納車まで1年以上!? トヨタ「ランクル300」スズキ「ジムニー」いま本格4WDに人気が集まる理由とは

幅広い年齢層、そして男女問わず人気のクロカン4WD

 中古車市場でも、同じようなムーブメントが起きています。

「現在は3世代前のランドクルーザーなど、80年代のクロスカントリー4WDに人気が集中していますね。CMやドラマでアイコンとして使われているのも、人気を後押ししているのではないでしょうか。そもそも長持ちするつくりなので、20年から30年経ったいまでも十分現役で使えますし、イマドキのSUVにはない力強いデザインに惹かれる人が多いのではないでしょうか」(SUV専門中古車販売店スタッフ)

2018年6月にフルモデルチェンジされたスズキ「ジムニー」。1.5リッターエンジンを搭載した「ジムニーシエラ」も大人気だ
2018年6月にフルモデルチェンジされたスズキ「ジムニー」。1.5リッターエンジンを搭載した「ジムニーシエラ」も大人気だ

 クロスカントリー4WD人気を支えているのは、じつに幅広い年齢層のユーザーです。上は40代から60代、下は20代。さらに、男性だけでなく女性も増えています。

 それぞれの年齢層や性別によって、自分の目に映るクロスカントリー4WD像は変わってきます。かつてある媒体で実施したアンケートの結果では、上の世代は1980年代から1990年代の四駆ブームの頃を懐かしんで購入したり、当時は経済的な理由から所有できなかったために、現在購入するという人がほとんどでした。

 一方、若い世代は“人とは違うクルマ”を模索した結果、クロスカントリー4WDに行き着いたというユーザーが多く、四角くて無骨なデザインに新鮮さを感じているといいます。30代のユーザーは、かつて乗っていた親の影響を受けていると答えた人も多くいました。

 多くの女性ユーザーが口にしたキーワードは、「カワイイ」。ジムニーやジープのスクエアなボディ形状、そして丸目のヘッドライトが女性にはキュートなものに感じるといいます。実際、ジムニーは先代よりも大幅に女性ユーザーが増え、その動向はスズキも予測できなかったようです。

 すべての世代で共通していえることは、クロスカントリー4WDはライフスタイルの演出がしやすいクルマと答えたことです。そのライフスタイルが、アウトドアレジャーであることはいうまでもありません。

 コロナ禍によって出かける場所や遊び方が限られたことで、さらに人気が上昇しているキャンプは、さらにその人口が増加しました。ソーシャルディスタンスが保てる上に、開放感を味わえるキャンプは、この時世にはピッタリのレジャーです。このキャンプブームが、クロスカントリー4WD需要を後押ししたことは間違いありません。

 キャンプ派がクロスカントリー4WDを選ぶのには、いくつか理由があります。第一にデザイン。クロスカントリー4WDは本来、僻地で活躍するためにつくられたクルマであり、悪路を走るためにシンプル、無骨にデザインされています。シャープでスポーティなデザインが多いSUVとは、真逆のベクトルです。

「多くのキャンプ用品や登山用品は、機能を優先したシンプルでいかにも道具的なデザインが採用されており、名品と呼ばれるアイテムは何年も基本的なデザインが変わりません。こうしたモノが持つ雰囲気に惹かれて、つい購入してしまう人が少なくありません。エキスパート用のアイテムには“冒険”を感じさせるモノが多く、閉塞感が漂う今だからこそ人気があるのではないでしょうか。クロスカントリー4WDも共通の雰囲気を持っている上に、何年もデザインが変わらないところが、所有欲を満たすのだと思います」(登山用品店販売スタッフ)

 先行きの見えない経済状態が続く上に、自動車の価格は高くなる一方。そんな中で、すぐにデザインが変わってしまうモデルよりも、基本デザインが10年以上変わらないクロスカントリー4WDは、時間がかかっても手に入れるべき賢い買い物なのかもしれません。

 アウトドアシーンでは、海外発信の「オーバーランド」というキャンプスタイルも広がりつつあり、カスタム業界ではクロスカントリー4WDをベースにした「オーバーランダー」というカテゴリーが注目されています。こうしたムーブメントもあって、クロスカントリー4WDは新車・中古車ともにますます活況を呈していく予感がします。

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トヨタ ランドクルーザー
トヨタ ランドクルーザー
  • 新車販売価格:510~760万円
ボディタイプ
SUV・クロカン
販売年月
2021年08月~生産中

【画像】大人気4WD! 新型ランクル300とジムニーを画像で見る(44枚)

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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