラック以外の車両を納入することは、トヨタにとって悲願でした。
トヨタは1951年におこなわれた警察予備隊用の車両入札に際して、トヨタ「ジープBJ型」で三菱「ジープ」に敗れ、さらに1971年のトライアルでも「ランドクルーザー40系」で再び三菱「ジープ」に敗れています。
しかし、1993年からいわゆる「高機動車」が陸上自衛隊に採用されたことで、ようやく溜飲が下がったといえます。
高機動車は、「メガクルーザー」の自衛隊車両版で、シャシこそ共用ですが、ボディや装備面で大きく異なっています。
自衛隊ではHMVと呼ばれ「疾風」なる愛称まで付いていますが、知る人は多くありません。
高機動車はアメリカ軍の「ハンヴィ(民生版はハマー)」を模して造られたことから、“ジャンビー”などと揶揄されることもあります。
シャシは、日野が生産する「73式小型トラック」と共有することで、コストダウン、部品共用化を図っています。
エンジンは「ダイナ」に積まれていた4リッター直列4気筒ディーゼルにターボとインタークーラーを追加することで、高速での移動を可能にしました。
さらに4輪にダブルウィッシュボーン式インディペンデンスサスペンションを採用し、優れた路面追従性と堅牢性を両立。
さらに車体の下の突起をできるだけ少なくするため、ハブリダクションシステムを採用。
ディファレンシャルなどの“臓物”をフレーム側に収めることで、優れた走破性を実現しています。
高機動車の内部を見ると、ハンヴィほど駆動系が車内に内包されていないため、意外と車内フロアは平らですっきりしており、メガクルーザーのほうが運転席回りの圧迫感があります。
加えてランフラットタイヤやタイヤ空気圧調整機構、4WSなども採用し、有事だけでなく自然災害時への対応も考慮した作りとなっています。CDプレーヤー付きラジオやエアコンを装備しているのも、1/2tトラック同様、イマドキの自衛隊車両と言えるかもしれません。
高機動車は主に人員輸送用に使われていますが、さまざまなバリエーションが存在。
分隊支援火器の搭載はもちろんのこと、高度な通信機器を積んだ車両や地対空誘導弾、レーダー、電源装置、BC兵器監視装置などを搭載したバージョンが活躍しています。
なかには、ヘリコプターや輸送機で運ぶエアボーンに使われる高機動車もあり、陸上自衛隊のあらゆる作戦を支えているのです。
始めに高機動車、民生版としてメガクルーザー。
うそを書いては、筆者の知識が知れますね。