ホンダ新型「ステップワゴン」が全車3ナンバーへ! ミニバンの大型化は気にならない!? ワイドボディの価値って何?

3ナンバー車のハッチバックは売れていない!? 一体なぜ?

 ハッチバックタイプのモデルについては、5ナンバー車と3ナンバー車で売れ行きが明確に分かれます。

 たとえばホンダ車の場合、5ナンバー車のフィットは、2021年に1か月平均で4898台が登録されました。3ナンバー車のシビックは710台とフィットの14%に留まります。

 マツダ車では、5ナンバーサイズの「マツダ2」は2021年の1か月平均が2054台でしたが、「マツダ3ファストバック」は半分以下の997台です。

 しかもマツダ2の発売は2014年(当時はデミオ)ですが、「マツダ3」は2019年と比較的新しいモデルなのに販売面では大差を付けられました。

かつての小型車から一新し3ナンバーサイズになったホンダ「シビック」(現行・11代目)
かつての小型車から一新し3ナンバーサイズになったホンダ「シビック」(現行・11代目)

 もちろん、それぞれのモデルでデザインやスペックなどの違いもありますが、ハッチバック市場では5ナンバー車が好調に売れて、3ナンバー車が低迷する背景には複数の理由があります。

 まずハッチバックを運転するユーザーは、初心者ドライバーが多いことです。

 前出のトヨタの販売店のコメントでも「コンパクトカーからミニバンに乗り替えるお客さまは、5ナンバーサイズにこだわる」とされていました。

 ハッチバックは初心者ユーザーが多く、5ナンバーサイズによる運転のしやすさが重視されるのです。

 ふたつ目は空間効率と使い勝手です。たとえば5ナンバー車のフィット(クロスターを除く)は、全長3995mm×全幅1695mm、3ナンバー車のシビックは全長4550mm×全幅1800mmですが、後席の足元空間はほぼ同じです。

 つまりフィットはボディが小さいのに、車内の広さはシビック並みということに加えて、燃料タンクを前席の下に搭載して後席を小さく畳めるため、荷室はシビックよりも使いやすいのです。

 動力性能や走行安定性はシビックのほうが優れていますが、それらの点がフィットでも満足できるなら、運転しやすくて車内が広いフィットは合理的でしょう。

 そしてもっとも大きな違いは価格です。

 フィットの1.3リッターガソリンエンジンを搭載する「ホーム」は176万7700円、シビックは1.5リッターターボエンジンを搭載した「LX」が319万円です。

 マツダ2の1.5リッターガソリンエンジンを積んだ「15Sプロアクティブ」は169万4000円ですが、マツダ3ファストバックに2リッターガソリンエンジンを搭載する「20Sプロアクティブ」は251万5741円です。

 走行性能や装備の違いはあるものの、フィットの価格はシビックに比べて約140万円、マツダ2もマツダ3に比べて約80万円安いです。これだけの価格差が生じると5ナンバーサイズのフィットやマツダ2が多く選ばれます。

 そしてマツダの販売店では、次のような話が聞かれました。

「いまは運転のしやすさや価格の安さを重視するお客さまは、コンパクトなマツダ2を選びます。それ以上に大きな車種が欲しい人はSUVを購入します。

 クロスオーバーSUVの『CX-30』はサイズと価格はマツダ3に近いですが、SUVなので荷室は広いです。

 CX-30はマツダ2やマツダ3では実用性が足りないと感じるお客さまの間で人気を高めました」

 つまり、3ナンバーサイズのハッチバックがいまひとつ売れない背景には、SUVの好調な売れ行きも影響しているのです。

※ ※ ※

 同じ3ナンバー車でも、ミドルサイズミニバンとハッチバックではユーザーの見方が異なります。

 3ナンバーサイズのハッチバックには、コンパクトカーやSUVとは違う明確なセールスポイントが必要でしょう。

 またミニバンについても、新型ステップワゴンや新型ノアヴォクは3ナンバー専用車になり、安全装備や運転支援機能の充実によって価格帯も高くなりました。

 5ナンバーサイズで割安なフリードやシエンタの魅力を高めることも大切です。要は3ナンバー化が進むほど、5ナンバー車の役割も大切になるというわけです。

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トヨタ ノア
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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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1件のコメント

  1. へぇ〜、フィットとシビックの後席の足元空間って同じくらいなのか!
    フィットのパッケージングって凄いんだな。

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