2021年11月から「自動ブレーキ」義務化! 10年で一気に普及した先進機能は今後どう進化する?

自動ブレーキは今後どう進化する?

 自動ブレーキ装着車が市場で増えてきたことで、自動ブレーキがアセスメントの項目に入るようになりました。

 アセスメントとは、第三者機関が量産車の衝突安全や予防安全について評価し、その結果を消費者に公表するという仕組みです。欧州や米国、オーストラリア、日本など世界の国や地域と連携しながら、それぞれ独自の検査項目を持っています。

歩行者にも対応するスバルの「アイサイト」
歩行者にも対応するスバルの「アイサイト」

 このアセスメントは当初、事故を想定した衝突時の安全性が重視されていましたが、2010年代に入ってからの世界的な自動ブレーキの普及によって、衝突を回避するための予防安全という領域が加わりました。

 まずは対停止車両で始まり、対歩行者や対自転車、さらに夜間での対歩行者へと、評価内容が段階的に厳格化されてきました。

 そのため、自動車メーカーとしては「まずはアセスメントへの対応」(複数の日系メーカー・予防安全技術開発担当者)という自動車開発の基本的な考え方が広まったことで、2010年代中盤から後半にかけて、日本でも自動ブレーキの普及率が一気に上がると同時に、その性能も段階的に向上したといえるでしょう。

 そのうえで、日本は世界の国や地域に向けて、自動ブレーキ普及の中心的な役割を果たしてきました。

 自動車関連技術の国際協調について話し合う、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)では2017年1月に、WP29の専門家会合で日本が提案した自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)に関する技術要件の議論が始まりました。

 そうした議論に基づき2019年1月には、前方静止車両、前方走行車両、そして横断歩行者を含む協定規則152号が成立。

 2021年11月から、乗用車などで自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化が決まったのです。

 さらに、横断自転車に対する技術要件についても2021年3月に成立しており、2024年7月から義務化されます。

 こうして、自動ブレーキ義務化が確定したことで、自動ブレーキの性能は今後さらに向上していくことは間違いありません。

 カメラの精度、いわゆるAI(人工知能)技術を活用した画像認識、処理速度が高い半導体など、さまざまな技術が複合的に絡む分野です。

 広義においては、自動ブレーキは5つの自動運転レベルのうち、初期段階のレベル1に分類されていますが、日常生活のなかで自動ブレーキの重要性は極めて高くあるべきだと感じます。

 それと同時に大事なことは、ユーザーは自動ブレーキなど新しい自動車技術によって運転に対する過信をせず、運転に対する責任を常に持ち続けることだと思います。

【画像】「あっ、ぶつかる!」を未然に防いでくれる「衝突被害軽減ブレーキ」(10枚)

画像ギャラリー

Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 当のスバルは、
    この義務化施行までに、
    新型WRXの発売及びMT用アイサイトの開発が間に合わなかったので、
    当面は新型WRXの日本仕様はCVTのS4のみの販売となる模様ですね。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー