たった1万円が9000万円以上に!! 「007」ボンドカーのプレミア率ベスト10とは?

プレミア率49倍のボンドカーは、あの潜水するクルマだった!

 今回は、標準的な中古市場価格と比べてのプレミアムで、ボンドカーのランキングをつけている。そのため、価格の高低ではなくプレミア率がポイント。この観点からボンドカーの価値を見てみると、非常に興味深い結果が分かった。

1989年にわずか約1万1000円という価格で売り渡されたが、2013年のオークションでは約9250万円で落札
1989年にわずか約1万1000円という価格で売り渡されたが、2013年のオークションでは約9250万円で落札

●第5位:1969年式マーキュリー「クーガーXR7」

標準価格:5万5500ポンド(約835万円)
ボンドカー価格:36万5500ポンド(約5500万円)
プレミア率:559%

 1969年の『女王陛下の007』では、4台のマーキュリー・クーガーが撮影に使われている。その中の1台が2020年12月のボナムズ・オークションに、10万ポンド(約1500万円)というエスティメートで出品されだ。ところが落札価格は、36万5500ポンド(約5500万円)という高額なもの。ボンドカーであるということに加え、クラシックカーの価格が高騰しているということも、この高額の要因と思われる。

●第4位:1965年式アストンマーティン「DB5」

標準価格:61万6550ポンド(約9277万円)
ボンドカー価格:467万7850ポンド(約7億385万円)
プレミア率:759%

 1964年の『007/ゴールドフィンガー』や、1965年の『007/サンダーボール作戦』に登場した、ボンドカーの象徴ともいうべきアストンマーティンDB5。この個体は製作会社であるイーオン・プロダクションズがサンダーボール作戦の打ち上げのために購入した2台のうちの1台で、その後ゴールドフィンガーのために『Qブランチ』仕様として改造された本物で2019年に落札された。ちなみに、1995年の『ゴールデンアイ』で、撮影用スタントカーとして使用されたDB5は、2019年に196万ポンド(約2億9340万円)で落札されている。

●第3位:2014年式ランドローバー「ディフェンダー110ダブルキャブSVX」

標準価格:3万5200ポンド(約530万円)
ボンドカー価格:36万5000ポンド(約5500万円)
プレミア率:937%

 2015年に公開された『007スペクター』。2017年にRMサザビーズオークションに出品されたときのこのディフェンダー110の落札価格は、23万ポンド(約3460万円)だったのだが、翌年のボナムズオークションに出品されたときの落札価格は、36万5500ポンド(約5500万円)となった。

●第2位:1974年式AMC「ホーネット」

標準価格:5200ポンド(約78万円)
ボンドカー価格:8万9150ポンド(約1340万円)
プレミア率:1614%

 1974年の『007/黄金銃を持つ男』で、アストロ・スパイラルジャンプを披露したAMCホーネット。アメリカでは平凡、といっていいクルマだが、撮影に使用されたこの個体は現在まで、撮影時と同じ状態を維持していた。RMサザビーズオークションに出品されたのは2017年。落札価格は8万9105ポンド(約1340万円)だった。

●第1位:1977年式ロータス「エスプリS1」

標準価格:1万2300ポンド(約185万円)
ボンドカー価格:61万6000ポンド(約9250万円)
プレミア率:4908%

 1977年に公開された『007/私を愛したスパイ』。それに登場したロータス・エスプリS1は、水中に潜航することもできるスーパーマシンで『ウェット・ネリー』と呼ばれている。撮影に使われたこのクルマは、クランクアップ後、所在不明となっていたのだが、1989年にアメリカ・ニューヨークの倉庫で発見され、ブラインドオークションで、わずか100ドル(約1万1000円)という価格で売り渡された。その後、2013年に開催されたRMサザビーズの、ロンドンオークションに出品されたのだが、そこでの落札価格は61万6000ポンド(約9250万円)という高額なものとなった。ちなみに、落札したのは、テスラやスペースXで知られる、イーロン・マスク氏だった。が、このエスプリは、厳密にいうとクルマではなく、撮影用小道具の、車輪のない潜水艦。作品を観た人は憶えていると思うが、車輪の部分に潜航用のフィンを持つものである。

* * *

 さて、10台のボンドカーの現在の価値をランキング形式で紹介したが、クルマが重要な役割をはたしている007シリーズにおいては、『本物』のクルマに、大きな価値を感じている人が多いことが分かる結果となった。

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