ジツはかなりの本格派? キラリと光るものがあった軽自動車3選

現在、日本の自動車市場でトップセラーに君臨しているクルマといえば、軽自動車です。とくに各メーカーとも全高の高いトールワゴン系/ハイトワゴン系モデルが主力となっており、見ない日は無いほど街にあふれています。一方で軽自動車のなかでも、個性的なモデルも存在。そこで、実はかなり本格的な高性能軽自動車を、3車種ピックアップして紹介します。

ジツはかなりの実力派だった軽自動車を振り返る

 日本独自の自動車規格として誕生した軽自動車は、今ではもっとも売れているクルマとなっています。なかでも全高が高いボックスタイプのボディのトールワゴン系/ハイトワゴン系タイプが、各メーカーの主力モデルです。

さりげなく実力派だった高性能な軽自動車たち
さりげなく実力派だった高性能な軽自動車たち

 軽自動車は税金や保険料が安く、地域によっては保管場所の届け出が不要となっているなど、さまざまな面で優遇されていることから日常の足として人気となりました。

 一方で、ボディサイズやエンジンの排気量と最高出力(自主規制値)、4名までの乗車定員など制限もあります。

 しかし、そうした制限を差し引いても軽自動車は大いに魅力的なクルマとして、トップセラーに君臨しています。

 こうして大ヒットを続けている軽自動車ですが、これまでにさまざまなモデルが誕生。そこで、実はかなりの実力派だった異色の軽自動車を、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「ライフダンク」

足まわりを中心に強化されるもちょっと残念だった「ライフダンク」

 現在、ヒット中の軽自動車のなかでも、もっとも売れているのがホンダ「N-BOX」シリーズで、2011年に初代が登場して以来、高い人気をキープしています。

 このN-BOXが登場する以前に、ホンダの軽自動車で主力となっていたのが「ライフ」で、1997年に「トゥデイ」に代わるモデルとして誕生。なお、車名は1970年に発売された360cc時代のモデルから継承されたかたちです。

 そして、1998年には新たな軽自動車規格に対応する3代目ライフがデビューし、2000年に全グレードともターボエンジンを搭載した派生車の「ライフダンク」が発売されました。

 ライフダンクは若い男性ユーザーをターゲットに開発されたモデルで、外観ではフロントフェイスが精悍な専用デザインとされてスポイラー形状のバンパーなどを採用し、トップグレードの「TR」には大型のルーフスポイラーが装着されました。

 エンジンは大容量の空冷インタークーラーを装備して最高出力64馬力を発揮。強化された足まわりには前後スタビライザー(2WD)や、フロントブレーキは軽自動車としては数少ないベンチレーテッドディスクが奢られています。

 ライフダンクは本格的なメカニズムを採用してスポーティさを強調したモデルでしたが、トランスミッションは3速ATのみとなっている点など、ちょっと残念な部分も否めませんでした。

 その後、2003年に4代目ライフにフルモデルチェンジするとライフダンクは消滅し、短命に終わりました。

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●スズキ「アルトラパン SS」

やりすぎない高性能車でクラシカルな面が好印象の「アルトラパン SS」

 2002年にデビューしたスズキ初代「アルトラパン」は、「アルト」をベースに開発されたモデルで、全高が高すぎないスクエアなフォルムとクラシカルなデザインが特徴のモデルです。

 ターゲットは女性ユーザーであり、静粛性や乗り心地、使い勝手の良さが高く評価されたことから、実際に女性層から人気を得てヒット作となります。

 このアルトラパンに、男性ユーザーをターゲットとしたスポーツグレード「アルトラパン SS」が、2003年に追加ラインナップされました。

 スズキの高性能軽自動車といえば、当時は4代目「Keiワークス」がありましたが、アルトラパン SSのキャラクターはそこまで尖っておらず、さりげなく高性能といった印象です。

 外観は専用デザインのフロントグリルに丸型のヘッドライト、同じく丸型フォグランプをビルトインしたバンパーを採用し、クラシカルなスポーティモデルを演出。

 エンジンは最高出力64馬力を発揮する直列3気筒ターボを搭載し、トランスミッションは4速ATに加え5速MTが設定されました。

 ほかにも全高を10mmローダウンした強化サスペンションや、165/55R14サイズのハイグリップタイヤと専用アルミホイールを装備しており、コーナリング性能の向上が図られています。

 アルトラパン SSはユニークな高性能モデルとして一定の人気を獲得しましたが、2008年に2代目の登場で廃止となり、以降は現行モデルまでラインナップされていません。

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●ダイハツ「テリオスキッド」

ライトなクロカン車並みの悪路走破性を誇った「テリオスキッド」

 近年、SUV人気に歩調を合わせるように軽自動車でもSUVテイストのモデルが登場していますが、そうしたモデルとは一線を画するほどの悪路走破性を誇ったモデルが、1998年に発売されたダイハツ「テリオスキッド」です。

 テリオスキッドは同社の登録車「テリオス」に対し、軽自動車規格に合致するボディとパワートレインを搭載した軽クロスオーバーSUVとして開発されました。

 外観はトールワゴン系の5ドアハッチバックで、リアゲートに背面スペアタイヤをリアゲートに設置しており、見た目にもオフロードカーをイメージ。

 また、ラダーフレーム状の構造部材とモノコックを融合したシャシを採用し、15インチタイヤを装着して最低地上高は195mmを確保していました。現行モデルのスズキ「ジムニー」の最低地上高が205mmなので、テリオスキッドの本気度がうかがえます。

 エンジンはフロントに縦置きに搭載された最高出力60馬力(後期型では64馬力へと向上)を発揮する直列3気筒ターボで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。駆動方式はFRをベースとしたフルタイム4WDと2WDで、4WDにはセンターデフロックを備えるなど本格的なクロカン車並みです。

 テリオスキッドはジムニーよりも使い勝手の良いオフロードカーという稀有な存在で、2012年の生産終了まで一度もフルモデルチェンジされることなく販売された、ロングセラー車となりました。

※ ※ ※

 現行モデルの軽自動車は、安全装備や快適装備が登録車と変わらないほど充実していますが、重量増に伴う実燃費の悪化や価格の上昇を招いてしまいました。

 また、今後は電動化へのシフトも進むことから、さらなる価格の高騰も避けられないと見られています。

 簡素な装備で安価なクルマとして誕生した軽自動車ですが、今後は存在意義も含めて軽自動車のあり方を考え直す必要があるのかもしれません。

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