【美しくないフェラーリ3選】カッコ悪いと個性的が紙一重な跳ね馬とは?

美しいクルマの代名詞といえば「フェラーリ」。しかし、跳ね馬のエンブレムをつけていても、カッコいいとはいい難いフェラーリも存在するようです。そんな醜いフェラーリを3台紹介します。

こんなフェラーリもあった!? シリーズ生産されなかったのも納得

 3台目にセレクトしたのは、フェラーリ「412」のコンポーネンツを使用したスペシャルモデルだ。ミラノ近郊に拠点を置き、現在ではスーパーカー/高級クラシックカー専門ディーラーとして活動を続けている「パヴェージ(Pavesi)」が企画・製作した、4シーターのカブリオレである。

パヴェージ製「412ヴェントロッソ」
パヴェージ製「412ヴェントロッソ」

●1989 フェラーリ「412 ヴェントロッソ by パヴェージ」

 パヴェージ社は「スクーデリア・フェラーリ」と同じ、1929年に創業された時から「カロッツェリア(Carrozzeria:ボディ架装工房)」を名乗っていた。当初は霊きゅう車などの特装ボディなどを製作していたそうだが、第二次世界大戦後はオリジナルボディを製作することはほとんどなくなり、自動車メーカー製の既成ボディをベースに改装を加えることが主な生業だった。

 20世紀後半は、アルファ ロメオ製ベルリーナ(セダン)をベースとするワゴンボディや、デ・トマゾ各モデルのオープン版など、自動車メーカーの準カタログモデルの少量製作を引き受ける一方で、フェラーリについては「365GTB/4デイトナ」をベースとするタルガトップ風スパイダーモデルを独自に製作。さらに1980年代後半には「400i」や「412」をベースに18台のカブリオレを改装して、当時のフェラーリ本社から公認も受けていたという。

 そんなパヴェージが、久方ぶりに手掛けた完全自社製ボディのクルマが、1989年にフェラーリ「412GT(5速マニュアルトランスミッション付き)」をベースとして架装した「ヴェントロッソ」だった。

「Ventorosso(=赤い風)」の名が示すように、真紅のボディはパヴェージの自社デザインとのこと。すべてのボディパネルは新たに作り直され、同時代のスーパースター「テスタロッサ(Testarossa)」を意識したかのような、ウェッジシェイプを強調したスタイリングとされている。

 一方、幅広のラジエーターグリルを組み込んだフロントバンパーは、328シリーズやモンディアルを思わせる形状で、バンパーと一体化したフロントスポイラーは、テスタロッサや348系にも似ている。テールエンドにも、テスタロッサのスタイルを導入したと思われるガーニッシュが取り付けられ、その直下に4灯丸型のテールランプが取り付けられた。

 また、オリジナル412のポップアップ式から、固定式とされたヘッドライトはより乗用車然としたデザインに変更されている。

 パヴェージ社では一定数のオーダーさえ入れば、少量ながらシリーズ生産も目指していたとされるが、やはり個性的すぎる(?)スタイルゆえか、この1台のみで終わってしまったとのことである。

【画像】ホントにフェラーリ? 二度見してしまう跳ね馬とは(11枚)

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