「ノンターボエンジン」ならではの圧倒的な魅力! 一世代前の大排気量ハイスペックセダン3選
近年、あまり元気がない印象のセダンですが、少し前の世代に遡ると魅力的なモデルが数多く存在。そこで、大排気量自然吸気エンジンを搭載した一世代前のハイパフォーマンスセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
大排気量NAエンジンを搭載したスポーツセダンを振り返る
1990年代まで、日本の自動車市場をけん引していたのはセダンでした。しかし、ステーションワゴンブームやミニバンの台頭でシェアが奪われ、さらに優れた経済性を誇るコンパクトカーがトップセラーとなり、近年はSUVが人気ということから、セダンのラインナップは全盛期に比べ激減してしまいました。
一方、セダンのボディ構造はねじり剛性を高めるのに有利で、重心が比較的低いこともあり、スポーティなモデルには適したボディといえます。
そのため、これまで高性能なセダンは数多く開発・販売されてきました。
とくに一世代前のモデルには、今となっては少数派の大排気量自然吸気エンジンを搭載した高性能セダンも存在。
そこで、今でも十分に通用するちょっと前のハイパフォーマンスなセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイライン 370GT」
日本のクルマのなかでも、60年以上という長い歴史を誇る日産「スカイライン」は、現行モデルで13代目にあたります。
高性能グレードの「400R」はシリーズ最強となる最高出力405馬力を発揮する3リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載しているなど、国産スポーティセダンの頂点に君臨しています。
一方、2006年に登場した先代の12代目には、シリーズ最大排気量の3.7リッター自然吸気エンジンを搭載した魅力的なグレードが存在しました。
2008年のマイナーチェンジで、トップグレードに搭載された3.5リッターV型6気筒エンジンを、「Z34型 フェアレディZ」などと同じ「VQ37VHR型」3.7リッターV型6気筒エンジンに換装。最高出力は330馬力を誇る「370GT」シリーズが登場しました。
また、このVQ37VHR型はアクセルレスポンスに優れている特徴があり、大排気量自然吸気エンジンならではのスムーズかつ豪快な加速と相まって、ハイパフォーマンスなセダンに仕上がっていました。
外観は曲面で構成されたグラマラスかつ流麗なフォルムで、内装もプレミアムセダンにふさわしいゴージャスな装いです。
足まわりはフロントがダブルウイッシュボーン、リアにマルチリンクを採用し、サスペンションアームやリンク類にアルミ素材を多用するなど、スカイラインの名に恥じぬ運動性能と優れた乗り心地を両立しています。
スカイライン 370GTは2013年まで生産され、13代目にバトンタッチ。パワーユニットはハイブリッドとターボエンジンの2タイプとなりました。
●ホンダ4代目「レジェンド」
ホンダは1985年に、「アコード」の上位に位置するフラッグシップモデルとして開発した同社初の高級セダン、初代「レジェンド」を発売しました。
初代レジェンドはスポーティさを強調したデザインや走りで、ホンダらしいコンセプトの高級セダンでした。
その後、レジェンドは代を重ね、2004年に4代目が登場。大きな特徴と挙げられるのが、最高出力280馬力という自主規制値を国内モデルのなかで初めてオーバーした、300馬力を発揮する新開発の3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載したこと。
そしてもうひとつが、世界初となる4輪の駆動力を制御する「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」の採用でした。
SH-AWDはカーブの内側と外側それぞれのタイヤの駆動力だけでなく、前後の駆動力を最適に制御し、タイヤのグリップ力を最大限に保つシステムで、カーブの進入から脱出までスムーズかつ安全に高い速度を維持でき、ラグジュアリーセダンながらスポーツカー並みの走行性能を発揮すると高く評価されました。
外観も3代目の重厚なイメージから一新して、初代に原点回帰したようなスポーティかつスタイリッシュなデザインを採用。
先進的なモデルだった4代目レジェンドでしたが、かつてのような人気を得ることができないまま2012年に生産を終了。一旦、レジェンドの系譜は途絶えてしまいましたが、2014年にはよりパワフルな5代目が登場して復活を果たしました。
そして、2021年3月には自動運転レベル3を実現した「レジェンド ハイブリッドEX・Honda SENSING Elite」を発売(リース販売)して大いに注目されましたが、その年をもって歴史に幕を下ろしました。
●レクサス「GS F」
セダンラインナップが比較的多いレクサスブランドですが、2020年9月には、ハイパフォーマンスセダン「GS」の生産が終わっています。
この最終モデルとなった4代目GSには2015年に、特別に仕立てられた超高性能モデルの「GS F」が加わり、大いに話題となりました。
GS Fのコンセプトはサーキット走行も可能なラグジュアリーカーというもので、外装にはカーボンファイバー製のエアロパーツが装着されて空力性能の向上を同時に軽量化が図られ、シャシ剛性のアップと強化されたサスペンションとブレーキが採用されていました。
エンジンは「LC500」や「RC F」にも搭載されている5リッターV型8気筒自然吸気で、最高出力は477馬力を誇り、この大パワーを後輪のみで路面に伝えていました。
組み合わされるトランスミッションは8速ATで、トルクコンバーターを用いたステップATながら、2速以上をほぼロックアップする制御によって、DCTに匹敵する最短0.1秒の変速速度を実現。ダイレクトな応答性によって本格的なスポーツドライビングを可能としていました。
GS Fは、ラグジュアリーカーらしく一般道ではなめらかに走り、ドライブモードを切り替えればワインディングロード、さらにサーキット走行にも対応できるハイパフォーマンスセダンでしたが、前述のとおりGSの生産終了とともに消滅してしまいました。
※ ※ ※
セダンはドライビングプレジャーにあふれるモデルが多く、数が少なくなってしまったのは非常に残念なことです。
しかし、前出のスカイライン 400Rや、スバル新型「WRX S4」など、まだまだ魅力的なセダンは存在します。また、輸入車を含めれば選択肢は豊富です。
さらに、EVセダンも次々と登場しており、SUVブームが一段落すればセダン復権の道はあるかもしれません。
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