個性的なのか、それとも異端児? わが道を行ったスポーティな車3選
高性能車やスポーティなクルマというと、ハイパワーなエンジンに見るからに速そうなフォルムがイメージできます。しかし、そんなイメージとちょっと異なるモデルも存在。そこで、スポーティなクルマながら異色のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
ちょっと異色なスポーティモデルを振り返る
スポーティな走りを信条とする高性能車に抱くイメージは、ハイパワーなエンジンを搭載し、足まわりも優れ、外観からも速そうな雰囲気を感じることが挙げられます。
しかし、そんなイメージとちょっと異なるモデルも存在。そこで、スポーティなクルマながら異色のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「ストリーム」
1990年代に爆発的に普及し、一気にファミリカーの主流となったミニバンに求められるものといえば、広い室内と高いユーティリティ、十分なパワーのエンジンに優れた経済性ではないでしょうか。
そんなミニバンの性能に、さらに走りの良さを追求して開発されたのが、2000年に誕生したホンダ初代「ストリーム」です。
ボディサイズは全長4550mm×全幅1695mm×全高1590-1605mmと、底床化によって室内の広さを確保しながら低全高を実現し、低重心化にも貢献。
搭載されたエンジンは新開発の2リッター直列4気筒DOHC i-VTECと1.7リッターVTECを設定。2リッター車では最高出力153馬力(後に156馬力に向上)を発揮し、クラス初の5速ATが組み合わされ、優れた走行性能を誇りました。
また、サスペンションはフロントにストラット、リアはダブルウイッシュボーンとし、安定した走りと高い路面追従性を発揮します。
広い室内と取り回しの良さ、スポーティな走りにスタイリッシュなフォルムも相まって、初代ストリームは発売からわずか10か月で10万台以上を販売する大ヒットを記録しました。
そして初代ストリームは「2000年-2001年 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、総合的に高い評価を獲得し、2006年には同様なコンセプトの2代目へとバトンタッチしました。
●三菱「ブラボー MZ-G」
現在、日本でもっとも売れているクルマは軽自動車です。なかでも軽ハイトワゴン/トールワゴンは、その使い勝手の良さからベストセラーとなり、各メーカーはもっとも力を入れています。
そんな軽ハイトワゴン/トールワゴンが台頭する以前、軽自動車のワゴンといえば1BOXタイプの商用バンをベースにしたモデルが主流でした。
この1BOX軽ワゴンにすごいエンジンを搭載したモデルが存在。それが1991年に発売された三菱「ブラボー MZ-G」です。
搭載されたエンジンは「ミニカ ダンガンZZ」用に開発された、最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒DOHCターボで、1気筒あたり吸気バルブを3本、排気バルブを2本の5バルブを採用。
5バルブとしたことは高回転化にも有利で、実際にMZ-Gのタコメーターのレッドゾーンは9000rpmからとなっていました。
なぜ軽1BOXワゴンにこんなハイスペックなエンジンが搭載されたのかというと、理由は単純で、当時の三菱は軽自動車の高性能エンジンはこれしかなかったからです。
その後も三菱は5バルブエンジンを「パジェロミニ」や「タウンボックス」など、スピードとはあまり縁のないモデルにも幅広く展開しました。
●日産「スカイライン 280D GT」
近年、ディーゼルエンジンの進化は目覚ましいものがあり、今では排気量1リッターあたり100馬力を超えるものも珍しくありません。
日本では排出ガス規制の強化から、乗用車用ディーゼルエンジンは一旦淘汰されてしまいましたが、それ以前は各メーカーともディーゼルエンジン車を展開していました。
その黎明期に誕生したスポーティなディーゼル車が、1980年に登場した日産「スカイライン 280D GT」です。
1977年に発売された日産5代目「スカイライン」(通称「ジャパン」)に追加されるかたちで、280D GTはラインナップされました。
搭載されたエンジンは2.8リッター直列6気筒の「LD28型」で、自然吸気だったため最高出力は91馬力(グロス)とパワー的にはそれほどではありませんが、当時としては高速型ディーゼルで許容回転数は5000rpmを誇りました。
またLD28型エンジンは、直列6気筒エンジンならではのスムーズな回転と静粛性を実現して高く評価され、日本における乗用車用ディーゼルエンジンの草分け的存在です。
ディーゼルエンジンは、スカイラインのキャラクターに対して異色ともいえましたが、オイルショックの影響もあり低燃費なクルマが求められたため、搭載されたと考えられます。
その後、6代目スカイラインにもLD28型を搭載した280D GTがラインナップされ、7代目では新たな世代の「RD28型」直列6気筒ディーゼルエンジン搭載車が設定されましたが、8代目の「R32型」から全車ガソリンエンジンとなり、以降は現在までディーゼルエンジン車は設定されていません。
※ ※ ※
冒頭で紹介したストリームのような低全高のミニバンは他メーカーも展開していましたが、現在は淘汰されてしまいました。
また、ストリームはリアドアにヒンジドアを採用していましたが、これも淘汰されています。
1990年代から2000年代初頭にかけてのミニバンブームの時は、数多くの種類のミニバンが「雨後のタケノコ」のように登場しましたが、まさにトライ&エラーの歴史で、各メーカーとも新ジャンルのミニバンを模索していました。
しかし、最終的には全高が高くリアドアが両面スライドドアのモデルが生き残る結果となり、それだけ市場が成熟したといえるでしょう。
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