いま注目されているクルマの先祖とは? 現行モデルにつながる往年の車3選
各自動車メーカーから毎年数多くの新型車が発売されていますが、そうしたクルマには、なにかしら源流となるモデルが存在するケースがあります。そこで、現在注目されているクルマ3車種の先祖をたどって紹介します。
直近で注目されているクルマの先祖を振り返る
今、自動車市場でもっとも注目されているのはSUVです。日本では販売台数的に軽自動車がトップセラーですが、近年は次々と新型SUVが登場しており、大いに話題となっています。
現在、注目されているクルマでも、長い歴史のあるモデルもあれば、比較的最近登場したモデル、または新規に誕生したモデルもあるなどさまざまです。
代を重ねてきたクルマは必ず源流となるモデルが存在しますが、それほど歴史がないクルマでも、なにかしら登場のきっかけとなったようなモデルが存在。
そこで、現在注目されているクルマ3車種の先祖をたどって紹介します。
●トヨタ「ランドクルーザー 80」
2021年8月にトヨタ新型「ランドクルーザー(300)」が発売され、直後には納期に1年以上かかる見通しとアナウンスされるなど、高い人気ぶりを誇っています。
この新型ランドクルーザーは、「ステーションワゴン」「ヘビーデューティ」「ライトデューティ」と3タイプにカテゴライズされるランドクルーザーシリーズのステーションワゴンに属していますが、その始まりは1967年に登場したランドクルーザー 55型です。
一方、現在のような本格的なラグジュアリーモデルとなったのは3代目にあたる80系で、1989年に発売されました。
80系は、5ドアのステーションワゴンタイプのボディで、3列シートの乗用モデルと、2列シートの商用モデルを展開。ボディサイズは全長4970mm×全幅1900mm×全高1900mm(VXグレード、ガソリン車)と堂々とした体躯です。
搭載されたエンジンは、4リッター(後に4.5リッターへ変更)直列6気筒ガソリンエンジンと、4.2リッター直列6気筒ディーゼルを設定していました。
トランスミッションは4速ATもしくは5速MTが組み合わされ、上位モデルではフルタイム4WDを採用。当時はまだ駆動系の電子制御化が進んでおらず、80系はステーションワゴンモデルでも不整地走行でドライバーの腕が頼りだった最後のモデルといえます。
また、先代の60系から大きく変わったのがサスペンションで、リアのリジッドアクスル式のスプリングを、先代のリーフスプリングから乗り心地にすぐれるコイルスプリングに変更されており、よりラグジュアリーなモデルとなっています。
ランドクルーザー 80は高級感もある洗練されたデザインで、クロカン車としての実力も高かったことから、北米ではレクサス初代「LX450」として販売され、国産高級SUVの草分け的存在でした。
●ホンダ「HR-V」
ホンダの現行モデルでラインナップされているSUVは「CR-V」と「ヴェゼル」で、初代CR-Vはまさに今のクロスオーバータイプの原点といえるモデルです。
一方、ヴェゼルは現行モデルが2021年4月に発売された2代目で、初代は2013年12月に登場して大ヒットモデルとなりました。
このヴェゼルの源流となるモデルが、1998年に誕生した「HR-V」です。
まだクロカン車をイメージさせるデザインだった初代CR-Vに対して、HR-Vはコンパクトなステーションワゴンタイプの3ドアボディを採用し、外観は伸びやかなサイドビューでより乗用車に近いスタイリッシュなフォルムでした。
なお、プラットフォームはコンパクトカーの「ロゴ」がベースです。
搭載されたエンジンは最高出力125馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒SOHC VTECと、105馬力のスタンダードな1.6リッターSOHCの2種類の仕様を設定。駆動方式はスタンバイ式のフルタイム4WDと、2WDがラインナップされました。
発売当時は斬新なスタイルで話題となったHR-Vでしたが、3ドアのみだったことは大きなマイナスポイントで、CR-Vほどの人気は獲得できませんでした。
そこで1999年に、使い勝手が向上した5ドアが追加され、2001年にはVTECエンジンの2WDモデルを追加するなど、バリエーションの拡大が図られました。
しかし、ホンダの主力SUVはグローバルで展開するCR-Vだったことから、HR-Vは2003年に3ドアの販売を終了し、2005年には5ドアも生産を終了。後継車は無く一代限りでHR-Vは消滅しました。
その後、実質的な後継車として初代ヴェゼルが登場して、現在に至ります。ちなみに、ヴェゼルは今も海外ではHR-Vの名で販売されています。
●スバル「レオーネ ツーリングワゴン」
2020年10月にデビューしたスバル2代目「レヴォーグ」は、人気が低迷気味のステーションワゴンながら「2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど高く評価され、スバル車のなかでも好調なセールスを記録しています。
初代レヴォーグは2014年6月に誕生。「レガシィ ツーリングワゴン」の実質的な後継車としてデビューしました。
このレガシィ ツーリングワゴンのさらに前身のモデルが「レオーネ ツーリングワゴン」です。
レオーネは積雪地域などの足となる生活四駆の先駆け的存在で1971年に誕生。翌1972年には世界初の乗用車タイプの量産4WD車「レオーネ エステートバン 4WD」が登場しました。
当時はまだ悪路走破性を重視しており最低地上高も高めでしたが、まさに「レガシィ」シリーズの原型といえるモデルで、スバルのアイデンティティである水平対向エンジン+4WDの「シンメトリカルAWD」を確立。
1975年には、同じく世界初の量産4WDセダンとして「レオーネ 4WDセダン」も登場し、生活四駆としてさらに人気を獲得しました。
その後、1979年には2代目、1984年に3代目へとモデルチェンジしましたが、メカニズム的な古さは否めませんでした。
そこで、1984年には最高出力135馬力(グロス)の1.8リッター水平対向4気筒SOHCターボエンジンを搭載したモデルが追加され、さらにフルタイム4WD化も果たすなど、レガシィの原型が固まったといえます。
しかし、スペック的にはまだ他社に遅れをとっていたため、スバルは1989年に次世代のモデルとして初代レガシィを発売し、一気に世代交代が図られました。
レオーネはラインナップを絞ってレガシィ、インプレッサと併売されましたが、1994年に生産を終了し、乗用車4WDのパイオニアだったレオーネは長い歴史に幕を下ろしました。
※ ※ ※
冒頭で紹介した新型ランドクルーザーですが、2021年10月1日時点で納期はさらに延びて2年以上と公式にアナウンスされており、もっと長いのではという噂もあります。
これは、昨今の半導体不足ということもありますが、やはり生産のキャパシティを超える注文が世界中から入っているのが実情のようです。
というのも、ランドクルーザーシリーズは生産台数の97%以上が日本で生産されており、海外にも輸出されているため、各国への割当数が決まっていることからバックオーダーを抱える事態になってしまいました。
残りの3%弱も主要な部分は日本で組み立て、海外の工場で最終的な組み立てのみがおこなわれるセミノックダウンとなっているので、実質的にはすべてメイドインジャパンです。
ランドクルーザーに共通するコンセプトは「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」で、これを実現するためには高い信頼性と耐久性の確保が必須なことから、日本で生産しなければならないという強いこだわりがあるのでしょう。
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